待遇改善で大きな前進!
11月13日(金)午後2時から、みえ教育ネットワーク教職員ユニオンと三重県教育委員会との地公法55条にもとづく団体交渉が行われました。交渉は「2020年度要求書」に沿って行われ、ユニオンは現場の実態を具体的に語り、臨時教員の待遇改善や、教職員の労働条件改善などを、心をこめて訴えました。
中でも、要求項目1に掲げた臨時教職員の待遇改善に関してはいくつかの前進が見られました。
地公法が改正され正規と非正規の不合理な格差を解消することが求められています。県教委は昨年の交渉で約束したとおり、今年度(令和2年度)より、これまであった3月31日の空白日を無くしました。これにより健康保険が継続し、年休も繰り越されます。
臨時教員の願いが、ついに実現しました。また期限付講師と臨時的任用講師の賃金格差をなくし一本化されました。「同じ仕事をしているのに臨時的任用講師になると給料が下がるのはおかしい」と、何度も繰り返し訴えてきましたが、これが改善されました。さらに県教委は令和3年度から臨時教員の給与の上位制限を撤廃すると明言しました。「臨時教員の給与は25万円で頭打ち。そのあとは正規教員との差がどんどん開いていく。こんな働かせ方はおかしい。」と訴え続けてきたことが、いよいよ改善されるのです。臨時教員運動が長年かけて要求してきたことがこのように改善されたことは実に喜ばしいことです。
いっぽう、講師と正規の格差については相変わらず「職務が違うから同一にできない」との回答。「何が違うのか」と迫ると「講師は主任ができないから」。どうやらこれが唯一の理由。しかし実際には実質上の主任をしているベテランの臨時教員も多く、仕事上の違いはありません。「地公法改正に伴い教諭格付けしている県もあるが、知っているか」との問いに県教委は「臨時的任用の教諭があることは知っている」と述べるものの、「講師は1年間の任用で2年目はない。継続して雇用される教諭とは違う」とあくまで職務の違いをくりかえしました。近隣府県では講師と教諭の格差をなくすところまで改善しています。引き続き実現めざして要求していかなければなりません。
その他、臨時教職員に関する回答で主なものは以下の通り。
◎正規教員の比率を高めよ→新採を一定数確保し正規率を高めていきたい
◎臨時の事務補助員、学校栄養補助員などの昇給や病休を認めよ→令和2年度より会計年度職員に移行し、昇給が実現。病休も7日まで付与。
×講師経験を採用基準に反映せよ→地公法との関係で講師だけを優遇は難しい
×講師の健康診断→現行のまま
×再任用を定数外に→年金開始年齢までは正規で雇用することになっている
×非常勤講師を特別選考Ⅱに含めよ→難しい
×非常勤講師の月給制→地方自治法で「勤務量に応じて支給」となっており、時間数が月により変動するので難しい
非常勤講師をめぐっては「教材研究やテスト作成、採点など授業以外の業務に関し相応の報酬を支給すること」を要求しました。三重県内の市町採用の非常勤講師の中には、テスト作成・採点など授業以外の業務に関して一定の賃金が支払われているところもあります。ところが県教委は「認められない」との姿勢。
非常勤講師はテスト作成や採点を時間外や家に持ち帰って行っているのが実態です。いわばサービス残業。それに対して「非常勤講師の時給(2910円)にはそれも含んでいるんだ」という議論もありますが、それをきっぱり否定するニュースが11月14日の中日新聞で報じられました。名古屋市で非常勤講師が時間外労働分の賃金を求めて労基署へ申告し、労基署の指導に基づいて市教委が支払いを決定したのです。
「非常勤講師の勤務について労基法に基づく労働時間と認め、対価を支払うと決めた点が大きな成果」と埼玉大学の高橋准教授が述べています。私たちの運動を後押ししてくれる決定です。以下、11月14日付の新聞記事をご覧ください。
県教委との交渉では、以下の項目について要求しました。詳しい報告は、今回は割愛します。
1 臨時教職員の待遇改善
2 勤務時間・サービス残業・賃金
3 「人事評価制度」について
4 30人学級の実現
5 全国学力・学習状況調査への対応およびスタディ・チェックについて
(以上、報告;吉田)