みえ教育ネットワーク

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 30人学級とゆきとどいた教育を求める会の総会

 三重県で臨時教員の割合が多いのはなぜか?
 5月12日(土)、30人学級とゆきとどいた教育を求める会の総会がありました。総会に先立つ記念講演では、三重県臨時教員問題を考える会のTさんが「増え続ける臨時教員と、私たちの運動が問い続けてきたもの」というテーマで話をされました。たくさんの大切なことに気づかせてくれたいいお話だったので、少し紹介します。

少人数学級とともに臨時教員も増えた
 1986年、三重県は国に先がけて40人学級(それまでは45人学級)を実現した。しかし、増えた分は正規教員ではなく、すべて臨時教員(=期限付講師)を充てた。それまで、稀なケースでしかなかった期限付講師が一気に増えた。その結果、教師を臨時で雇うことが、教育現場にまかり通ることになった。「子どもたちの教育条件向上」を求める人々は、臨時教員増加という問題を気にとめなかった。

三重県は全国で2番目に多い
 その後、初任研制度の始まりとともに、研修に行っている間の穴埋めとして、期限付講師が増える。1990年時点で、臨時教員の割合は全国7.4%に対し、三重県12.1%にもなった。その後も、正規教員の待遇改善や教育条件の向上を求める運動が、結果的に臨時教員を増やし続けることになり、今や三重県では4人に1人が臨時教員。これは沖縄に次いで全国で2番目に多い数字だ。

正規教員の権利拡大が、臨時教員の犠牲の上に・・・
 産休前の先生が大きなお腹をかかえて体育の授業をするのはつらい。そこで、産休に入る3ヶ月前から「体育補充」という名の非常勤講師が配置されることになった。しかし週に数時間の体育の授業だけでは、ほとんど収入にならないから、引き受ける人はいない。必然的に産休補助に入る予定の人が、その直前の3ヶ月だけ非常勤を務めることになる。正規教員の権利拡大=母性保護を叫ぶ人たちには、泣く泣く低賃金で雇用される人の存在は見えなかった。

臨時教員は妊娠しても祝福されない
 産休代替法には講師にも産休の権利があるとはっきり書いてある。しかし三重県は講師の産休を認めない。「あなたに産休を取る権利はあります。しかし講師の講師はないので、あなたが産休を取ると授業に穴があくことになって困るのです。」そんなことを言われて、泣く泣く辞表を書かされる。臨時教員が妊娠することは、失職を意味する。妊娠が喜べないなどということが、あっていいのだろうか。残酷な制度だ。隣の愛知県では講師の講師が付くが、全国的にはまだまだ遅れている。

臨時教員は言いたいことも言えない
 他にも臨時教員がおかれた非情な実態は数々ある。台風の日に出勤したが、暴風雨警報が出て臨時休校となった。その日、非常勤講師には(授業がないから)給料はない。職員会議で日の丸掲揚で議論になった。しかし講師の自分は(来年の雇用が心配で)発言できなかった。情けない思いで、唇をかんだ。正規採用された年に始めて「自分の良心を曲げるぐらいならクビになったほうがましだ」と発言した。気持ち良かった。

臨時ではダメなのか
 三重県は少人数学級にするために臨時教員を多用している。「臨時でもまし」なのか、「臨時ではだめ」なのか。私は臨時でも少人数学級になったほうがずっといいと思っている。でも臨時では来年も引き続き学校に残れる保証がない。担任した子らの卒業式にも出られない。雇う側からすれば、正規教員の半分の給料で済むし、言いたいことも言わずに熱心に働くから都合がいい。少人数学級を求める運動と、教員の正規化を求める運動が、共に前進することを願っている。
                                            以上  (文責Y)