臨時教職員の退職手当がついに100%支給されることになりました
みなさんはご存じでしたか?
臨時教職員の退職手当が規定の60%しか支給されていなかったことを。
三重県臨時教職員制度の問題を考える会やみえ教育ネットワークが毎年県教委に要求し続けて、ついに今年から100%支給されるように改善されたのです。
三重県臨時教職員制度の問題を考える会の会報「ひまわり2023年2月7日号」には喜びの声があふれています。許可を得て転載します。
退職手当が100パーセント支給に!
これまで40パーセントが不当にカットされていた常勤講師の退職手当が100パーセント支給されることになりました。40パーセントもカットされていたことに驚かれる方も多いと思いますが、現在の組織がスタートした頃から取り上げていた問題です。30年以上にわたって要求し続けて、やっと退職手当100パーセント支給が実現しました。
強制的な自己都合
三重県の公立学校職員の退職手当に関する条例には、自己都合による退職の場合は『勤続期間一年以上十年以下の者 百分の六十』とあります。これを常勤講師の退職手当支給に当てはめていました。
臨時教員が任用されて1年後にその仕事が終わるのは辞令に書かれた任用期間が終了するからであって、本人の意思で自ら退職願を出して退職するわけではありません。にもかかわらず、強制的に自己都合による退職の定義をあてはめていました。これまでは、こうして退職手当を40パーセントカットしていたのです。
明らかな条例違反
臨時教員も公務員ですから、その身分や処遇は全て条例によって規定されます。退職手当も条例によって規定されます。常勤講師の退職理由が、退職手当に関する条例第三条二項に該当しないにもかかわらず、勝手な解釈によって当てはめていたわけですから、これは条例違反以外の何物でもありません。
公立学校職員の退職手当に関する条例(抜粋)
第三条 次条又は第五条の規定に該当する場合を除くほか、退職した者に対する退職手当の基本額は、退職の日におけるその者の給料の月額に、その者の勤続期間を次の各号に区分して、当該各号に掲げる割合を乗じて得た額の合計額とする。
一 一年以上十年以下の期間については、一年につき百分の百 以下省略
2 前項に規定する者のうち、傷病又は死亡によらず、かつ、第八条の三第八項に規定する認定を受けないで、その者の都合により退職した者に対する退職手当の基本額は、自己都合等退職者が次の各号に掲げる者に該当するときは、前項の規定にかかわらず、同項の規定により計算した額に当該各号に定める割合を乗じて得た額とする。
一 勤続期間一年以上十年以下の者 百分の六十
安上り政策
かつての交渉の中で、「もし100パーセント支給したら、3億円相当の予算が必要になる」と説明されたことがありました。教育予算全体が削減されているとはいえ、条例に違反してまで退職手当を40パーセントもカットしていい理由にはなりません。正規教員と同じ仕事をしながらも、給与は低く抑えられているのに、退職手当まで不当な理由をこじつけて安く上げようとしていたのです。
人権侵害
退職手当の支給にも申請書類があります。当然、申請者が記入するのですが、かつては「退職理由欄には自己都合と書きなさい」と管理職から指示されました。
自発的に退職するわけではないのに、矛盾を感じながらも自己都合と書いていました。事実ではないことを書かされる、これほど屈辱的なことはありません。まさしく人権侵害です。
心よりお礼申し上げます
考える会では、これまで様々な問題を取り上げて運動し、改善を勝ち取ってきました。
活動を始めたころは、教育委員会に対して要求をするという行為に躊躇していました。どのようにして声を上げていいのかもわからず、要求しても簡単には変わらないだろうと思い込んでいたのです。特に採用選考試験に関しては山のごとく動くものではないと思っていました。
ところが、試験会場までの臨時バスが不便であると改善を要求したところ、次年度からそれが改善されたのです。些細なことではありますが、要求すれば変わるものだと思いました。
それ以来、非常勤講師の時間単価アップや採用選考試験に関する情報公開など、臨時教員の待遇改善と採用制度の改善で成果を得ることができました。その中で、どうしても改善が進まなかったのが退職手当40パーセントカット問題です。明らかに条例違反であることはわかっているわけですから、歯がゆくて悔しい思いすらありました。その問題が、この度改善されたのです。
この喜びは、これまで考える会の活動を応援していただいた方々と共有したいと思います。ありがとうございました。 F.OHRA
以上、三重県臨時教職員制度の問題を考える会の会報
「ひまわり2023年2月7日号」からの引用でした。