みえ教育ネットワーク

「 みえ 教育 ネットワーク 」は 三重県に勤務する、教育に関わる 全ての 職種 (正規・非正規 とも)、誰でも一人から入ることができる労働組合です。無料ブログのため、CMが入りますが、ご了承ください! ホームページは https://menwtuhp.jimdofree.com/ にあります。                 

非正規の現場から  40年のたたかい

 4月27日(土)「30人学級実現とゆきとどいた教育を求める会」の第17回総会が四日市で行われました。総会に先立って愛知県臨時教員制度の改善を求める会の上村和範さん(写真)が「非正規の現場から教育の希望をつかむ」というテーマで講演しました。「求める会ニュース№76」より、講演の内容を紹介します。

 

「非正規の現場から教育の希望をつかむ」

  ~名古屋市の臨時教員40年のたたかい~

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    上村和範さん

 (愛知県臨時教員制度の改善を求める会・代表委員)

 

1 はじめに

 初めにご自身の自己紹介も兼ねて学生時代から現在に至るまでの話がありました。大学時代の自治会活動、それによる就職差別、11年の臨時教員を経て、30歳半ばで正規教員として採用されたこと、そして現在は、定年退職後再任用教員として4年生の学級担任をされているそうです。

 

2 学校現場での3つの異常

 次に、今、学校ではどんな深刻な状況があるのかという点で、3点の指摘がありました。

 

 1点目は、子どもたちに見られる不登校問題です。全国的に不登校の子どもたちは毎年増加傾向で、文科省の調査結果では、三重県でも小中学校の不登校の数は、2018年度において、前年度比84人増の2115人と過去最高になったそうです。

  2点目は、教職員の精神疾患による休職の問題です。精神疾患による休職者数も、過重な仕事を抱え毎年増加し、三重県では、2011年度は67人だったが、2017年度には109人となっています。

  3点目は、非正規教員の問題です。これも先の2つと同様、年々増加傾向にあり、名古屋市では、2016年度では2500人超で、その割合は全教員数の25%に当たるそうです。つまり4人に1人が非正規教員というわけです。

                               

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 このような問題が相互に影響し合いながら、さらに深刻な状況を生みだしているのではないでしょうか。

 

3 教育現場での非正規雇用

 臨時教員制度は、非常勤講師(地公法3条3項:時間契約)と、常勤講師(地公法22条:臨時的任用、フルタイム、産休・病休代替、欠員補充など)の2つの制度から成り立っています。

 こうした臨時教員が増えている背景には、安上がりな人件費で、行政にとって都合のよいときにいつでも首を切ることができるという使い勝手のよさがあります。

 臨時教員のおかれている状況は、安い賃金で昇給もなく、年休も少ないなど、正規教員との格差は歴然と存在し、さらに雇用の継続の保障や正規採用への見通しもない厳しい生活不安があります。  

 

 また、学年主任や指導部長、管理職などからの厳しい指導は、教職員集団の同僚性を奪い、支援するどころか、パワハラやいじめへの温床にもなりかねません。雇用の継続の保障がないということは、教育の継続性が断ち切られ、子どもや保護者との信頼関係が築きにくいということです。

 

4 教育の希望をつかむたたかい 同一労働・同一賃金

 たった一人から始まった愛知の臨時教員運動のたたかいも、今年で40年目を迎えます。この間に社会保険雇用保険の制度が改善され、採用試験の受験年齢制限が撤廃されました。また、臨時教員の産休取得や年休の繰越が実現し、非常勤講師の同一校継続が認められました。さらに、ボーナスや退職金、給料なども大幅に改善され、名古屋市では、「同一労働・同一賃金」がほぼ実現されました。

                                       

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 こうした要求実現のたたかいの根底には、

(1)弱い立場の人たちに寄り添うこと

(2)学習を積み重ねこと、どこに展望があるか、活路がひらけるか

(3)実態を調査すること

(4)一人ひとりが主人公の活動をつくること、当事者が立ち上がること

(5)すべての人に事実をしらせること

 

 という5つの柱がありました。これらの5つの柱をもとに、ぶれることなく着実に40年間をたたかい通してきた結果として大きな前進を勝ち取ることができたのです。

 

