伊勢新聞が「大観小観」(9月26日)で、非正規雇用の問題を取り上げています。非正規教員の多さは「全国有数」と指摘し、「教員採用にその経験は有利だと、法すれすれの甘言で何年も低賃金、不定期で使用する。」と、長期間、臨時のままで働かされる非正規教員の実態にふれています。
みえ労連・みえ教育ネットワークが調べたところ、小学校・中学校・高校・特別支援学校のいずれも、臨時教員の割合が25%を超えています。
全国では沖縄、兵庫、埼玉、奈良に次いでワースト5位です(「教員定数の標準に占める臨時任用教員の割合」平成24年度 文科省)。
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この日(9月26日)三重県の教員採用試験の結果が発表されました。現場経験を何年も積んだベテランの先生が、今年もたくさん「不合格」となりました。「今年こそはと祈る思いで試験に臨んだ。が、受け取ったのはまたもや不合格通知。君は教師に向いていない、と言われているような屈辱感。悔しい。でもその僕を、明日からまた臨時教員として働かせ続けると、教育委員会は言う。なんだか都合よく利用されている気がして、悶々とする日が続いた。」ある臨時教員の述懐です。
いつ仕事を切られるかわからない中で働く不安もさることながら、子供の側からしても、来年も続けて担任をしてもらえないのは不幸です。三重県知事・三重県教委は、学力テストの順位をうんぬんするより、臨時教員比率全国ワースト5位の汚名を返上する方が、先ではないでしょうか。
以下「伊勢新聞」を引用します。読みやすくするために、改行しました。
全国学カテスト低迷問題は別にしても、他県と比べて県に際立つ教育現場の特徴といえば、非正規教員の全国有数の多さだろう。教員採用にその経験は有利だと、法すれすれの甘言で何年も低賃金、不定期で使用する。
▼県議会で非正規雇用の検討を問われ、鈴木英敬知事は「安定雇用で生活基盤を確立することは重要。不本意非正規社員の正社員化促進に取り組みたい」。足元の本庁、出先機関に多数の非正規職員を抱え、人間らしい働き方を制限しておいて、なかなかこうは言えない
▼枚方市などで非常勤職員への退職手当や賞与支給が裁判で認められたので、県の感想を聞きに担当課を訪ねたことがある。判決を調べた上でというので出直しての話だが、県の場合は非正規職員の仕事は厳格に振り分けられ自ら判断することはない。制度が異なる。この判例が適用される心配はありません、ということだった。生活基盤確立に必要な手当を支給する方法があるのだという発想はないらしい
▼子育て支援の新規施策で、厚生労働省がハローワークに母親専用の再就職相談コーナーを設けた。相談員も非正規職員。明日はわが身で、更新時期は相談に身が入らなくはないか。定員削減が毎年進み、仕事は増える。「非正規を雇ってでもやるという選択をしている」と村木厚子厚生労働事務次官が言ってこう続けた
▼「厚労省なので、雇用のルールとか安定化のところで、ほかから見てあれは嫌だねというやり方はやっぱりやりたくない。そういう思いで努力をしていきたい」。厚労省だけでもなかろうが、県とは違うようだ。(伊勢新聞9月26日付け「大観小観」)