みえ教育ネットワーク

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〜みえ教育ネットワークの学テ問題分析・その2(中学校国語)〜

 AとBの難易度の差が大きすぎる。Aでは選択肢から選んだり、単語で答えるものがほとんど(34問中28問)。それに対し、Bは「○字以上、○字以内」という条件付の作文が10問中4問もある。さらにBは引用文が長く、すべてを読むことに抵抗を感じる生徒が多く予想される。
 その上、何を問いたいのか分からないものがある。例えばAの7の七
 Aの7の七 次は、「平家物語」の【冒頭の部分】とその【現代語訳】です。これらを読んで、あとの問いに答えなさい。

【冒頭の部分】
祇園精舎の鐘の声、諸行むじやうの響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰のことわりをあらはす。

【現代語訳】
祇園精舎の鐘の音には、この世のすべては絶えず変化していくものだという響きがある。
沙羅双樹の花の色は、盛んな者も必ず衰えるものであるという道理を表している。

1 傍線部「諸行むじやう」の「むじやう」を漢字で書いたものとして適切なものを、次の1から4までの中から一つ選びなさい。
1 無上 2 無常 3 無状 4 無情
 この部分はどの教科書にも載っているが、詳しく扱うところではない。「むじょう」を問うことは漢字のテストなのか、それとも古典のテストなのか、意図がはっきりしない。

 引用文が長すぎる例としてはBの1。「作家の大岡玲さんと女優の檀ふみさんの対談の一部です」として『美しい日本語とは』と題する1780字(脚注を含むと2000字ほど)の文章が引用されている。そして

Bの1の三 「この対談を読んで、あなたは、これからどのような言葉の使い方をしたいと考えますか。次の条件1から条件3にしたがって、あなたの考えを具体的に書きなさい。」
条件1 対談での大岡さん、檀さんのいずれかの発言の内容を取り上げて書くこと。
条件2 これから使っていきたい言葉の例を挙げて書くこと。
条件3 八十字以上、百二十字以内で書くこと。
という問いが設定されている。

 対談という形式に生徒は不慣れであり、読み取ること自体が困難な生徒が多く予想される。しかも、「〜したいと考えますか」という問いは個人の感覚を問うものであり、本来なら何を書いてもよいのであるが、テストとなると、どうしても出題者の意図に合致するような答え方をしてしまいがちである。条件が3つ示されているが、自分の考えを深めることより、相手の求める条件に従って過不足なく書く能力を要求している。国語の目指すものとは違和感を覚える。また、作文としての○・×の判定の基準はきわめてあいまいであり、問題として不適切といわざるを得ない。