みえ教育ネットワーク

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コロナ禍で学校現場はどう変わったのか?

 岩波書店発行の『図書』7月号に公立学校の中学校教師の文章が載りました。要点だけ、紹介します。筆者は、中学校の英語教師で、コロナ禍で変わった子どもや教師の様子を紹介しています。

 

 コミュニケーションと感染対策の両立の難しさ

 「話し合う際は、向かい合わない」という条件は、どうも落ち着きません。英語の発音の指導では、マスクでは、口の動きが分からず、お互いの表情もつかみにくいのです。教師の透明のフェイスシールドでは、もどかしい。授業やホームルームでの反応を見ながらの対応のやりにくさも大きなストレスです。本来ならもっとできることがあるのに……という思いが募ります。

 

 クラスの様子は

 おしゃべりしながら楽しんで味わう給食は、同じ方向を向いて黙々と食べるだけの時間になってしまいました。子どもたちの様子は、筆者の学校では、幸いにも極端に暗い雰囲気になったり、荒れたりすることはなかったそうです。隔離期間が明けて登校してきた生徒に、みんなごく普通に接していましたし、明るく声をかける姿もあり、ホットしました。「クラスメイトが検査で陽性になっても、それでいじめになることは絶対に許さない」と伝えてあり、保護者からも言われてきたようです。

 

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 授業や行事も生徒たちには、窮屈な思いさせている歯がゆさもありますが、生徒たちが立派に振る舞い、成長しているのは、本当にすばらしく、そんな姿を実感できたのは、教師として大きな喜びでした。

 

 ますます大変になる教師の仕事

 公立学校の教師は、「教特法」という法律で、時間外労働がほとんどタダ働きになっていることや、「聖職者」として長時間働き続けざるを得ない現状があります。

 問題は、多忙な仕事に加え、感染対策という新たな仕事が増えました。例えば、自宅での検温チェックの保護者のサインチェックや消毒作業など……。

 

 指摘したいのは、そもそも教師の仕事量は、コロナ以前から、パンク寸前だったということです。深夜まで働くことが珍しくない教師への負担がさらに増えたわけですから、学校の働き方は、本当に限界に来ていると思います。

 

 変わるべき時代に変われない学校

  指示通り・従来通りなど、最低限のことをしている教師が多い中、「今、子どもたちのためにやるべきことはなにか」と考えて取り組む教師でありたいと筆者は語っています。 筆者は、休校期間中にYou Tubeでクラス向けに英語の授業を公開したそうです。

 

 子どもたちには、「どんな状況でも学べる」と思って欲しいですし、そのために教師はできることを摸索しないといけません。もちろん、主導する教育行政には、そうした姿勢と対応が強く求められるでしょう。

 

 悪いことばかりではない

 つらい状況が続きますが、よかったことがないわけではありません。

 学校は、前例踏襲主義の職場ですが、「不要なことをやめる」きっかけになりました。毎週の会議をオンラインチャットに切りかえる、生徒の密集を避けるため、清掃の頻度を下げる……コロナ禍をきっかけに、過密なスケジュールを緩和していきたいところです。

 

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 もう一つが、「学びの選択肢」を提供できるようになったことです。学校や教室に行けない子どもにとっても役立ちます。自宅や保健室からzoomで授業に参加できたら、学びの選択肢になるはずです。そういった面で、学校に多様性を生むきっかけになったではないかと思います。

 

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そして、最後に筆者は、今の学校現場について、このように結んでいます。

 

 まだまだ、出口は見えませんが、子どもたちの大事な一時期の成長や学びを促すという学校の重要性がかすむことはありません。そのために、教師の役割が期待されていますし、いかなる状況下でも、それを担いうる学校のあり方が問われていると言えるでしょう。