みえ教育ネットワーク

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部活動を誰が担えるのか? 教師の本分は、「授業」

部活動を誰が担えるのか? 教師の本分は、「授業」

 

 名古屋大学教授の内田良さんの記事が『世界』9月号(岩波書店)に載っていますので、概略を紹介します。内田良先生には、教研集会でもたびたび講演でお世話になっています。

 

 この記事は、「部活動を誰が担えるのか」というテーマで、武田砂鉄氏との対話形式になっています。

 

 データをはっきりさせる

 データをはっきりさせることは、大切だと内田氏は、述べています。

 2001年の池田小学校事件で、学校内での子どもの死亡事故の統計がないことに気づきました。こどもの命をどうすれば守れるのか、そのためには、データに基づいて分析する必要を感じました。10年前頃の調査で、29年間で、118名の中高生が学校の柔道の部活や授業で、亡くなっていました。

 巨大組体操などでケガをしても、気合いで乗り切る習慣を断ち切りたかった。「真剣にやっていれば、ケガの一つや二つ起きるもの、これもまた教育だ」………と美談に終わらせてはなりません。と内田氏は、述べています。 

 

 

 非行対策の部活動

 1980年代は非行問題があり、荒れている子どもを街に出さずに、学校の中へ閉じ込めておく役割があった。だからこそ、部活内でビンタするなどして根性論で叩き直すことが許容されていた。部活はいいものだ、厳しくてもいいものだとの前提があり、自主的なものがやがて強制されていった。

 

 ブラック部活動

 2017年には、「ブラック部活動」が問題になり、10年前よりも休日の部活動が1時間以上、増加していた。内田氏は、「部活動にも休養日を」をおそるおそる提案したが、今、現在では、「学校から部活を切り離す地域移行」へと劇的に変わりました。


 

管理職への道

 部活動をやるために教員になったという人たちが2~3割はいる。校長よりも発言力がある部活顧問もいる。この先生は、集団をしっかり統率できる人という評価が生まれ、生徒指導を経て、管理職になっていく流れもある。校長先生に中には、体育の先生が多いです。

 

  課題活動と授業をてんびんにかけると

 「○○大会で、県大会出場」「○○さん、県大会で一位全国大会へ出場」と高々と垂れ幕がかかっている学校があるが、課外活動なのにどうなのであろうか?

 学校は、授業が本分です。筆者もこの垂れ幕を見るたびに、「もし気の弱い私だったら、プレッシャーで押しつぶされるだろうな!」などと考えることがあります。

 

 地域移行への摸索

 地域移行をすると誰が部活を教えることになるか、人と金を充てていくことを懸命にやらねばならない。その制度設計が求められている。

 2017年に「部活動の全国大会は、廃止したほうがいい。」の提案に対して、大炎上したが、それが今では、いくつかの競技では、中学校の全国大会がなくなっている。

 

 週3日のうち、一日をオンライン指導にして、残り二日をスクールバスで回り、幾つかの学校で集まって活動する方法もある。学区を越えて、ゼロから組み立て直していく必要がある。

 筆者は、土日に電車に乗ることがたまにありますが、スポーツ着姿の集団に出くわすことがあります。対外試合のための移動か練習のための移動でしょうか。愛知の豊橋市の調査では、今部活動をしている生徒の3割は、「土日は休みたい」3割は、「このまま継続したい」という結果が出ています。


 財源は国の協力が必要 

 子育て対策において、東京のような財源のある自治体では、補助が多く出せますが、地方では、十分ではありません。だからこそ、国の協力が必要で、国が積極的に関与してほしい。

 

 国のガイドライン

 学校の施設をつくる時に、国は、インフラ整備の半分ほど補助しています。部活をインフラとして捉え、国が積極的に関与してほしい。それをしないと地域差が如実に出てきてしまう。国側がガイドラインをしっかり示す必要があります。

 

 教師の本分は………「授業」

 教師の本分は、「授業」なんです。授業に時間をかけ、子どもたちの考える力をどう引き出していか、授業を主軸にして、学校生活を構想することが望ましいでしょう。

 