【資料】名古屋市における臨時教員の待遇改善の変化

 

給料上限(月給)

労働条件

採用・任用制度

1980年

17万7500円

( 3等級上限 )

正規に準ずる

社会保険雇用保険なし

コネ採用、差別採用

病気・妊娠を理由に解雇

1986年

25万6700円

( 2級上限 )

正規に準ずる

社会保険雇用保険適用

愛知県:受験年齢制限廃止

名古屋市:39歳最終受験

名古屋市:教育人材バンク

2010年

34万3300円

( 2級上限 )

正規に準ずる

愛知県:特別選考制度

名古屋市:受験年齢制限廃止

2018年

36万1100円

( 権限移譲 )

休暇などなし

県・市の定数内臨時教員が過去最高に!

同一校継続3年まで延長

2020年

約50万円

正規と同様

改正地公法実施

 

5 今後の展望

 教員の過重労働を改善し、働き方改革を進めることが、子どもたちへのきめ細かなゆきとどいた教育を実現するためにも、何よりも大切なことと考えます。そのためにも、以下の6点を要求していきたいと考えます。             

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(1)学校で働く教職員は、すべて正規と同等の身分待遇を求めま  

  す。!

(2)持ち時間数の上限を定め、そのための定数改善計画を求めます。

(3)学校の業務改善を求めます。

   ・学力テスト、行政研修、給食費徴収、教科書事務、部活動などの負担軽減

 (4)教職員の働くルールを確立します。 

   ・残業代を支払う。

   ・専門職としての自律性や自主的研修の尊重・重視する。

 (5)公立、私立での非正規教職員の正規採用化と待遇改善を求めます。

   ・定数増、教職経験を評価した採用、雇用を打ち切らないルール、

    賃金や休暇制度の改善

 (6)「教育とは何か、教職員とは何か」「義務教育とは何だろう」を

    大切に職場で連帯の輪をひろげていきます。

                        

                                <以上>

 

 

2019春を呼ぶ!みえ教育ネットワー教育研究集会開催される

 「2019春を呼ぶ!みえ教育ネットワーク教育研究集会」が、2月9日(土)10時から津市河芸公民館で行われました。記念講演は、みえ教育ネットワーク組合員で小学校教員退職後「いとう発達・心理相談室」を主宰する伊藤二三郎さんにお願いしました。専門性を生かしつつ、自ら関わってきた特別支援教育の実践やカウンセリング体験を交えたわかりやすいお話に、熱心にメモをとりながら聞き入る参加者の姿が目立ちました。

 オープニングは「ミルフィーユ」のみなさんによるコーラス、午後は2つの分科会が行われました。

  翌日の中日新聞がその様子を伝えました。

 ↓ クリックで画像が大きくなる場合があります。

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以下、参加者感想です。

 今、担任している生徒の様子を思い浮かべながら、聞かせていただきました。愛着・LD・叱る、褒める…キーパーソン…。本校は、なかなか特別支援への想いが弱いように感じることが多いので…なんとなくやりずらい…と感じることも多く…特別支援の子がいるクラスの時間割を突然変えて、私の方に連絡来ず…戻って来て、アタフタしている生徒の対応…いろいろありまして…。つい、その先生に話をしてしまいました。“生徒の困り感を減らすため”にがんばろうと思います。

 

 私は教員などではないですが、地域で子どもの宿題などの面倒をみるボランティアをしています。素人なりに、教えることよりも受け止める事を大切にしています。「この子はどうしてこうするんだろう?」と悩んだことも多かったのですが、ABC分析の様な考え方を提供して頂いたので、子どものことを理解する助けにしたいと思いました。

 子どもたちが認められる機会・体験を通して自己肯定感なども育てていきたいと思います。また、3才の娘の父としては、話を聞きながら、自分がどれだけ娘に向き合えているか、反省する場面が多々ありました。保育園では「優等生」でも、家では「甘えん坊」「怒りん坊」になっている娘に叱ってばかりいる自分に気付きました。自分も妻も余裕がないなあ…と。自分の子どもへの関わり方を見つめ直すことをしたいと思います。

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名古屋市の臨時教員の 労働条件 正規と同じに!

