「観覧車の幻」
金融緩和・円安・株価上昇のカラクリ
京都新聞の辛口コラム
あっという間に株価は急上昇、大喜びする投資家の顔をテレビは大写しします。安倍さんのやりたい放題に京都新聞のコラムは「国民に幻をみせ、観覧車に乗せている間に日本をどこへ導くつもりか」と批判しました。以下、紹介します。
(写真はイメージです→)
京都新聞 2014年11月6日付より引用
新人の証券マンに先輩が説く。株なんて幻だ。客がもうけたら帰らすな。次の幻をみせて観覧車に乗せ続け、がっぽり手数料をかせげ−。風雲児と呼ばれた証券マンの自伝を基にした米映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」だ
▼先週末、日銀が不意打ちで追加の金融緩和を決めた。お札を多量に刷って「円」の価値をさらに下げる。輸出企業はもうかる。その期待で関連企業の株が上がる。週明け、円安と株高が進んだ
▼円安は物価を上げ、家計を痛め、中小企業をしんどくする。民間企業出身の日銀委員らは反対したが、安倍晋三首相に抜擢(ばってき)された総裁らが押し切った
▼示し合わせたように、政権は公的年金の積立金で株を買い増すと決めた。もうかれば良いが、損を出せば年金財政は一段と悪くなる。ためらう厚労省官僚の上に、積極派の「お友達」大臣を据えたのも首相だった
▼大歓迎したのはウォール街を中心とした外国人投資家である。日本株売買の6〜7割を占める。日本の年金がつぶれようと、彼らの老後には関係がない
▼政界に「株価の高さと内閣支持率は連動する」との言い伝えあり。信じているらしい首相は奇策を駆使して株価を釣り上げ、政権維持に汲々(きゅうきゅう)と映る。国民に幻をみせ、観覧車に乗せている間に日本をどこへ導くつもりか。
[京都新聞 2014年11月06日掲載]※読みやすくするために、改行しました。