子どもに確かな学力がついているかどうかを調べるのは悪いことではありません。しかし、現在、文部科学省が実施している「全国学力テスト」は、ばく大な費用をかけながら、全く現場に活用されないだけでなく、競争をあおり、教育そのものをゆがめる大きな原因となっています。
このような弊害の多い、学力テストは、まず、いったん中止し、もっと現場教師や子ども・保護者の声を集め、内容や実施方法、実施の是非を再検討すべきです。
次のページに学力テストの問題例を載せました。あなたも解いて、どこが問題か、いっしょに考えてみませんか?
平成22年 中学校第3学年 国語A
1 次の百人一首の札の( )に当てはまるものを、【現代語訳】を参考にして、あとの1から4までの中から一つ選びなさい。
光孝天皇
君がため はるの野に出でて 若菜つむ( )
【現代語訳】
あなたにさしあげようと思って、春の野に出て若菜をつんでいるこの私の袖に、まだ雪がちらちら降りかかっているのですよ。 島津忠夫訳注『新版 百人一首』による
1 富士の高嶺に雪はふりつつ 2 わが衣手に雪はふりつつ
3 ふりゆくものはわが身なりけり 4 よしのの里にふれる白雪
平成21年 中学校第3学年 国語A
7 次のAからCまでの短歌を読んで、あとの問いに答えなさい。
A 秋暮れて今年もさむし午后はやく日かげる庭の白菊の光り 木下利玄
B 水すまし流にむかひさかのぼる汝がいきほひよ微かなれども 斎藤茂吉
C 街灯の光とどかぬ舗道にて落葉あかるく月照りにけり 佐藤佐太郎
(注1) 汝=おまえ。 (注2) 舗道=表面を平らに舗装した道路。
1 Aの短歌について、言葉のつながりや意味のまとまりから切れめを付けるとしたらどこになりますか。次の1から4までのうち、最も適切なものを一つ選びなさい(「/」は切れめを表します。)。
(1) 秋暮れて/今年もさむし午后はやく日かげる庭の白菊の光り
(2) 秋暮れて今年もさむし/午后はやく日かげる庭の白菊の光り
(3) 秋暮れて今年もさむし午后はやく/日かげる庭の白菊の光り
(4) 秋暮れて今年もさむし午后はやく日かげる庭の/白菊の光り
平成22年の1番は、<設問の主旨>では『現代語訳を参考にして古文の内容をとらえる』、<評価の観点>では『読む能力』となっていますが、この短歌を知っている子にとっては単なる暗記問題。この問題で『読む能力』が評価できるとはとうてい思えません。
平成21年の7番は「中学生には判断が難しく正解率は29.2%(全国)。3人に1人しか正解しないような問題を出すこと自体が不適切ではないでしょうか。
【 正解 1→ 2 7→ (2) 】
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