 以上、月刊誌『世界』から 内田良さんの記事の概要でした。

 

 教育は、目まぐるしく変化しています。部活動も次第に変化していくことになるように思われます。

内田良さんが記念講演  教育のダウンサイズ(=サイズ ダウン)を

子どものためにといえば 教育は無限  しかし

   教員は有限    教育のダウンサイズ
 2024春を呼ぶ!みえ教育ネットワーク教育研究集会が2月3日(土)河芸公民館で開催されました。

学校のリスクを見える化する~部活動改革から働き方改革まで~」と題して名古屋大学大学院教授の内田良さんが記念講演を行い、現職教員や教員OB、保護者市民が耳を傾けました。講演に引き続いて内田良さんを囲む懇談会が行われ熱心な意見交換を行いました。

教育のダウンサイズ

 内田さんは冒頭、学校のリスについて語りました。

 学校柔道で過去31年間に118件の死亡事故が起きた。ところが2012年からは毎年ゼロ。危ないからやめようと声を上げたことでリスクは減った。組体操で10段のピラミッド、危険すぎると内田さんは情報発信。以後、10段ピラミッドは姿を消した。ピラミッドは3段で十分だ。

 

 内田さんが強調したのは教育のダウンサイズです。子どものためにと考えれば教育は無限、しかし教員は有限なのです。すべてやることなどできません。例えば修学旅行の集合時間が4時45分など、あり得ない。

 改善の兆しも見えてきた。東京都教委が保護者向けに出したメッセージ。「先生の勤務時間は8時15分から4時45分」。保護者の多くは「知りませんでした」「先生たちは遅くまで残って残業代を稼いでいると思っていた」。

 

 タイムカードは民間では1970年に導入されたが、学校は50年遅れている。給特法が時間意識を失わせてしまった。

 部活動で教員の家族や本人が泣いている。週2~3日程度にするなど思い切ったダウンサイズが必要。静岡県の聖光学園は週3日の練習で全国大会に行った。週3日でも楽しい部活動は出来る。部活動はやりたい人がやる、やりたくない人はやらない、生徒も先生も。

 

部活動を学校から切りはなす

 
 その後の懇談には27人が参加しました。「部活動の地域移行で保護者負担が増えないか」との質問に、「経済的に参加できない子を出してはいけない。スポンサーの宣伝を解禁するとか、ユニフォームを簡略化するとか、工夫していったらいい」と内田さん。

 「教員が部活動を手放すこと。保護者が指導するマーチングバンドがある」との例も。「学校の音楽は全員に保証するが、それ以上を求める場合はお金を払うべきだ」とも。

 

 PTAをどう考えるかとの質問も。「コロナ禍でPTAの活動ができなくなったが、なくてもやっていけるということがわかった。例年通りという悪習をやめ、自主的に好きなことをやればいい。PTAのプール監視はやめて、スイミングスクールに委託したところもある」と内田さん。

 給特法廃止だけでは解決しないのではないかとの質問も。内田さんは「時間外に労働しても『自主的』と判決が出される実態がある。給特法を廃止して残業を『見える化』するほうが闘いやすいのではないか」「学校現場は民間の働き方から50年遅れている。今は過渡期。今後10年かかって改善していこう」。



給特法廃止は本当に良い結果に繋がるのか!?


給特法の適用されない非常勤講師の残業代請求の結末

  ー給特法廃止は本当に良い結果に繋がるのかー

 給特法という法律が公立学校教員を「定額働かせ放題」にしていという報道がされることが多くなりました。

  給特法が原則的に超過勤務は命じられない旨を定めているにも関わらず、制定当時に比べ、教員の労働環境は著しく悪化しました。「超過勤務は命じられないことになっているから命じていない。すべて教員による自発的勤務だ」という詭弁とともに、実際には膨大な業務量が教員に課されています。

  過労死ラインをはるかに超える働き方をしている教員が日本全国には相当数いることでしょう。給特法自体に問題があるのは確かだと思います。では、給特法を廃止すれば、教員のブラック労働は解消するのでしょうか?その答えはNoだと思います。