名古屋市の臨時教員(常勤講師)の労働条件 臨時が正規と同じに!

 名古屋市では名古屋市職員組合が当局と粘り強い交渉を続け、ついに「同一労働・同一賃金」を実現しました。2020年から実施です。三重県と比較してみるとよくわかります。

 

勤務条件

名古屋市

三重県

年度末の雇用空白期間

なし(2019年度より)

1日

給与の上限

なし(2020年度より)

あり 

35歳頃から昇給ストップ

給料表

教諭と同じ(2020年度より)

教諭より低い「講師1級」

社会保険

公立学校共済

協会けんぽ

年次休暇

20日(くりこし可)

20日(くりこし不可)

夏期休暇

5日

5日(以前は3日でした)

 

 これについて、三重県臨時教職員制度の問題を考える会の機関紙「ひまわり」2月18日号が次のようなわかりやすい解説記事を載せています。「ひまわり」編集部の許可を頂いて転載します。

 

職場de問答 同一労働同一賃金の意味

 

(^_^;) 名古屋市で均等待遇が実現するという話はお聞きになりましたか。

考太郎 ああ、画期的なことだよねえ。

(^_^;) 私も名古屋市に移ってしまおうかなあ。

考太郎 まあそう言わずに、ここで頑張っておくれよ。

(^_^;) 何と言っても、給与が正規教員と同じように計算されるようになるのが大きいですよね。

考太郎 給料表も正規教員と同じ2級になるし、昇給計算も同じで、上限も無くなる。経験の長い人だと月10万円以上も上がる場合があるそうだよ。

(^_^;) ということは、今までが10万円も安く使われてたということですね。

考太郎 同一労働同一賃金の原則からすれば、『同じ』が当たり前なんだがね。

(^_^;) それなんですよ。ときどき給料安いんだからもう少し楽させてくれと思っちゃいますもん。

考太郎 そう思ってしまうのはやむを得ないだろうねえ。一昨年のアンケートの中にも少なからずそういう声があったようだ。

(^_^;) でもその考え方ってなんだか悲しいです。

考太郎 私もそう思う。臨時だろうが講師だろうが、子どもの前に立つからには全力を尽くすべきで、そこには正規教員との差があってはいけないと。

(^_^;) 子どもの側からすれば、「あの先生は給料安いからしょうがない」なんてことにはなりませんからねえ。

考太郎 そもそも同じ職責・職務を担うことになってるし。だからこそ、同等の労働条件が保障されなければならない。

(^_^;) そうでなきゃ、子どもたちにとってみれば『安もの』の先生をあてがわれていることになっちゃいますもんね。

考太郎 ようやく多くの人がそのことに気づき始めたのか、教職員組合も本気で取り組んだという話を聞いてる。

(^_^;) 臨時でも賃金に差が無いとなると、臨時にする必要が無くなるということにはならないんですかねえ。

考太郎 それは雇う側の視点だね。たしかに彼らにしてみれば『安上がり』というメリットは無くなるわけだ。

(^_^;) じゃあ、もう正規でいいんじゃないですか。

考太郎 彼らにしてみれば、まだ雇用の調整弁としての臨時が必要なんだろう。

(^_^;) つまり『首切り要員』ですか。

考太郎 それと、任用や正規採用をちらつかせれば、よく言うことを聞くしね。

あっという間に 7時 8時!

 この秋、みえ労連は「2018秋の自治体キャラバン」として全29自治体や公立病院そして教育委員会との懇談に取り組みました。教育委員会との懇談にはみえ教育ネットワークが中心となって、10月23日〜31日にかけて15町教委を訪問し、教育長さんや教委幹部の方々と親しく懇談しました。今年は5つの町で教育長さんが出席されました。教育長さんが出てくると話がぐっと盛りあがります。


 学力テストやスタディチェックに三重県教委は熱心ですが、市町の教育委員会と懇談すると、その温度差に驚きます。ある町の教育長さんは、学力テストに対し「ウチの管内は最後まで学力テストの実施に反対だった。始めてから10年にもなる。もうやめてもいいのではないか」と言い切りました。「やるなら1割程度の抽出でよい。今の全員参加のやり方は、県や市町や学校に競争させることが目的になっている。県教委の行うスタディチェックも学力向上といいながら結局学力テストの点数を上げることが目的だ。必要ない。」とも言います。ある町では県教委出身の担当者が「町教委に来たら学テに対して県とは雰囲気があまりにも違うので戸惑った」とおっしゃいました。県教委もそろそろ考え直すべきではないでしょうか。


