みえ教育ネットワーク

「 みえ 教育 ネットワーク 」は 三重県に勤務する、教育に関わる 全ての 職種 (正規・非正規 とも)、誰でも一人から入ることができる労働組合です。無料ブログのため、CMが入りますが、ご了承ください! ホームページは https://menwtuhp.jimdofree.com/ にあります。                 

その3「競争をあおる学力テストの中止」ほか

 前号、前々号に引き続き11月16日(金)に行われたみえ教育ネットワーク教職員ユニオンと三重県教育委員会との交渉のようすをお知らせします。今回は「競争あおる学力テストの中止」編。もっと詳しいことをお知りになりたい方は、みえ教育ネットワーク( E-mail;mieroren@circus.ocn.ne.jp )までお問い合わせください。

「訓練で点数上げても意味ない」と一致点も

 学力テストに関しては「競争をあおるだけ」「意味がないから中止すべき」という教育ネットと「自分で課題を解決していく力、共生していく力が大切。学力テストはそのためにあると理解している。」との立場に立つ教委の間で平行線でしたが、四日市市教委が学力テストに向けて2年の3学期に今年行った過去問を実施させると言っていることに関して「訓練したところで、実際、子どもたちが本当の意味で学びたいとか、学力を向上させたいという意識にならない限りは、たとえ少し点数が上がったとしても意味がない。」(県教委)と、この点では一致できました。

 なお、みえ教育ネットワーク教職員ユニオンが提出した「2012年度 要求書」は以下のとおりです。


                                   2012年10月1日     
三重県教育委員会事務局
教育長  真○秀○ 様
                                みえ教育ネットワーク教職員ユニオン
                                執行委員長   加○ 善○

                  2012年度 要求書
 
 日頃は、三重県の教育行政へのご尽力に、敬意を表します。組合員の総意で下記の通り要求をまとめましたので、よく検討され、誠意ある回答をくださるよう、お願いします。

 勤務時間・サービス残業・賃金
 今・教育現場では、長時間・過密労働が蔓延しており、そのために心身に異常をきたす教育労働者が増加しています。2012年のみえ労連「第2回教育アンケート」によれば、昨年度、三重県内では教員の病気休暇・病気休職は415人(前年度比11人増)、そのうち精神疾患によるものが216人(前年度比32人増)に上っています。こうした点を踏まえ、以下のことを要求します。
(1) 超過勤務の実態を出来る限り正確に把握すること。
(2) 勤務時間を超える会議(職員会議・研修会・学年会など)について、適切な指導を行うこと。
  ・会議が勤務時間を超えないようにさせること。出張の場合、終了時間が移動時間を入れても勤務時間を超えることがないよう十分配慮させること。
  ・やむを得ず勤務時間を超えて会議が行われた場合は、必ず勤務時間の割り振り調整を行わせること。
(3) 休憩時間を確保させること。または、その回復措置を講じさせること。
  ・労基法に定められた休憩時間を全ての教職員がとれていないという実態を踏まえ、休憩時間確保のための具体的対策を講ずること。それができない場合、回復措置を講ずること。
(4) 中学校の休日の部活動指導への対策として、実態把握と具体的な指導を行うこと。また、特別勤務手当を最低賃金制度を満たす額に引き上げること。
 ・休日の部活動に対し、「原則として土日のうち1日は実施しない」などの適切な規制を行うこと。
 ・休日の特別勤務手当を時給にして700円以上のものに変更すること。
(5) 提出書類の精選を行い、教職員の負担軽減を図ること。
(6) 三重県職員と教職員に対して、3%賃金カットが4月から実施されており、その代償として「意欲向上・元気回復休暇」が3日間与えられたが、到底容認できません。25年度は賃金カットを実施しないこと。

 臨時教職員の待遇改善 
 2011年度の三重県の非正規教員の割合は27%、実に4人に1人の割合で、沖縄に次いで全国2番目に多い割合です。臨時教職員抜きで三重の教育は成り立ちません。昨年は、夏期休暇を正規教員と同じ5日間に、今年度は、臨時事務補助員の忌引休暇を正規職員並みに改善していただき、私達も大きな励ましになりました。
 この三重の教育を底辺から支えている臨時教職員が希望を持ち、意欲を持っていきいきと教育活動に専念できるよう、以下の点について強く要望します。
(1) 退職手当の60%支給をやめ、任期満了による退職として100%支給をすること。
また、なぜ任期満了が自己都合に当たるのか、法的根拠を示すこと。
(2) 期限付講師と臨時的任用講師の差別化をやめ、上位制限を廃止して、経験年数に応じた昇給をはかること。
(3) 他府県にならい、3月31日の1日の空白は「雇用の継続」とみなし、年休の繰越を認めること。
(4) 教員採用試験での講師経験を加味した改善をはかること。
 ・選考試験における経歴評価を行うこと。
 ・一次試験を合格した者は、一定期間一次試験を免除すること。
(5) 任用継続講師の4月当初の事務手続きの簡素化をはかること。 
(6) 労働安全衛生法にもとづいて、講師採用時の健康診断を公費でおこなうこと。
(7) 臨時の事務職員の待遇の大幅な改善をはかること。 
 ・給与の大幅な増額と昇給をはかること。
 ・年次有給休暇を正規職員並みに支給すること。

