みえ教育ネットワーク

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小学生の自衛隊体験入隊を教育委員会が後援!!??

小学生の自衛隊体験入隊教育委員会が後援

 鈴鹿市教育委員会が小学生対象の自衛隊体験入隊イベントを後援するという問題が起きました。みえ教育ネットワークは直ちに鈴鹿市教育委員会に文書による申し入れをしました。教育ネットのほか、新日本婦人の会鈴鹿支部三重県平和委員会、九条の会すずか、鈴亀労連も申し入れをしました。現在この5団体連名で鈴鹿市教育委員会に対し、この問題で懇談に応じるよう要請しています(責任の所在、再発防止)。

以下教育ネットの申し入れ文書です。    

      

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                             2023年7月12日

鈴鹿市教育委員会教育長            

廣田 隆延 様 

みえ教育ネットワーク教職員ユニオン                         委員長 大原 敦子

 

 小学生を自衛隊体験入隊させるイベントへの

         後援取り消しと再発防止を求める要望書

 

 日頃は鈴鹿市の学校教育・社会教育のためにご尽力いただき、ありがとうございます。

 さて、今般鈴鹿市内の小学校において、「第31回フロンティアアカデミー」のチラシ(別添)が4・5・6年生の児童を対象に配布されました。

 

 このイベントは陸上自衛隊三重県地方協力本部四日市地域事務所の協力のもと、一般社団法人鈴鹿青年会議所が主催するもので、鈴鹿市教育委員会が後援しています。陸上自衛隊体験入隊3days」と銘打ち、7月28日から30日までの3日間、津市にある陸上自衛隊久居駐屯地に鈴鹿市内の小学4・5・6年生32名を宿泊させ、陸上自衛隊が企画する各種活動を体験させるというものです。

 応急救護体験やロープワークの学習など、災害対応や人名救助などに主眼を置いた活動がある一方で、「駐屯地施設見学」「自衛隊の活動、任務を学ぶ」「基本教練、自衛隊の一員になろう」「自衛隊の秘密兵器!リアル車両体験」(チラシより)など、自衛隊自衛隊の任務に対する理解を深めることを目的とした活動も含まれています。

 自衛隊に対する国民の考え方は様々であり、このようなイベントに積極的に参加したいと考える児童や、参加させたいと考える保護者がいる一方で、場合によっては人命を奪うことにもなりうる自衛隊の任務内容に恐ろしさを感じたり、自衛隊そのものの存在に疑問を感じたりする児童や保護者もいます。

 自衛隊が深く関わるイベントのチラシを学校で配布することについては、慎重な対応が求められます。

 また、教育委員会がイベント等を後援する場合、「鈴鹿市教育委員会後援等の取扱いに関する要綱」(平成25年教育委員会告示第4号。以下「要綱」といいます。)にしたがって後援の可否を判断することになります。

 

 要綱第3条には、後援の対象となる事業の要件として「本市の教育行政施策の推進上有益であると認められる事業」とありますので、このたびのイベントは鈴鹿市教育委員会として「本市の教育行政施策の推進上有益である」と認めたことになります。

 

 しかし、このたびのイベントの内容と、私たち教職員が学校で子どもたちに教えていることの間には深刻な矛盾があります。鈴鹿市においては「命を尊重し、人の多様性を認め合える子ども」(鈴鹿市教育大綱より)の育成が目指されていますが、自衛隊の主たる任務である「わが国の防衛」(自衛隊法第3条)は、有事の際は、さまざまな国や民族との対話を打ち切り、自らの命を危険にさらしながら人命を奪うことをも意味します。わが国の防衛のあり方の是非はさておき、少なくとも、小学校での教育内容との間には矛盾が生じます。

 まだ判断力の育っていない多感な時期の児童に自衛隊での特別な体験をさせることは、武器・装備品や自衛隊員の表面的な「かっこよさ」を印象づけることになり、戦争への心理的ハードルを下げる恐れがあります。

 

 軍都から平和都市への歩みを続けてきた鈴鹿市が行うべき教育は、戦争の悲惨さや戦争を回避することの大切さを伝えることです。「わが国の防衛」のために実力を行使することを任務とする自衛隊に、一時的であるとはいえ教育を委ねることは、「本市の教育行政施策の推進上有益である」とは到底言えません。

 

 要綱第9条によれば、「承認決定を受けた事業が本市の教育行政施策の推進上有益であると認められない事業であることが判明したとき」(同条第2号)には後援を取り消すことができます。これにしたがい、このたびのイベントに対する後援を取り消すとともに、教育委員会事務局における再発防止を要望いたします。