みえ教育ネットワーク

「 みえ 教育 ネットワーク 」は 三重県に勤務する、教育に関わる 全ての 職種 (正規・非正規 とも)、誰でも一人から入ることができる労働組合です。無料ブログのため、CMが入りますが、ご了承ください! ホームページは https://menwtuhp.jimdofree.com/ にあります。                 

「校庭に東風吹いて」上映会に80名


f:id:mie_net:20210305151404j:plain




校庭に東風吹いて」上映会に80名  参加者の皆様の感想

   2月21日(日)、河芸公民館で「2021春を呼ぶ!みえ教育ネットワーク教育研究集会」がおこなわれました。コロナ禍のもと映画会のみの開催でしたが、約80名の参加があり盛況でした。 ただ組合員の参加は必ずしも多いとは言えず、少し残念でした。「いい映画だとは分かっているが、日曜日ぐらいはゆっくりしないと体がもたない」・・・・長時間過密労働の現場の悲鳴が聞こえてきそうです。

 

 映画は期待通りすばらしい内容でした。「涙が出て止まりませんでした」など多くの感想が寄せられました。

 

校庭に東風吹いて」を見て~現実はなかなかうまく いかないんだよな~

 小学校 Nさん

 場面緘黙症の心の悲しみを抱えたミチルと母子家庭で貧しい生活を送っている純平に、教師の知世は愛情をもって寄り添い、奇跡を起こす感動の物語でした。映画を見て、子ども達に愛情をもって寄り添うことの大切さを改めて感じ、「自分もがんばらなくてはいけないな。」と思いました。しかし、限実はなかなかうまくいかないなと思った事を二つ書きたいと思います。

 

 一つ目は、現場では教師にあのような時間的余裕がないということです。時間にゆとりがないということは、心にもゆとりが無くなります。映画では、問題を抱える児童は二人にしぼって描かれていましたが、実際はもっと多いし問題ももっと複雑です。傷ついた児童に本気で寄り添うと、教師自身も傷つきぼろぼろになります。そして、倒れます。自分の職場で、去年二人、今年も二人教師が病休や退職になりました。しかし、代わりの先生が来ず担任二人が不在のままです。こんなことありえません。児童も保護者も困っているし、他の職員の負担も増します。どうして、ちゃんと教員を配置してくれないのでしょうか。

 

 二つ目は、現実の親御さんの状態はもっと厳しいということです。ミチルが、思いあふれて部屋をぐちゃぐちゃにした時、母親は驚きながらもこの子に何か変化が起こっていると捉えたと思います。しかし、実際には「何やってるの!」と怒ってしまう方が多いのではないでしょうか。それは、心に余裕がないからです。また純平の母親は、厳しい生活を送りながらも、純平に愛情を注ぎ、学校にも誠実な態度で接しています。すばらしいですが、現実は違います。生活の厳しさや子どもの問題行動から子どもにつらく当たってしまうこともあるでしょう。そのように育てられた子は、学校で大変な状態になります。コロナ禍で、状況はますます大変になるでしょう。

 

 悪い方にばかり考えてしまいましたが、どうしていったらよいのでしょうか。教師である自分ができる事はやはり、困っている人が救われる世の中を作っていく子を育てる、目の前の子どもたちに愛情を注いで寄り添うということでしょうか。

 

みんなと過ごせるのはあと23日、私も優しい先生になります  

小学校 Oさん

 映画を見た次の日は月曜日でした。週明けは落ち着きのない子が増えます。「今日は月曜日だから、また大変な1日になりそうだ」と思いながら、クラスに向かいました。

 朝の会に「先生からのスピーチはありませんか?」と日直がいうコーナーを作っています。最近は私が「ありません」と言ってなくしてしまっている事が多かったです。朝の会の前の揉め事での話し合い、落ち着いて座っていられない子への声掛けなど、朝の始まりの大事な時間が教師にとっても子どもたちにとってもゆとりのないものになっています。

 

 でも今日は、昨日の映画を見たあと優しい気持ちになれたことを子どもたちに語ってみたくなりました。子どもたちはどこまで話を聴き続けてくれるか自信はなかったのですが、私が語り始めると、静かに集中して聴いてくれました。

