コミック調で読みやすい『徒然草』の本を見つけました。徒然草といえば、昔、中学校で習った、鼎(かなえ 釜のような物)をかぶって取れなくなった坊さんの話を思い出します。
その吉田兼好の『徒然草』の142段に、いいことが書かれていましたので、紹介します。
分かり易く、現代語訳を載せてみます。(途中からですが……)
愛する親のため、妻子のためには、恥までも忘れて、泥棒だってすることもあるでしょう。だから、 泥棒を捕らえ、悪事のみを罰するよりも、世間の人びとが飢えず、寒くならないよう、政治を行ってしかるべきです。人間は、一定の資産や生業がない時は、一定した心の平衡が得られないものです。
人は、苦しまぎれに盗むものです。人を苦しめ、罪を犯させておいて、それを罰するなんて、おかしな話です。
政治がきちんと行われず、飢えと寒さに苦しむ者のあるかぎり、犯罪者はなくならないでしょう。
では、どうしたら人を豊かにすることができるのでしょうか。
上の者がぜいたく、浪費をやめ、民を愛し、農業をすすめれば、しもじもがうるおうのは、わかりきったことなのです。
衣食が足りながら、なおも悪事をたくらむ奴らこそ、ほんものの盗人といわなくてはなりません。 以上
※泥棒などの犯罪を推奨しているわけでは、ありませんが、現在の多くの犯罪は、政治や社会のゆがみから起こっていると言ってもいいでしょう。児童虐待やネグレクト(育児放棄)の背景に、貧困問題が隠れていたりということはよくあります。児童虐待は、児童相談所への虐待通告件数が10年で13倍にも上っています。
吉田兼好は、今から650年ほど前の鎌倉末期の人ですが、タイムスリップして、私腹を肥やしている現在の政治家や財界人の前に現れて、こんこんと諭していただきたいものです。(A)