 4年前、三重県はやはり学力向上を念頭に「土曜授業」を導入しました。当初多くの市町は県の指導に従って年間8回〜11回も実施しました。私たちは当初から反対でしたが、懇談を重ねる中で、今年は3回程度の市町が多数になってきました。中にはゼロと言うところもあります。エアコンも懇談当初は「子どもには我慢させることも必要」などと言ってのける教委もありましたが、今では多くの市町で普通教室100%設置されるようになりました。

 組合と教育委員会、立場は違いますが、目の前の子どもたちの利益を最優先に話をすれば、けっこう意気投合することが多いです。南北に長い三重県、北から南までのロングドライブなど苦労も伴いますが、やってみる価値は大きいです。 

 一方、教員の長時間過密労働はなかなか解消されません。みえ教育ネットワークニュース12月号に載ったある先生(津市内・女性)の手記を転載します。

 あっという間に7時や8時 〜異常な長時間労働の実態〜
(津市・A子)

  今年度、異動した学校で1年生担任をしている。1クラスの子どもの数は33人。異動して1年目の大変さは今までの学校で何度も経験してきたので、不安がいっぱいあった。

 1年生担任ということもあって、4月当初から勤務始業時刻1時間前の7時20分には学校に着くようにしている。7時45分に子どもが登校すると、ここから子どもたちとの1日が始まる。
 授業は毎日5限。委員会かクラブのある月曜日は6限。空き時間は1週間で1時間だけ。

 休み時間は5分間。5分休憩は子どもたちが、お茶を飲み、トイレに行くとすぐに終わってしまう時間である。常に子どもに接している教師にとっては5分休憩はないのも等しい時間。トイレに行きたいのにがまんすることも多々。前任校では5分休憩ではなく10分休憩だった。10分あれば子どもは外へ遊びに行く。そして切り替えもでき、次に授業に臨める。教師も一息つけるのではないか。前任校で5分休憩に変更しようという意見が出たとき私は大反対をして阻止した経験がある。
 
 20分休憩が1日の中で1回だけあるが、その時間に子どもたちは「待ってました」と言わんばかりに全員外へ出て遊びに行く。「先生、一緒に遊ぼ」と誘われるときもあるが、「金曜日だけは一緒に遊べるよ」(空き時間がある日なので)と言って泣く泣く断っている。
 
 給食の準備は子どもたちだけでは無理なので、全面的に手伝ってきた。2学期になってようやく自分たちでできることが増えてきて、配る分量だけ見てあげれば、あとは自分たちで配ることができる。その後残飯がないようにおかずはすべて配りきることを心がけているので、私が食べ始めるのは片付けの10分から15分前。子どもたちとゆっくり話しながら食べる余裕などない。ごちそうさまをした後は食べきれない子が残っているので、その子達が片付けるのを見届け、ワゴンを片付けると、昼休みは後10分か5分しか残っていない。職員室にもどって休憩したいが1度も戻れない。
 
 その後は掃除を一緒にして5限目の授業。1年生の子にとっては、集中できなくなる時間帯。そういうことを考慮して、授業内容を組んでいる。
 帰りの会が終わると、下校指導。1年生は集団下校をしているので、地区別に並ばせて人数を確認して帰らせる。
 子どもが帰る3時前にやっとホッとできる。ここで初めてトイレに行ったり、お茶を飲んだりするが、このままでは仕事は何もできないと思うぐらい疲れている。

 しかしこれからが長丁場。仕事は山ほど残っている。いつもここでコーヒを飲んで眠気と疲れを忘れさせ自分を追い立てている。不思議とコーヒーがよく効く。同僚にこの話をしたら、「いいことを教えてもらった」と言って喜ばれた。

 保護者への連絡の電話。ノートやプリントの丸付け。テストの採点。会議への参加。明日の授業の準備。相担の先生との打ち合わせ。あっという間に時間が過ぎて7時や8時になってしまう。毎日超過勤務時間は約4時間。こんな毎日が続くと思うと、自分の健康に不安が残る。

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 たった4%の手当(=教職調整額)で、無制限の仕事を強いられる学校現場。「先生の数を増やして、少しでもゆとりがほしい」は、先生たちの切実な声です。こうした願いに応えるために、みえ教育ネットワークは世論に訴え、県教委や国への働きかけを強めます。
(よ)

マスコミも注目する「非正規の先生」 経験豊かな講師を正規採用に!

