みえ教育ネットワーク

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「戦争への道」を進み始めた1年間

      雪崩のとき      石垣りん

人は
その時が来たのだ、という

雪崩のおこるのは
雪崩の季節がきたため と。

武装を捨てた頃の
あの永世の誓いや心の平静
世界の国々の権力や争いをそとにした
つつましい民族の冬ごもりは
いろいろな不自由があっても
また良いものであった。

平和
永遠の平和
平和一色の銀世界

そうだ、平和という言葉が
この狭くなった日本の国土に
粉雪のように舞い
どっさり降り積もっていた

私は破れた靴下を繕い
編み物などしながら時々手を休め
外を眺めたものだ
そして ほっ、とする
ここにはもう爆弾の炸裂も火の色もない
世界に覇を競う国に住むより
このほうが私の生きかたに合っている
と考えたりした

それも過ぎてみれば束の間で
まだととのえた焚木もきれぬまに
人はざわめき出し
その時が来た、という
季節にはさからえないのだ、と。

雪はとうに降りやんでしまった

降り積もった雪の下には
もう小さく 野心や、いつわりや
欲望の芽がかくされていて
『すべてがそうなってきたのだから仕方がない』というひとつの言葉が
遠い峰のあたりでころげ出すと
もう他の雪をさそって
しかたがない、しかたがない
しかたがない
と、落ちてくる。

ああ あの雪崩、
あの言葉の
だんだん勢いづき
次第に拡がってくるのが
それが近づいてくるのが

私にはきこえる
私にはきこえる。


  2013年12月に秘密保護法が制定され、2014年7月には集団的自衛権行使容認が閣議決定されました。同じく7月には自衛隊員募集のパンフレットが、こともあろうに三重県教育委員会の名前入りで配られました。安倍内閣の下で、日本が急速に「戦争への道」を進み始めた1年間でした。

  上にかかげた詩「雪崩のとき」は、石垣りんさんによって1951年に書かれました。

  あの頃、日本はレッドパージの嵐が吹き荒れ、朝鮮戦争の勃発と相前後して、警察予備隊(1950年)→保安隊(1952年)→自衛隊(1954年)と「再軍備」が進められていった時代です。しかし、憲法9条の平和条項は自衛隊の活動に「自衛のため」という歯止めをかけ続け、「雪崩」をくい止めてきたのでした。

  ところが、あれから60年後の今、憲法改正をかかげる安倍さんが首相になり、日本の歴史は大きな曲がり角に立っています。年末の総選挙で安倍さんは、「この道しかない」と独裁ぶりを発揮。しかし「この道はあぶない」と感じている国民も多くいます。自民圧勝などとマスコミは言いますが、よくみればそうではないことが、選挙結果からもうかがえます。

自民(−3) 維新(−1) 次世代(−17) 生活(−3) 民主(+11) 公明(+4) 共産(+13)

  右派政党の議席は減って、反右派政党の議席が増えています。沖縄では1区〜4区まで辺野古新基地に反対するオール沖縄候補が、自民党を破りました。

  日本をアメリカと共に海外で戦争する国につくりかえようとする力と、それを阻止し平和で暮らしやすい日本をつくろうとする力とのせめぎ合い。2015年は、国会内外の動きから目が離せない年になりそうです。

  1年間、みえ教育ネットワークブログをお読みいただきありがとうございました。
  来年もよろしくお願いします。
   みなさま、どうぞよいお年を……。