 全国学力・学習状況調査への対応
 昨年度は、県教委の主導のもと、三重県内のほぼ全ての公立小中学校が全国学力・学習調査(以下、「全国学力テスト」と省略)に参加しましたが、私たちは、この調査は、問題内容・実施方法・結果の活用などの様々な点で以下のような大きな問題があると考えます。今年度は、実施の決定は市・町教委が行うとしても、県教委が、昨年度のような実施希望校を募るようなことをしないよう、強く求めます。
<私たちの考える問題点>
(1) テストそのものが本当に児童・生徒の「学力」を測るものとは考えられない。
  ・問題そのものにどんな力を測りたいのか理解しがたいものがいくつもある。(小学校国語Bの3の一の「記事の特徴」など)
 ・問題の中に、たとえ正答率が低かったとしても、本来、授業でとりくむものではないものが含まれている。(中学校国語Aの7の六の「ローマ字」など)
 ・回答が○か×でしか判定されないが、単純に判定できない問題がいくつもある。(中学校国語Bの1の三の「作文」など)
(2) 類似したテストを繰り返すことによって、ある程度の正答率の向上が期待できてしまう。実際にこの4月当初から過去問を繰り返していたという学校があるという情報が寄せられている。
(3) 判定結果が返ってくるのが4ヶ月後である上、解答用紙が返却されないため、「結果の分析」といっても単に「正答率」の全国(または県・市・町)平均との差を見て「課題」とその「対策」を考えるだけである。ましてや1人ひとりの児童・生徒に対する学習指導などは、全く不可能である。
(4) 競争が目的ではなく、本当の「学力の向上に向けた調査」であれば、全国や市町平均と比較する必要はないはずだが、自治体の首長が「上位○位をめざす」などと競争を煽っている現実がある。

 30人学級の実現     
 児童生徒の多様化に伴い、少人数クラスを実現しゆきとどいた教育を求める声はますます高まっています。昨年4月より小学1年の学級定数が35人になり、少人数学級が国レベルにおいて実現の一歩を踏み出しています。
これらを踏まえ、自治体として精一杯の努力を要請するものです。
(1) 義務標準法による国庫加配定数によってまかなっているだけの加配だけでなく、県独自の施策を行うこと。
(2) 現在小1、小2で実施されている30人学級、中1で実施されている35人学級を学年進行で適用範囲を拡大し、早期に全学年で実施すること。
(3) 特定の学校に少人数学級の適用を妨げる「下限25人条項」を撤廃すること。
(4) 教育予算を増やし、正規教員を大幅に配置することによって少人数教育をすすめること。


 「新しい教職員評価制度(教職員育成支援システム)」の試行の中止・再検討
 「新しい教職員評価制度(教職員育成支援システム)」の試行が行われています。これは教育現場をさらに多忙にするだけで育成支援に役立たないばかりか、学校に統制・強制を持ち込み、児童・生徒を中心に据えた学校教育の創造に多大な困難をもたらす危険があり、撤廃すべきものと考えます。当面、以下の点について要望します。
(1) 名称通り教職員の「育成支援」にシステムの機能を限定すること。
(2) 評価は、賃金・処遇ともに将来的にもリンクしないことを明言すること。(昨年度「現時点ではリンクしないこと」を確認済み)
(3) 目標設定において、安易に「数値」を求めないこと。
(4)「育成支援」は職員と育成支援者との間で行われるものである。今後共「評価票」を教育委員会に提出する必要はないことを明言すること。
(5)「育成支援」に有効であると言うのであれば、現場の教職員に対してこの制度の有用性や不安についてアンケートを実施し、結果を公表すること。

 指導力向上支援事業について 
 三重県教委はこの指導力向上支援研修について次のように説明しています。
「指導が不適切と認定された教員は1年間、総合教育センターで『指導力向上支援研修』を受講し、受講後、審査委員会と判定委員会で判断し、復帰させるか、他の職に転職させるか、自主退職を勧める」(2009年6月議会答弁)
私たちは、この研修はあくまで「現場復帰」が目的であり、「自主退職を勧める」などということがあってはならないと考えます。対象者の選定、研修内容・方法に関し、以下の点について要望します。
(1) 対象者選定にあたっては、一方的な「観察・指導」をはじめとして、制度の恣意的な運用を排除すること。
(2) 病休から明けて間もない人や精神科・心療内科に通院中の人を研修対象とはしないよう、現場に徹底すること。
(3) 研修内容は、現場復帰支援の目的にてらして、不必要・不適切なものは中止すること。対象者を自主退職・分限免職に追い込むことのないような研修にし、退職・免職ゼロを目指した研修にすること。
(4) 所属校での授業改善研修を行う場合は、本人の意思を尊重すること。
                                     以 上