   私たちは声をあげ続けます

 この夏大阪で『全国臨時教職員問題学習交流集会(全臨教)』(8/10〜8/12アウィーナ大阪)がありました。

 分科会では「来年仕事があるかどうかわからないという不安の中で働く先生がいることを、正規教員は自分のこととして考えるべきだ」という問題提起があり、考えさせられました。あらためて資料を整理していたら、こんな新聞記事を見つけました。

 臨時教員の割合が全国で2番目とも言われる三重県。秋の県教委交渉で、みえ教育ネットワークは「臨時教職員の待遇改善」を要求項目のトップにかかげます。

 以下中日WEBより引用です。

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増える非正規の常勤講師 公立の小中学校

 公立の小中学校で、非正規教員として任用される「常勤講師」が増えている。教員免許を持っており、担任や部活動顧問など正規教員と同じ仕事を担うが、給与面などの処遇が低く、不安定な身分で働いているのが現状だ。中部9県をみてみると、国が定める教員定数に占める割合が全国平均を大幅に超える県もある。

◆忙しさ正規教員並み…でも低い処遇

三重県の教員定数に占める常勤講師の割合を見つつ、自身の講師経験を話す男性=同県内で

 「中学校は本当に大変。二年しか続かなかった」。五十代前半の女性は四十代後半のとき、三重県内の公立中学校で常勤講師を務めた。県立高校では約二十年間、常勤などで勤務してきたが中学校は初めて。授業をしながら三年生の副担任をもち、入試の願書の書き方も指導した。

 運動部の顧問として土日は生徒を試合に連れて行くこともあった。終わると学校に残ってテストを採点したり、二百冊ものノートを確認したり。平日は職員会議などで帰宅時間は午後九時ごろになった。幼子を抱え、夜中に翌日の晩ごはんを準備する日々を送った。

 まさに「多忙」とされる正規教員と同じ。でも給与は月額二十万円台前半と、同年代の正規より大幅に少なかった。「仕事内容は変わらないのに、差があるのは腹立たしい。忙しすぎて教員採用試験の勉強の時間も取れない」と明かす。

 常勤講師の任用は本来、緊急時などに限られ、期間は地方公務員法で一年以内とされる。ただ、実際は教育委員会が年度末に一度解雇して一〜数日間の「空白期間」を設け、翌年度に再び任用するケースが多い。

 空白があると期末勤勉手当が減額されるなど不利益を被る。給与も正規より低く抑えられている上、日本教職員組合によると、十〜十五年勤務すると三十万円前後で頭打ちになる自治体が多い。そもそも、次年度も職があるかが分かるのは早くて二月末以降。雇用は安定しているとは言えない。

 同県の公立小学校などで常勤講師を十年間務める男性は「来年度も仕事があるか、二月の終わりごろから携帯への連絡を待ち始める。毎年すごいストレス」。一緒に過ごす中で児童らの特徴が分かり、「こんな教育をしてあげたい」と思っても、次年度があるか不明なままでは腰を据えて取り組むのも難しい。「子どものためにも一年で学校をかわる常勤講師は多くない方が良い。正規教員をもっと採るべきだ」と強調する。

 文部科学省の調べでは、公立小中学校の教員定数に占める常勤講師の割合は2017年5月1日現在、全国で7・4%。人数は4万2792人で、2001年の約1.8倍に上る。都道府県別では沖縄(15・7%)が最も高く、中部地方は三重(12%)が五番目、長野(10%)が七番目の高さ=表。定数を正規教員で満たしているのは東京のみだった。

