みえ教育ネットワーク

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給特法廃止は本当に良い結果に繋がるのか!?


給特法の適用されない非常勤講師の残業代請求の結末

  ー給特法廃止は本当に良い結果に繋がるのかー

 給特法という法律が公立学校教員を「定額働かせ放題」にしていという報道がされることが多くなりました。

  給特法が原則的に超過勤務は命じられない旨を定めているにも関わらず、制定当時に比べ、教員の労働環境は著しく悪化しました。「超過勤務は命じられないことになっているから命じていない。すべて教員による自発的勤務だ」という詭弁とともに、実際には膨大な業務量が教員に課されています。

  過労死ラインをはるかに超える働き方をしている教員が日本全国には相当数いることでしょう。給特法自体に問題があるのは確かだと思います。では、給特法を廃止すれば、教員のブラック労働は解消するのでしょうか?その答えはNoだと思います。


 給特法が廃止された場合、常勤教員は残業代支給対象になりますが、現在の時間外労働と賃金がリンクしない状態でも使用者側は「勤務時間外の労働は命じていない」と主張してきます。これが賃金とリンクしたらより一層時間外労働を認定しないことが予想されます。

 

  また、民間と異なり、地方公務員法によって、公立学校教員に関して、労基署が介入することができません。その代わりに行政寄りの判断ばかりする人事委員会が監督機関となります。これでは人事委員会に働きかけをしても賃金が適正に支払われず、業務量抑制には繋がらないでしょう。


  もし地方公務員法が改正されて労基署が介入できるようになれば、業務量の適正化を行わない使用者は刑事責任を問われることもあり得ます。それならば、給特法下であっても使用者側にとって、業務改善を行う強いインセンティブが生まれます。したがって、本当に必要なのは給特法廃止ではなく、地方公務員法改正なのではないでしょうか。

 当組合では昨年、公立小学校の非常勤講師を務める委員長が、三重県人事委員会に対し、残業代の支払いを求めた措置要求を行いました。しかし、判定結果は棄却でした。これは給特法廃止後の世界を先取りしたものですので、やはり給特法廃止は教員たちが期待するような幸せな未来には繋がらないことを意味しているのではないでしょうか。

 

 むしろ教職調整額分の賃金が減額となるだけのリスクもあります。労基署が介入できない状態であれば、給特法の廃止は危険だと言わざるを得ません。  執筆(は)

                    

【参考】非常勤講師講師による残業代請求措置要求についての三重県人事委員会の判定(一部抜粋)

第6結論
 以上のとおり、要求者からの要求は、これを認めることができない。よって、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第47条及び勤務条件に関する措置の要求に関する規則(昭和26年三重県人事委員会規則第11-0号)第7条の規定に基づき、主文のとおり判定する。なお、結論を左右するものではないが、次のとおり付言する。

 所定時間外に勤務を行うことについて、事前に報告、相談等をすることなく、事後に報酬の支払を求めた要求者の要求は認められるものではないが、非常勤講師が、所定勤務時間に収まらない業務量を担う状況は避けられるべきである。県教委、市教委及び各学校におかれては、非常勤講師の勤務状況を把握して、適切な制度運用に努められることを期待する。

 

☆2月3日に河芸公民館で講演する内田先生が給特法に対してどんな話をされるか、期待します。