みえ教育ネットワーク

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あのはだしのゲンが貸し出し禁止になっていた!

 8月18日(日)、津市内で教育関係者の集まりがありました。そのとき話題になったのが、松江市の小中学校で「はだしのゲン」が閲覧制限を受けているというニュース。「はだしのゲンは間違った歴史認識を植え付けるから撤去せよ、などと右派からの攻撃があったそうだが、それに屈する教育委員会はなさけない。」「教委の指示をおかしいとも思わない現場はどうかしている。」などの意見が相次ぎました。「そんなことがあったとは、今はじめて知った」という人もいたので、あらためて、ことの経緯を紹介します。

 以下朝日新聞デジタル2013年8月17日付けより引用
はだしのゲン」小中校で閲覧制限 松江市教委「描写が過激」

↑「はだしのゲン」第5巻(汐文社)の表紙

 広島での被爆体験を描いた、漫画家の故中沢啓治さんの代表作「はだしのゲン」(全10巻)が、昨年12月から松江市内の市立小中学校の図書館で子どもたちが自由に見ることができない閉架の状態になっていることが分かった。市教育委員会が作品中の暴力描写が過激だとして、各校に閲覧の制限を求めた。

 市教委によると、描写が残虐と判断したのは、旧日本軍がアジアの人々の首を切り落としたり、銃剣術の的にしたりする場面。子どもたちが自由に見られる状態で図書館に置くのは不適切として、昨年12月の校長会で全巻を書庫などに納める閉架図書にするよう指示したという。

 現在は作品の貸し出しはしておらず、教員が校内で教材として使うことはできる。市の調査では市立小学校35校、中学校17校のうち、約8割の図書館がはだしのゲンを置いている。

 はだしのゲンをめぐっては昨年8月、「ありもしない日本軍の蛮行が描かれており、子どもたちに間違った歴史認識を植え付ける」として、小中学校からの作品の撤去を求める陳情が市民から市議会にあった。

 12月の市議会教育民生委員会で審査した結果、「議会が判断することには疑問がある」と全会一致で不採択になった。複数の委員から「大変過激な文章や絵があり、教育委員会の判断で適切な処置をするべきだ」との意見が出たため、市教委があらためて協議し、閉架を決めたという。

 市教委の古川康徳副教育長は「作品自体の価値は高いので撤去するつもりはないが、子どもたちが自由に読むには配慮しなければならない部分がある」と説明している。

 作者の中沢さんの妻ミサヨさん(70)によると、中沢さんは生前、「戦争や原爆を食い止めるためには、子どもにも残酷でもその悲惨さを伝えるしかない。ゲンは子ども向けに描写をやわらげたが、実際の残酷さはあんなもんじゃない」と語っていたという。

 松江市教委の対応について、ミサヨさんは「信じられないし、悲しい。戦争や原爆の悲惨さや痛みがわかっていないのではないでしょうか」と話した。

 ■作品の本質見抜く力信じて
 広島で平和活動に取り組むNPO法人「ANT―Hiroshima」代表の渡部朋子さん(59)は「残虐なシーンは確かにあるが、子どもたちは『困難に負けず強く生きる』という作品の本質を見抜く力を持っている。子どもたちを信じて自由に読ませてあげてほしい」と語った。(藤家秀一、武田肇

 ◆キーワード
 <はだしのゲン> 昨年12月に死去した中沢啓治さんが、6歳の時、広島で被爆し、父や姉、弟、妹を亡くした体験を基に描いた自伝的作品。73年に週刊少年ジャンプ集英社)に連載を始め、単行本は汐文社版など650万部を超すベストセラーとなり、約20カ国語に翻訳されている。昨年度からは広島市平和教育の教材に使われている。核軍縮・不拡散の必要性を伝えるため、日本政府が核不拡散条約(NPT)の加盟国に英語版を配布したこともある