 三重県教委の担当者は割合が高い理由について「2005〜2010年に公務員数を減らす動きがあった。同時に、将来の児童生徒数は減る予測がなされ、正規教員の採用数を控えたため」と説明。2011年採用分からは正規採用を百人程度増やし、「改善している途中」と話す。

 「臨時教職員制度の改善を求める全国連絡会」会長で、日本福祉大の山口正教授(教育行政)は「2001年度以後、特に小中学校で非正規教員の増加が著しい。その背景としては、義務教育国庫負担制度の見直しや自治体の厳しい財政事情が影響している」と説明する。

 非正規は正規と同様の職務と責任を担うが処遇に格差があるとした上で、山口教授は「非正規教員の勤務条件の改善は、安定的な教育や教員全体の多忙化解消にもつながる喫緊の課題」と指摘。昨年に改正地方公務員法(2020年施行)が成立し、「今後は非正規公務員の処遇改善が問われていく。自治体には職務に見合った非正規任用制度の改善が、国には自治体で処遇を改善し正規に転換できる財政的保障が求められる」と話した。

                                    中日新聞朝刊2018年2月11日より(中日WEB)

 

臨時教職員制度の問題を考える会アンケートに477名が回答

臨時教員の叫びが聞こえる     
    臨時教職員制度の問題を考える会アンケートに477名が回答

 臨時教職員制度の問題を考える会/三重が県内の臨時教員にアンケートを実施しました。  

 477名から回答が寄せられ、記述欄に書かれた声のすべてが、会のサイトで紹介されています。詳しくはサイトをご覧下さい。ここでは、そのほんの一部を紹介します。

■(20代/中/期付講師) 期付と臨任では仕事の差は全くといっていいほど無いのに、月額で約2万も変わってくるのはどうかと思います。当方、今年から期付になりましたが、嬉しいと思うと同時に、今までの臨任の間は何だったんだという念もあります。もう臨任には戻れません。

■(40代/小/期付講師) 期付と臨任で給与が4〜5万/月ちがうのはとても困ります。理由がよくわかりません。退職金も次の年度、仕事がない場合、あの程度では本当に困ります。(企業の場合、失業手当があります)これにかわるようなシステムがあるとよいのですが。

■(50代/小/期付講師) 設問7(正規と臨時の給与格差)の問題が一番大きいです。あまりに差が(およそ2倍くらいですよね)やる気がしぼみます。お金に差があるなら、講師はこの仕事をしなくていい…というような点があれば、まだ納得いきますが。


■(30代/中/臨任講師) 仕事内容は同じで、“講師だからとは関係ない”といろいろなことを同じようにさせられるのに(公開授業や研修などへの動員など他たくさん)いざとなると“講師だから仕方がない”と同じ待遇が受けられない事にイラ立ちを感じます。(給与や年休、病休、産休など)

■(50代/小/期付講師) 同一労働同一賃金を望みます!! 講師は常に“やります”“がんばります”というしかありません。“以前病気で休んだから無理はできないな〜”“担任はしたくないな”“それはできません”と大変な仕事から逃げる正規職員がどんどん増えています。担任を持たず定時に帰る正規教員。対して残業毎月80時間以上で働く講師。給料は半分・・・最近「やってられないな…」と思うことが増えてきました。

■(50代/中/期付講師) 現在担任を持っています。責任ある仕事を任され嬉しい反面納得できない面もあります。正規採用なのに担任も持たず、休みがちな方がいます。その方より仕事量ははるかに多いはずなのに、その方より給料ははるかに少ないというのは全く納得がいきません。

■(30代/中/臨任講師) 3月には「仕事があるかどうかもわからない」と生活があることを何も考えてもらえないような対応をされることもあり、1週間やそこらで新しい職が見つかるとも思えず毎年生活をおびやかされ、ビクビクする事も多いです。講師だって同じ人間で生活もあるということがきっと正規の方(教委の方)はわかっているようでわかっていないのだと思います。正規の方で休みをとりまくったり、働かない人達もたくさん見てきましたが、その人たちより待遇がわるいのは納得いきません。

■(50代/中/期付講師) 管理職の対応が学校により差を感じます「臨時で来てもらい助かるありがたい」という対応と「臨時なんでしょ」という使い捨て感覚を感じる時もあります。

