みえ教育ネットワーク

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教育を子どもたち、私たちの手に!!

  学習指導要領改訂のねらいとは
  
  小学校では2011年(平成23年)度、中学校では2012年(平成24年)度から現行学習指導要領は、完全実施されています。

  また、「道徳」を特別の教科として、格上げする一部改訂が行われ、移行措置を経て、小学校では2018年度(平成30年度)から、中学校では2019年度(平成31年度)から完全実施されます。
 
   現在、次期の学習指導要領改訂に向けての作業が文科省で、急ピッチで進められています。その概要が先日、新聞紙面等で、発表されました。その問題点を載せてみたいと思います。今後の動向に注目したいものです。

  簡潔に一言で述べれば、 現在の「将来の変化を予測することが困難な時代」に、「グローバル化や情報化」に対応できる人材育成を目指して、改訂しようとしていると言えます。

  改悪教育基本法がもとに………
  2006年に教育基本法が改悪されましたが、この時から、人材育成とか、育成すべき資質・能力という言葉がたくさん出てくるようになりました。

  1947年の教育基本法には、「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」となっていますが、

  2006年の教育基本法は、「教育は人格の完成をめざし、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」となりました。

  その基本理念を元に、改訂学習指導要領では、まず、「育成すべき資質・能力」を明確にしたうえで、各教科等の教育目標・内容を定め、それに対応した学習評価を行うよう提言しています。つまり、特有の人間資質形成プランをめざして、次期指導要領改訂が行われているということです。

 はじめにアクティブラーニングありき……… そして、この資質・能力を育むためには、学びの量とともに質や深まりが重要となり、「どのように学ぶか」という観点で、「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び(いわゆるアクティブ・ラーニング)」が提唱されています。

  協働的な学びは、すでに私たちが実践してきたことであり、現在でも行っています。重要なことは、子どもの実態に即して教育の目標や教育課程があり、単元ごとの計画、本時の展開が構想され、その流れの中で最も有効と考えられる方法としてアクティブラーニングが採用されてきたのです。

 今回の改訂では、「はじめに アクティブラーニングありき」が先行しています。

 今回提唱されている3つの新しいカタカナ用語
  (1)コンピテンシー(資質・能力) (2)アクティブラーニング(AL)  (3)カリキュラムマネジメント(CM)…… について、私たちは基本的にどう考えていけばいいのでしょうか。

(1)コンピテンシー(資質・能力)については、目の前の子どもたちの実態の分析から、育てたい諸能力人間像の姿を出し合い、それぞれの地域と学校が独自に表現すべきです。

(2)ALについては、まず指導の目当てと内容があり、それに合致した学習方法として採用すべきでしょう。

(3)CM(教育課程経営)については、上からの命令システムではなく、職場の提案→討議→合意過程を根本的踏まえたものでなければなりません。
                     ………と考えています。

 他にも問題が……小学校の「英語」  高校の「公共」    また、指導要領の根本的な問題だけでなく、具体的に盛り込まれようとしている「外国語教育」の問題と高校の「公民」の中に「公共」が設置されることなど大きな問題をはらんでいます。これについては、また稿を改めて提起したいと思います。

  文科省は、法律で学力を規定し学習指導要領改訂作業を現場不在で進めるなど、教育課程についても法的拘束性を強めています。「必要な資質」は国家レベルで定める、だから教育現場ではそれを「育成すべき」という構造は、今の安倍内閣の進めるあらゆる政策に共通しています。

   教育を子どもたち、私たちの手に!!


(この原稿は、雑誌「クレスコ」7月号、梅原利夫さんの文章を抜書きさせていただきました。A.H)