みえ教育ネットワーク

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暑くて苦しくて、心身ともに消耗した3日間 教員採用試験、この過酷な実態

 臨時教員問題を考える会の機関紙「ひまわり」10月20日号に載った、ある臨時教員の教員採用試験奮戦記です。編集部のご了解を得て、転載します。
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「もうこれで最後にしよう!」という覚悟で10回目の2次試験を受けました。
 1日目は体育の実技試験。1年の中で心身ともにもっとも疲れる日。できればやりたくない。好きな運動がこんなに辛いとは…

今年もその日が来ました。
 中学校体育のダンス必修化に伴い、今年から1種目増えて6種目の試験が課されました。球技、マット運動、武道、ダンス、陸上競技、最後に水泳です。球技、マット運動、武道は基本的な技術が試されます。ダンスはあらかじめ決められた課題曲で構成を考え演技します。陸上競技と水泳は記録を計測します。暑さと緊張感の中、次々と種目をこなさなければなりません。全力を出し切るため怪我をしてしまう受験者もいます。最後の水泳が終わってプールから上がる瞬間、立ちくらみがしてしばらく動くことができませんでした。直前に腰を痛め、練習ができず痛みも続く中で何とか6種目やりきることができました。
 
 毎年、実技試験を受けて思うことがあります。三重では陸上競技と水泳は記録がそのまま得点になります。他府県を受けた時は記録を取りませんでした。正しいフォームや動きができているかどうかを試験委員が見て採点します。採用試験は競技者を選ぶのではなく指導する人、教育する人を選ぶ試験です。記録ではやはり若い受験者が断然有利です。40歳を過ぎた今、20代の受験者たちと一緒に受け、体力の差を見せつけられたり、記録が年々下がってくる現実をみたりすると絶望的になります。記録ではなく指導力をはかる試験にしてほしいと思います。

 翌日は論述試験。実技試験でボロボロになり全身筋肉痛の体に鞭打って電車に乗りました。曇り空で暑さも少し和らいでいましたが、冷房も扇風機もない教室で決められた時間内で考えて文章を書くのは辛い作業でした。汗で用紙はヨレヨレ。濡れた部分に書こうとすると紙が破れて・・・。比較的書きやすい問題でしたので何とかマス目を埋めることができました。

 その一週間後に集団討論、模擬授業、個人面接でした。集団討論のメンバーはみんな現場経験の豊富な臨時教員ばかり。日頃の実践経験を交えた討論で盛り上がりました。模擬授業では今まで授業でしたことと研修会で学んだ内容をアレンジして表現しました。個人面接では少し答えに詰まる場面もありましたが、講座の仲間や学校の同僚たちと練習したことを思い出して、持てる力は出せたと思います。

 暑くて苦しくて、心身ともに消耗した3日間でした。こんなに苦しい思いをして受けても必ずしも合格するとは限りません。むしろ落ちる人の方が多いのです。1次で落とされるのも辛いですが、正規採用が目の前にちらつく2次試験で落ちるショックは比べ物にな
りません。そして1か月後に出た結果は・・・

 2次の体育実技の5日前になって急に腰痛に見舞われました。日常生活にも支障が出るほどの痛みでした。翌日、教育委員会に電話を入れ事情を話したところ「もし実技ができないなら実技の点数はありません。あなたの責任で判断してください。」と担当者のつれない返事。例年、水泳だけは再試験をしているが、基本的にはやらないとのことでした。何とか4日間で運動できるようにしようと鍼灸やマッサージに通いました。幸い当日までに痛みは引き、どうにか運動できる状態になりました。当日は怪我なく帰れますように・・・。

 実技試験の日は毎年暑いです。一応試験なので服装は半袖のカッターシャツに黒のスラックス、黒の革靴で会場に向かいます。でも最近はTシャツ、ハーフパンツにサンダル履きとこれから海水浴に行くような格好で現れる強者がいます。実技の前に着替えるので評価には影響ありませんが、教師を目指すものとして、社会人としてはいかがなものかと思います。

 試験から1か月後に届いた通知は不当なものでした。毎度のことで感覚が麻痺してきているのか期待感はなく、結果を見ても感情が出てきませんでした。でも時間が経つとこの理不尽な結果と試験そのものに怒りや憤りの感情が湧いてきました。

 結果の通知には成績表がついていて自分の得点と平均点が載っています。この数字で納得させられようとしているような気がして嫌な感じがしました。教職経験者?特別選考で受けていますが、成績表には教職経験を評価する項目がありません。実際、学生も教職経験の浅い人もベテランも同じ基準で評価されています。名前は『特別選考』ですが特別に選考しているわけではありません。臨時教員の経験が正当の評価されるような制度になるようこれからもこの運動に携わって行きたいと強く思います。

 思えば今年は出願することに迷い、苦痛以外の何物でもない試験でした。思いがけず進んだ2次も心身ともに苦しい試験でしたが、何とか最後までやりきることができました。これも講座の仲間や家族、職場の同僚など、自分を励ましてくれるみなさんの存在があったからです。応援していただきありがとうございました。まだまだあきらめません! (臨時教員)