みえ教育ネットワーク

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私たちの願いが届く国会はできるのか

新しい事実を知るって、楽しいこと
〜五十嵐仁さんの講演を聞いて〜


 5月19日 鈴鹿市で、「選挙制度とマスコミを考える」というテーマの学習会が行なわれ、法政大学教授の五十嵐仁さんが講演しました。講演タイトルは「私たちの願いが届く国会はできるのか」。
 冒頭、五十嵐さんは「この講演タイトルをつけたみなさんは、私たちの願いが国会に届いていない。という思いを持っているからでしょう。国民の多くは原発をなくしてほしいと願っているのに政府は着々と再稼動の準備を進めている。国民の声が届いていれば国会前に集まってデモをする必要はないんです。いったいなぜこんな国会になったのか」と問題を投げかけ、小選挙区制の問題点をくわしく説明しました。

 昨年(1912年)の総選挙で、自民党は、小選挙区では、有権者の25% 比例代表では、16%の得票で、237議席を獲得しました。これは、定数480のほぼ半分の49.3%にあたります。
 一人区で、一人しか当選できないということは、2人立てば、49%が死に票、3人立てば、66%が死に票、4人で、74%が死に票………このように、立候補者が多ければ多いほど、民意は、反映されません。
 これが、小選挙区制が民意を反映しない最悪の選挙制度なのです。
 このような例は多くあり、2000年のアメリカの大統領選挙では、ゴア候補の方が、ブッシュよりも54万票も多かったのに落選しました。ひょっとしたら、その後の世界情勢も変わっていたかもしれません。
 「望ましい選挙制度は、いくつかのブロックに分けた比例代表制が一番だ」と五十嵐さんは言います。これだと、死に票も減り、民意が平等に反映されます。

 話は昨今の政治の話題に移りました。暴走する自民党の多少は押さえ役になっている公明党の役割は、大切だと五十嵐氏は、指摘します
 公明党は、今の安倍自民党とは、本当は、手を組みたくはないらしい。引退してしまった骨のある自民党連中と手を組みたかったようです。しかし小選挙区制の下では公明党単独では議席は得られないのでやむなく組んでいる。
 いっぽう自民党改憲に慎重な公明党より、維新の会と組んで3分の2を確保したいという目論見があった。しかし頼りにしていた維新が慰安婦の問題発言で、あやしくなってきている。たぶん、得票も減るものと思われます。アメリカ大統領までも、安倍首相に対しては、冷遇扱いなのが現状です。

 安倍首相と絶縁状態だった朝日新聞は、関係改善のために幹部が首相と会食をしています。もちろん、費用は、新聞社持ち。仲良く会談をしていては、政府に批判的な記事は、とうてい書けないでしょう。一般商業新聞のなかで、がんばっているのは、東京新聞関係と地方紙ぐらいです。放送局や新聞社の中堅幹部の勝ち組エリート族は、財界・政界の連中とは、学生時代からの人脈でつながっていると思われます。
 
 原発反対10万人集会をしても取り上げないマスコミに対して、私たちは、何ができでるしょうか。それは、抗議することです。五十嵐氏は、視聴率や購読数を気にする放送局や新聞社にどんどんメールを出そうと提案されています。電話でもいいですが、感情的になりますし、時間もかかります。メールなら、事前に文章を作っておけば、たくさんの所へ送れます。
 また、批判ばかりでなく、いい記事や放送に対しては、ほめのメールを送ることも大切です
 現在の固定電話による世論調査は、昼間家にいる人限定になり、若者の意見が少ないのが問題です。
 
 国会に民意が正当にきちんと反映されるような選挙制度にしていくことが急務となっています

 冒頭で話された憲法の話で、興味深いことがありました。それは、戦後のGHQは、天皇制を残すのは、反対だったそうですが、幣原喜重郎首相が、戦争放棄(9条)を考えつき、これがあれば、天皇制は問題ないだろうと、天皇制と引き替えに9条を認めさせたそうです。
 また、森戸辰男が、25条の生存権を入れさせたため、その後に条項の数字が一つずつずれていったそうです。主に追加されたのは、25条と、1院制を2院制にしたことぐらいだったようです。新しい事実を知るって、楽しいことだと思いました。
 侵略戦争についての話題の中で、「世界の経済封鎖で、原油などの資源をたたれたためのやむを得ない戦争で、侵略とは言えない……」とまで、安倍首相らが言っているが、経済封鎖されたのは、日本が朝鮮や中国を侵略したからであり、中国やアメリカなどの外国の地で、日本の軍隊が起こした戦争……これは、明らかに侵略であり、侵略以外のなにものでもない、この明快な理論に納得しました。
 歯切れのいい口調で、分かり易く、選挙制度はもちろん、現在の政治情勢をよく理解することができる2時間でした。(A)