2011年9月30日、人事院は「2013年度から3年ごとに1歳ずつ段階的に定年を引き上げ、2025年度には65歳定年とする」という方向を打ち出しました(2011年度人事院勧告「定年制の延長にかかわる意見の申し出」)。ところが、野田政権は「定年延長はしない」ことを決めました。朝日新聞(3月22日付)の記事を以下に引用します。
公務員定年延長、見送りへ、政権、再任用で対応方針
野田政権は21日、年金支給開始年齢の引き上げに伴う国家公務員の定年延長を見送り、再任用で対応する方針を固めた。22日の有識者会議に示し、近く行政改革実行本部(本部長=野田佳彦首相)で正式決定する。
サラリーマンの年金の支給開始年齢は、2013年度から段階的に65歳まで引き上げられる。政府は、国家公務員の定年を現在の60歳から65歳に延ばす方針だったが、民間企業の約8割が再雇用で対応していることも踏まえ、方針転換した。
定年退職する職員がフルタイム(常時勤務)の再任用を希望する場合、退職日の翌日から再任用を義務づける。任期は1年以内で、毎年更新する。ただ、職員に適性がないと判断した時は「再任用の義務は課されない」とした。短時間の再任用を希望する場合も、可能な限り対応するよう求めた。局長や部長などの管理職は、再任用で他の役職を充てることを検討する。
また、早期退職の支援について「検討し、早急に実施に移す」とした。これについて岡田克也副総理は21日の会見で、「自発的に早期退職に応募した人に、退職手当が優遇される希望退職制度の導入を検討する」と述べた。 (引用終わり)
年金支給は繰り下げ
定年延長は見送られましたが、私たちの共済年金の支給年齢は確実に引き延ばされていきます。平成12年の改正で、次のように段階的に廃止することが、すでに決まっています。
『生年月日』 『退職共済年金支給開始』
・昭和28年4月1日以前の人 60歳
・昭和28年4月2日〜昭和30年4月1日 61歳
・昭和30年4月2日〜昭和32年4月1日 62歳
・昭和32年4月2日〜昭和34年4月1日 63歳
・昭和34年4月2日〜昭和36年4月1日 64歳
・昭和36年4月2日以降の人 65歳
【公立学校共済組合HPより】
60歳で退職した場合、年金開始まで、無収入です。「定年退職する職員がフルタイムの再任用を希望する場合、退職日の翌日から再任用を義務づける」となっていても、心身ともに疲れ果て、60歳の定年まですら働き続けられないのが実態です(教職員の平均退職年齢51.3歳=文科省調べ)。こんな状態では、年金支給までの生活設計をどうするか、頭の痛い話です。
マンガは「クレスコ 2012年1月号」より