みえ教育ネットワーク

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小森陽一さん講演会 会場あふれる参加者

 11月23日(金)、三重県教育文化会館6階ホールで、みえ教職員懇話会が主催する小森陽一さん講演会が行われました。会場には主催者の予想をはるかに上回る参加者が詰めかけ、この問題での関心の高さを示しました。
 当日の様子を、講演概要と参加者の感想でお伝えします。

<講演概要>
橋下「維新の会」は、なぜ教師と公務員を攻撃するのか?
ナチスドイツが行った手法〜

 悪名高き、あのヒットラーは、ドイツ国民が選挙で選んだ首相である第一次大戦で敗戦国になったドイツの経済疲弊は、ひどいものであった。1929年から始まった世界恐慌は、さらに、ドイツ経済に追い打ちをかけた。
 没落した中産階級に対し、ナチスは、身近に仮想の敵共産党員や銀行の頭取のユダヤ人など)をつくり、諸悪の責任を転嫁するやり方で、支持を拡大して行った。
 橋下「維新」の手口は、正にナチスのやり方。この不況下における国民のうらみ・ねたみ・怒りを「悪いのは、教員をはじめとした公務員だ。」と言うことで、国民のうらみを晴らせるかのような幻想を与え、低賃金・リストラで苦しむ庶民から「ホンマのワル」を見えなくさせている。
 小泉首相時代から言われるようになった「自己責任」という言葉を使えば、こんなに生活が苦しいのは、自分が悪いからだ……ということになる。そんな時、「悪いのはリストラも無く、のほほんと安定して生活している公務員だ」……と攻撃のほこ先を変えることによって 、リストラ・正社員切り・賃金抑制をしている財界や政府の官僚などの「ホンマのワル」が消えてしまうのである。
 公務員といえども、われわれ教職員の生活は、世間が言うほど楽ではなく、きびしいのが現実。公務員の給料は、民間賃金を基準にしている。だから、民間の賃金まで下がってしまうことに、一般民衆は、気づいていない。また、公務員が削減されれば、国民へのサービスの低下が起こるのである。
   ※教員の派遣化の増加により起こっている問題が、最近NHKテレビで報道された(筆者付け足し)。
 政権交代でうらぎられ、自民・公明・民主でもだめとなれば、中身はなくても、うらみと怒りを晴らす期待が、橋下「維新」などの新政党に寄せられてくることになる。
 今回の選挙は、1993年、多党化により、自民党が退散して、細川内閣が誕生した時に似通っている。小選挙区が導入され、この時から、日本の政治は、悪くなったと言える。

 小森氏は、「3つのなぜ」……3回なぜ?と問いかけることを大切だと言う。それによって、ウソのある議論のほころびが見えてくる。
 「維新の会は、なぜ、公務員や教職員を縛ろうとするのですか?」すると、
(1)「知事や市長の命令を聞いて働かないからだ」ここで、「なぜ、知事や市長の命令どおり働かないのですか?」と問えば、
(2)「公務員は、首にならない身分保障があるからだ、だから、ちゃんと働いているか調べるために、思想調査も必要なのだ」と答えが返ってくる。そこで、3回目の質問として、「なぜ憲法違反になることをしていいのですか?」と問えば、
(3)「今の日本の政治で一番重要なのは、独裁。独裁と言われるぐらいの力だ」と言う橋下氏の本質が出てくるのです。
 橋下氏のような独裁者の言葉の中にあるごまかしを見抜き、ウソをひっくり返していく、それが、憲法と民主主義を守り、子どもたちを幸せにしてための私たちの責任である。    (A)


<参加者の感想 1>
事の本質を見極める
小森陽一さんの講演を聞いて〜

 今起こっていることは1993年の総選挙から始まっている。19年間の日本の歴史を小森さんは年表を広げ、この時このようなことが・・・と明確に話されて、頭がすっきりした内容でした。今また同じような形で選挙を迎える。あいまいな記憶が明確になり、橋下「維新の会」の果たす危険性が伝わってきました。
本質を見えなくさせる彼らの手口は、まるでファシズムナチスヒトラーのようです。彼らを持ち上げるマスコミに騙されないために、事の本質をしっかり見極めたいものです。 

 私たちが思考停止するのを彼らは待っている。思考停止は民主主義の死です。彼らが恐れるのは、多くの人々が本質を見極め、本当の敵を知ることです。まわりの人の話に耳をかたむけ、話し合い、民主主義を広げることが、彼らを追いつめていくことになるのだと思いました。   (R)


<参加者の感想 2>
 講演会の後、元教師(女性)からの発言にもあったように『橋下「維新の会」を斬る』話は少なかったようです。いちばん印象に残ったのは、現在の政治状況と有権者の動向についてでした。尖閣をめぐる背景もわかりました。

 強調されたのは
 ・現在の政治状況は1993年に似ている。「夢よもう一度」の感あり。7党1会派で成立した細川政権だが、最大の争点は「9条」だった。違法な自衛隊派遣が推進されるなかで「9条の会」は結成された。

 ・有権者を思考停止させておいて(考えると不安だから)、世の中を善玉・悪玉に分け(ステロタイプ思考)、悪いのはこいつらだと思わせる。うらみ、怒り、ねたみに訴えかけ晴らせるような、その気にさせる。

 ・9条があるから東日本の復興が進まないといった「風が吹けば桶屋がもうかる」式の攻撃がある。

 ・いま必要なのは「感情論的思考」ではなく「因果論的思考」だ。「討論する」ことによって民主的人格がつくられる。

 ・教師と地方公務員は格好の攻撃対象になりやすい。諸悪の責任を転嫁する。

 ・「規制緩和」と「構造改革」で締め付けて、落ちこぼれに対しては「自己責任」のせいにさせる。

 ・米中会談は尖閣の領有権に深入りしないまま国交正常化をめざし、直後の1972年5月アメリカ施政権下にあった沖縄(当然、尖閣も含まれる)が日本に返還された。以来、尖閣は日中間の懸案事項とされた。
こんなあたりが印象に残っている。

 「いちばん正しいことを言っている政党がいちばん伸びない」、「今日お集まりの方は元教員、後期高齢者とお見受けします」、ここで「笑い」を誘うようでは、この講演会も両者に緊張感が足りないとも感じました。「(PTAの学級懇談会などで)今日お集まりの方のお子さんは問題ないんです。来てほしい親が来てないんですよね」と言って満足し合った風潮にも似ていないでしょうか。
 部落問題といっしょで、政党間の主張に関する話題を日常の口にのぼらせるべきだと思いました。たとえば、たとえばですよ!呑み屋で「・・・党」って大きい声でしゃべって何はばかることがない。めざすのは、ここからです!  (F)