■(40代/支援/臨任講師) 研修に出たかったのに「正規の人用の研修だから。」と断られたことがとても悲しかった。その後、同僚が口添えしてくれて出られましたが。又、別の研修でも「講師は別枠だから研修費は出ない。」と言われて自費で出ました。これも、後日校長が自ら動いてくれて研修費は帰って来ましたが…(ありがたかった。)私は、まわりに恵まれましたが、そうでもない人もいると思います。研修に自由に気軽に出られるようにしてほしいです。

■(40代/中/非常勤講師) 非常勤が時給で働いていることを知らない方もたくさんみえます。授業以外のことも当たり前のように頼まれるので辛く思うこともあります。非常勤でしか働けない事情もあるのに「帰ったら時間がたくさんある」と思われているようでしんどく思うこともあります。

■(20代/中/非常勤講師) 非常勤講師ですが1学年(全部)を受け持っています。そうなりますと、テストの作成と採点等、成績処理があるため時間外で業務が発生してしまいます。その時間についての補償はないため日頃しんどく感じてしまいます。仕方がないことでしょうか?

 以上紹介したのは17.<待遇についての要望>と18.<職場で困ったこと・つらかったこと>に書かれた意見の一部です。

 他に 19.<任用について困ったこと・つらかったこと> 20.<採用制度についての要望> 21.<その他どんなことでも>と続きます。

 臨時教職員制度の問題を考える会は、「この『アンケートのまとめ』が、三重県教育委員会,市町の教育委員会,学校の管理職をはじめ、学校で働く教職員の方々,マスコミ関係の方々など多くの方の目に触れることによって、臨時教職員の抱える苦しみと、『臨時』の濫用による教育の歪みが少しでも改善される助けになることを願います。」と述べています。詳しくは下記サイトをご覧下さい。

臨時教職員制度の問題を考える会のサイト http://86himawari.blog72.fc2.com/blog-entry-243.html#more

ニュースで心をつなごう……みんな 生き生き!!

 みえ教育ネットワークニュース4月号の紙面より 
 「みえ教育ネットワークニュース122号」(4月18日)には新学期を迎えた組合員の近況が投稿されています。組合員は各地に散らばっていますが、ニュースで心をつなごうという試みです。抜粋して紹介します。

    楽しいよ!一年生担任  N・Jさん
 4月1日の異動で、新卒の新採さん2人を迎え、職場はより若くなりました。
 担当学年は、去年と同じ小学校1年生です。入学式に掲示する名簿作り、下校の計画、教材の注文など、今年は入学式まで5日間もありしっかりと準備ができました。

 入学式は、6年生の児童が荷物を所定の場所に入れるのを手伝ってくれたり、式場の席まで手を引いてくれたりして、本当によく助けてくれ無事終わりました。

 引き継ぎ事項のある児童が多く、子どもたちに会うまでは、自分が1年間やっていけるのか不安でいっぱいでしたが、子どもたちの顔を見たら、かわいいなと思えて安心しました。

 初めの1週間は、1年生にとっては初めてのことだらけで大変でした。入学式後、1日目のメインイベントは、下校です。誰がどのコースで帰るかしらべて表にし、フリーの先生にも引率をお願いしできる限りの準備はしましたが、やはり手違いがありました。上り坂を1時間も歩いてもうへとへとです。大人でも大変なのですから、子どもはなおさら大変です。励ましながら歩きました。

 次の日のメインイベントは、初めての給食です。この日は、子どもたちの好きな麻婆豆腐だったので、助かりました。ご飯が茶碗に盛りつける日で、しかもスプーンだったのでラッキーでした。

 お皿に盛りつける日で、しかもお箸だときれいに食べるのが大変なのです。初日から、残さずにぜーんぶ食べてなかなか元気のあるクラスだと思いました。飲んだ後の四角い牛乳パックを、開く作業もコツが必要で大変です。フリーの先生が、支援に来て下さって本当に助かりました。

