ひょっとすると、「橋下ブーム」はもはやピークを過ぎたと言えるのかもしれない。
橋下市長の不倫問題が女性週刊誌に載り、さすがの彼もインタビューではいつもの余裕が見られませんでした。女性の間では急速に橋下離れが起きていると言われています。
しかし、不倫報道が行われる前から、広原盛明氏(都市計画・まちづくり研究者)がブログ「リベラル21」(2012.07.08)で次のように発言していることは、注目に値します。紹介します。
以下、「リベラル21」http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-2041.html より引用
・・・・ひょっとすると、「橋下ブーム」はもはやピークを過ぎたと言えるのかもしれない。ひとつは分析力の衰えによって、もうひとつは政策力の枯渇によってである。現下の情勢に対する分析力の衰えは、何にも増して「大飯原発の再稼働容認」という致命的な“情勢の読み違え”に象徴されるだろう。ツウィッターを駆使する橋下氏が、その後の歴史的な「反原発官邸デモ」の展開を予測できなかったところに、彼が「ふわっとした世論」をキャッチする能力をもはや失ったことがあらわれている。
政策力の枯渇は、次期総選挙に向けての「維新八策」がなかなかまとまらなかったことに加えて(7月5日に漸く公表)、今回の「2大争点」がマスメディアの話題にもならなかったことが象徴的だ。地方行財政の研究者はもとより、地方自治を専門とするジャーナリストや各紙編集委員の間でも、「この程度の政策ではねえ」との否定的反応が一般的だった。
皮肉なことに、「第3極の星」としてこれまで引く手数多(あまた)だった橋下氏の勢いが、このところ小沢グループの民主党離党と新党立ち上げを境にして急速に萎んできた。原発再稼働を容認し、「市政改革プラン」と称して大阪市民の生活をズタズタに破壊している橋下氏にとって、いまやタテマエにしろ「国民生活が第一」(反消費税、反原発)を掲げる小沢新党とは対極の位置に立つ他はなくなったのである。
といって、核武装や改憲を主張する石原新党と連携すれば、橋下新党に対する国民の警戒心が一挙に高まり、さすがのマスメディアも翼賛的報道をいつまでも続けるわけにはいかなくなる。マスメディアに支えられた「橋下ブーム」は移ろいやすく、幻想と虚像の剥げる日が一層近くなるだけだ。
結局のところ、総選挙があろうとなかろうと橋下新党は“立ち往生”せざるを得ないのではないか。近く総選挙が行われても下手に国政選挙に打って出れば、鳩山氏と手を組んだ小沢新党と自公民3党連合の挟み撃ちに遭って失速する可能性が大きい。総選挙が遠のけば、小沢新党と自公民3党連合の国会対決に国民の目が移り、地元大阪での「橋下人気」の下落も加わって橋下新党の国政進出の芽は急速に萎れていくだろう。
思えば、財界や関電の圧力に屈して大飯原発の再稼働に手を貸したことが橋下新党の運命の分岐点だった。「反原発」を掲げて橋下新党を立ち上げ、「反原発官邸デモ」にでも参加していれば、怒涛のような「橋下新党ブーム」が湧き起こったかもしれない。しかし、歴史はそのような悪戯(いたずら)を許さない。ポピュリストでありデマゴーグである橋下氏は、それにふさわしいシナリオで歴史の舞台から消える他はないのである。 (以上、引用終わり)