 給特法が廃止された場合、常勤教員は残業代支給対象になりますが、現在の時間外労働と賃金がリンクしない状態でも使用者側は「勤務時間外の労働は命じていない」と主張してきます。これが賃金とリンクしたらより一層時間外労働を認定しないことが予想されます。

 

  また、民間と異なり、地方公務員法によって、公立学校教員に関して、労基署が介入することができません。その代わりに行政寄りの判断ばかりする人事委員会が監督機関となります。これでは人事委員会に働きかけをしても賃金が適正に支払われず、業務量抑制には繋がらないでしょう。


  もし地方公務員法が改正されて労基署が介入できるようになれば、業務量の適正化を行わない使用者は刑事責任を問われることもあり得ます。それならば、給特法下であっても使用者側にとって、業務改善を行う強いインセンティブが生まれます。したがって、本当に必要なのは給特法廃止ではなく、地方公務員法改正なのではないでしょうか。

 当組合では昨年、公立小学校の非常勤講師を務める委員長が、三重県人事委員会に対し、残業代の支払いを求めた措置要求を行いました。しかし、判定結果は棄却でした。これは給特法廃止後の世界を先取りしたものですので、やはり給特法廃止は教員たちが期待するような幸せな未来には繋がらないことを意味しているのではないでしょうか。

 

 むしろ教職調整額分の賃金が減額となるだけのリスクもあります。労基署が介入できない状態であれば、給特法の廃止は危険だと言わざるを得ません。  執筆(は)

                    

【参考】非常勤講師講師による残業代請求措置要求についての三重県人事委員会の判定(一部抜粋)

第6結論
 以上のとおり、要求者からの要求は、これを認めることができない。よって、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第47条及び勤務条件に関する措置の要求に関する規則(昭和26年三重県人事委員会規則第11-0号)第7条の規定に基づき、主文のとおり判定する。なお、結論を左右するものではないが、次のとおり付言する。

 所定時間外に勤務を行うことについて、事前に報告、相談等をすることなく、事後に報酬の支払を求めた要求者の要求は認められるものではないが、非常勤講師が、所定勤務時間に収まらない業務量を担う状況は避けられるべきである。県教委、市教委及び各学校におかれては、非常勤講師の勤務状況を把握して、適切な制度運用に努められることを期待する。

 

☆2月3日に河芸公民館で講演する内田先生が給特法に対してどんな話をされるか、期待します。                        

2024春を呼ぶ!みえ教育ネットワーク教育研究集会

今、学校が危ない!

2024春を呼ぶ!みえ教育ネットワーク教育研究集会
みえ教育ネットワークが教職員・保護者・市民に贈る教育講演会

是非、ご参加下さい!!

2024年2月3日(土)

講 演
内田良さん 名古屋大学大学院教育発達科学研究科・教授
 
 学級担任がいない。教科担任が未配置で授業はすべて自習。そのような「教育に
穴があく」という現象が全国的に起きています。背景には学校のブラックな働き
方の実態が知れ渡ったことで、教員志望者が減っているということが・・・・。

 部活動や学校の働き方の問題に着目し、学校の中の「リスク」について理解を深
めることで、今後我々がどうしていくべきかについて考えます。
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食と命と子どもたちの未来 講演会

11月12日(日)鈴木宣弘氏の講演 

10:00~12:00

 

 東海近畿教育研究サークル合同集会、三重実行委員会主催の講演があります。

私たちの体は、食べ物からできています。その食の大切さを是非講演で確かめてください。

 

小学生の自衛隊体験入隊を教育委員会が後援!!??