 3日目、いよいよ国語と算数の授業が始まりました。発表する内容は、教科書を見ればわかることなので簡単ですが、発表の仕方・友達の発表の聞き方を指導していきました。

 日本語がわからない子が、一人いるのですが、スペイン語で「これなんていうの?」と聞いて、発表する姿がすごいなあと感心しました。

 今はまだ、知らない者どうし名前もわからない、といった感じですが、仲を深めて学び合える集団にしていきたいなと思っています。

    校長交渉もスムーズに  N・Yさん いよいよ新学期が始まりました。今年度は学部異動と、初めて分掌の部長が回ってきて、年度末から今までになく忙しくなりました。

 とにかく会議が多く、資料を作るだけで時間がかかります。そして、新しく担当する子どもたちのことも。採用は3年目ですが、講師時代を含めると同じ学校で9年目となるので、いろいろな仕事を任されます。初めて経験することが多くて戸惑っています。

 さて、新しい子どもたちとの出会いです。最初の一週間は、こちらの様子を見ている感じでした。お互いのことがわかるまでは、もう少し時間が必要ですね。

 校長が代わり、職場交渉をしました。要望書の内容をよく理解し、「お互いに気持ちよく仕事できる職場にしよう。」と前向きな話し合いができました。

      退勤は毎日8時を過ぎるけど  Oさん 今年度、私にとっては最後の異動でした。定年退職まであと3年だからです。年をとってくると異動はきつく、できれば今の学校で最後まで勤めたいとまで思っていました。

 例年のごとく(いいえ例年以上に)慌ただしい春休みを乗り越え、ドキドキ、ワクワク感と少しの不安で4月2日を迎えました。

 新しい職場は前任校の半分の規模で2クラスずつです。職員会議の雰囲気はなんと落ち着くこと。数が少ないだけで落ち着くのです。前任校の大変さを改めて感じました。 会議の議論も提案に対して前向きに支えようという雰囲気があり、とてもいいです。始めてきた私が発言しても受けとってくれる雰囲気です。ほっと一安心でした。

 校長と職場交渉もしました。その場ではきちんと受け取ってもらえたと思います。
 保護者に配る「異動のお知らせ」のプリントに講師と教諭の違いが書いてあったので、職員会議で「同じ仕事をしている先生だから、講師と教諭の違いを保護者に知らせる必要はない」ことを伝えました。校長は「今年度は印刷をしてしまったから、来年度から考慮する」と答えました。私もこれで納得するしかなかったですが、考えは受け止めてもらえたと思っています。

 担任は1年生です。これもまた不安材料でした。「初めて1年生を担任する先生と2人でお願いします」と言われていたからです。地域のこと、学校のしくみなどわからないことだらけですが、とっても素直で娘のような相担に恵まれ、何とかやれています。

 クラスの子どもは33人です。1年生の33人は多いです。子どもたちはひらがなが書けない、十分に読めないのが当たり前の時期です。教師が全てやっていかないといけないので一番忙しいときです。

 退勤時刻はいつも8時を過ぎてしまいます。周りを見渡すと、残っているのは1年生の2人と教頭という日が多いです。「働き方改革が必要やでな」と言う声が飛び交っています。超過勤務を減らそうと考えている先生が多いことも嬉しいです。
 まだ始まったばかりですが、これからの日々が楽しみと思える毎日です。

    職場変わってうれしい出会い  Dさん
 4月に職場を変わりました。職員室の中に昔の教え子と保護者がいました。
 休み時間に若い女性が近寄ってきて、「先生、私K中学校で教えてもらったHです。覚えてます?」と行ってきたので、「ごめん、はっきり覚えてない。」と正直に答えたら、「私、すっごく覚えてます。あの『空中ブランコ乗りのキキ』はめっちゃおもしろかったです!」と1年生の最初にやった教材名を上げてきました。

 また、印刷室にいたとき、介助員の女性が入ってきて、恐る恐る「先生、私S中学校で息子がお世話になったOです。覚えていらっしゃいます?」と言ってきました。「ああ、よく覚えてますよ。テニス部でずっと一緒だったし、たしかダンスもやってましたよね。」と答えたら、「ええ、そうです!」といっぺんに笑顔になって「いまはN大学の4年生で○○の方面に就職するつもりだと言ってます。

 そうそう、同じテニス部のK君は〜」と話が止まらなくなりました。どちらも大変嬉しい気持ちになったひとときでした。
                           抜粋引用 以上