みえ教育ネットワーク

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非正規の現場から  40年のたたかい

 4月27日(土)「30人学級実現とゆきとどいた教育を求める会」の第17回総会が四日市で行われました。総会に先立って愛知県臨時教員制度の改善を求める会の上村和範さん(写真)が「非正規の現場から教育の希望をつかむ」というテーマで講演しました。「求める会ニュース№76」より、講演の内容を紹介します。

 

「非正規の現場から教育の希望をつかむ」

  ~名古屋市の臨時教員40年のたたかい~

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    上村和範さん

 (愛知県臨時教員制度の改善を求める会・代表委員)

 

1 はじめに

 初めにご自身の自己紹介も兼ねて学生時代から現在に至るまでの話がありました。大学時代の自治会活動、それによる就職差別、11年の臨時教員を経て、30歳半ばで正規教員として採用されたこと、そして現在は、定年退職後再任用教員として4年生の学級担任をされているそうです。

 

2 学校現場での3つの異常

 次に、今、学校ではどんな深刻な状況があるのかという点で、3点の指摘がありました。

 

 1点目は、子どもたちに見られる不登校問題です。全国的に不登校の子どもたちは毎年増加傾向で、文科省の調査結果では、三重県でも小中学校の不登校の数は、2018年度において、前年度比84人増の2115人と過去最高になったそうです。

  2点目は、教職員の精神疾患による休職の問題です。精神疾患による休職者数も、過重な仕事を抱え毎年増加し、三重県では、2011年度は67人だったが、2017年度には109人となっています。

  3点目は、非正規教員の問題です。これも先の2つと同様、年々増加傾向にあり、名古屋市では、2016年度では2500人超で、その割合は全教員数の25%に当たるそうです。つまり4人に1人が非正規教員というわけです。

                               

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 このような問題が相互に影響し合いながら、さらに深刻な状況を生みだしているのではないでしょうか。

 

3 教育現場での非正規雇用

 臨時教員制度は、非常勤講師(地公法3条3項:時間契約)と、常勤講師(地公法22条:臨時的任用、フルタイム、産休・病休代替、欠員補充など)の2つの制度から成り立っています。

 こうした臨時教員が増えている背景には、安上がりな人件費で、行政にとって都合のよいときにいつでも首を切ることができるという使い勝手のよさがあります。

 臨時教員のおかれている状況は、安い賃金で昇給もなく、年休も少ないなど、正規教員との格差は歴然と存在し、さらに雇用の継続の保障や正規採用への見通しもない厳しい生活不安があります。  

 

 また、学年主任や指導部長、管理職などからの厳しい指導は、教職員集団の同僚性を奪い、支援するどころか、パワハラやいじめへの温床にもなりかねません。雇用の継続の保障がないということは、教育の継続性が断ち切られ、子どもや保護者との信頼関係が築きにくいということです。

 

4 教育の希望をつかむたたかい 同一労働・同一賃金

 たった一人から始まった愛知の臨時教員運動のたたかいも、今年で40年目を迎えます。この間に社会保険雇用保険の制度が改善され、採用試験の受験年齢制限が撤廃されました。また、臨時教員の産休取得や年休の繰越が実現し、非常勤講師の同一校継続が認められました。さらに、ボーナスや退職金、給料なども大幅に改善され、名古屋市では、「同一労働・同一賃金」がほぼ実現されました。

                                       

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 こうした要求実現のたたかいの根底には、

(1)弱い立場の人たちに寄り添うこと

(2)学習を積み重ねこと、どこに展望があるか、活路がひらけるか

(3)実態を調査すること

(4)一人ひとりが主人公の活動をつくること、当事者が立ち上がること

(5)すべての人に事実をしらせること

 

 という5つの柱がありました。これらの5つの柱をもとに、ぶれることなく着実に40年間をたたかい通してきた結果として大きな前進を勝ち取ることができたのです。

 

【資料】名古屋市における臨時教員の待遇改善の変化

 

給料上限(月給)

労働条件

採用・任用制度

1980年

17万7500円

( 3等級上限 )

正規に準ずる

社会保険雇用保険なし

コネ採用、差別採用

病気・妊娠を理由に解雇

1986年

25万6700円

( 2級上限 )

正規に準ずる

社会保険雇用保険適用

愛知県:受験年齢制限廃止

名古屋市:39歳最終受験

名古屋市:教育人材バンク

2010年

34万3300円

( 2級上限 )

正規に準ずる

愛知県:特別選考制度

名古屋市:受験年齢制限廃止

2018年

36万1100円

( 権限移譲 )

休暇などなし

県・市の定数内臨時教員が過去最高に!

同一校継続3年まで延長

2020年

約50万円

正規と同様

改正地公法実施

 

5 今後の展望

 教員の過重労働を改善し、働き方改革を進めることが、子どもたちへのきめ細かなゆきとどいた教育を実現するためにも、何よりも大切なことと考えます。そのためにも、以下の6点を要求していきたいと考えます。             

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(1)学校で働く教職員は、すべて正規と同等の身分待遇を求めま  

  す。!

(2)持ち時間数の上限を定め、そのための定数改善計画を求めます。

(3)学校の業務改善を求めます。

   ・学力テスト、行政研修、給食費徴収、教科書事務、部活動などの負担軽減

 (4)教職員の働くルールを確立します。 

   ・残業代を支払う。

   ・専門職としての自律性や自主的研修の尊重・重視する。

 (5)公立、私立での非正規教職員の正規採用化と待遇改善を求めます。

   ・定数増、教職経験を評価した採用、雇用を打ち切らないルール、

    賃金や休暇制度の改善

 (6)「教育とは何か、教職員とは何か」「義務教育とは何だろう」を

    大切に職場で連帯の輪をひろげていきます。

                        

                                <以上>