小学生の自衛隊体験入隊教育委員会が後援

 鈴鹿市教育委員会が小学生対象の自衛隊体験入隊イベントを後援するという問題が起きました。みえ教育ネットワークは直ちに鈴鹿市教育委員会に文書による申し入れをしました。教育ネットのほか、新日本婦人の会鈴鹿支部三重県平和委員会、九条の会すずか、鈴亀労連も申し入れをしました。現在この5団体連名で鈴鹿市教育委員会に対し、この問題で懇談に応じるよう要請しています(責任の所在、再発防止)。

以下教育ネットの申し入れ文書です。    

      

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                             2023年7月12日

鈴鹿市教育委員会教育長            

廣田 隆延 様 

みえ教育ネットワーク教職員ユニオン                         委員長 大原 敦子

 

 小学生を自衛隊体験入隊させるイベントへの

         後援取り消しと再発防止を求める要望書

 

 日頃は鈴鹿市の学校教育・社会教育のためにご尽力いただき、ありがとうございます。

 さて、今般鈴鹿市内の小学校において、「第31回フロンティアアカデミー」のチラシ(別添)が4・5・6年生の児童を対象に配布されました。

 

 このイベントは陸上自衛隊三重県地方協力本部四日市地域事務所の協力のもと、一般社団法人鈴鹿青年会議所が主催するもので、鈴鹿市教育委員会が後援しています。陸上自衛隊体験入隊3days」と銘打ち、7月28日から30日までの3日間、津市にある陸上自衛隊久居駐屯地に鈴鹿市内の小学4・5・6年生32名を宿泊させ、陸上自衛隊が企画する各種活動を体験させるというものです。

 応急救護体験やロープワークの学習など、災害対応や人名救助などに主眼を置いた活動がある一方で、「駐屯地施設見学」「自衛隊の活動、任務を学ぶ」「基本教練、自衛隊の一員になろう」「自衛隊の秘密兵器!リアル車両体験」(チラシより)など、自衛隊自衛隊の任務に対する理解を深めることを目的とした活動も含まれています。

 自衛隊に対する国民の考え方は様々であり、このようなイベントに積極的に参加したいと考える児童や、参加させたいと考える保護者がいる一方で、場合によっては人命を奪うことにもなりうる自衛隊の任務内容に恐ろしさを感じたり、自衛隊そのものの存在に疑問を感じたりする児童や保護者もいます。

 自衛隊が深く関わるイベントのチラシを学校で配布することについては、慎重な対応が求められます。

 また、教育委員会がイベント等を後援する場合、「鈴鹿市教育委員会後援等の取扱いに関する要綱」(平成25年教育委員会告示第4号。以下「要綱」といいます。)にしたがって後援の可否を判断することになります。

 

 要綱第3条には、後援の対象となる事業の要件として「本市の教育行政施策の推進上有益であると認められる事業」とありますので、このたびのイベントは鈴鹿市教育委員会として「本市の教育行政施策の推進上有益である」と認めたことになります。

 

 しかし、このたびのイベントの内容と、私たち教職員が学校で子どもたちに教えていることの間には深刻な矛盾があります。鈴鹿市においては「命を尊重し、人の多様性を認め合える子ども」(鈴鹿市教育大綱より)の育成が目指されていますが、自衛隊の主たる任務である「わが国の防衛」(自衛隊法第3条)は、有事の際は、さまざまな国や民族との対話を打ち切り、自らの命を危険にさらしながら人命を奪うことをも意味します。わが国の防衛のあり方の是非はさておき、少なくとも、小学校での教育内容との間には矛盾が生じます。

 まだ判断力の育っていない多感な時期の児童に自衛隊での特別な体験をさせることは、武器・装備品や自衛隊員の表面的な「かっこよさ」を印象づけることになり、戦争への心理的ハードルを下げる恐れがあります。

 

 軍都から平和都市への歩みを続けてきた鈴鹿市が行うべき教育は、戦争の悲惨さや戦争を回避することの大切さを伝えることです。「わが国の防衛」のために実力を行使することを任務とする自衛隊に、一時的であるとはいえ教育を委ねることは、「本市の教育行政施策の推進上有益である」とは到底言えません。

 

 要綱第9条によれば、「承認決定を受けた事業が本市の教育行政施策の推進上有益であると認められない事業であることが判明したとき」(同条第2号)には後援を取り消すことができます。これにしたがい、このたびのイベントに対する後援を取り消すとともに、教育委員会事務局における再発防止を要望いたします。