 場面緘黙の女の子と母を支えながら懸命に生きている男の子のことを中心に、教室に突然入ってきたインコのピーちゃんとの関わりを入れながら話しました。そして最後に「この映画に出てきた先生のように私も優しい先生になろうと思いました。みんなと過ごせるのはあと23日ですが、努力します」と宣言しました。最後まで静かに聴いてくれました。月曜日にこんな時間を持つことができたのは、何ヶ月ぶりだろうと思いました。

 

 子どもたちの反応をその場で聞けばよかったのですが、そのときは聞けていません。

 学校の勉強とは少し離れた話を子どもたちは待っているのでしょう。随分前になりますが、朝のスピーチで「トランプ大統領の選挙で見えるうそとごまかし」について、選挙って何か、バイデンさんとのちがい、などを話したときもしっかり聴いてくれました。子どもたちが興味を持って聴くに値するような話を教師は用意すべきと思っています。それは毎時間の授業の課題提示でも工夫できると思っています。

 

 しかし、現場にいると教師には時間がないのです。私は朝7時半に学校について、帰り7時半まで12時間、子どもがいる間は休み時間無しで働いています。それでも仕事は終わりません。こんな生活にゆとりなどありません。本来あるべき空き時間は、自分のクラスで他の先生がする授業に入って個別に子どもについて補助をしています。放課後は家庭訪問、会議、採点、丸付け等、仕事は山積みです。明日の授業の準備にかかるけれど、毎日5時間分の授業をこなすとなると時間が足りません。

 

 子どもの前で「優しい先生になる努力をする」と宣言したので、この日は、穏やかに過ごせるよう努力をしました。この映画は自分自身を見直すきっかけを与えてくれたと思います。


 子どもたちは正直です。興味があること、楽しいことには力が発揮できます。その力を信じて、残り僅かですが、一人ひとりの子どもと向き合っていきたいです。

 f:id:mie_net:20210305151505j:plain

会場で頂いた感想文より

① 涙がたくさん出ました。すべての子どもたちがすばらしい大切な一人なのだとあらためて感じました。

 

② すばらしい映画でした。無料で良かったでしょうか?心づくしですがカンパします。もう泣けてきて泣けてきて・・・。

うまく書けませんが、ありがとうございました。

 

③ ありがとうございました。いろんな思いがあり、「すばらしい映画」とかでまとめない方がいいかなと思いました。「がんばってと言わない」、心に残りました。みんながんばってますもんね。

 

④ 子どもたちに対して一人ひとりに丁寧に向き合う姿、学ぶことがたくさんありました。ありがとうございました。

 

⑤ いい映画でした!あたたかい教育環境でしたね。こういう教育環境が増えるとうれしいです。

 

⑥ すべての指導者、親御さんに観てほしいです。コロナでなければもっと宣伝して、たくさんの人に見てもらえたかと思うと残念でしたが、観ることができたことに感謝します。日本中の子どもたちに温かい学びがあってほしい。子どもたちにも見せてあげたいと思いました。コロナで大変な時にこのようなすばらしい企画をしてくださって本当にありがとうございました。

 

⑦ がんばりすぎて何かおこしてしまう、とても心当たりが・・・。緘黙の子も、不登校の子も出会ったことがありますが、一人ひとりちがいました。その子に寄り添う時間、とても取りたいのに取れない中、何を大切にしていけばいいのか、また考える時間でした。ありがとうございました。

 

⑧ 心に寄り添うってどういうことか、考えさせられる映画でした。個人情報を何かと問われ、家庭・学校・地域の連帯が消えかかる今の時代、心で向き合う、向き合える関係をどう紡いでいくかだと思いました。いい映画、ありがとうございました。

 

⑨ ミチルが家の中で暴れる場面に泣きました。ミチルはしゃべりたいのにしゃべれない。思うようにならないことって誰にでもあります。その苦しみがあふれた場面でした。人の心を理解できる人間になりたいと思いました。

 

⑩ 一人一人が大切にされる理想的な教師像、すてきでした。こんな気持ちを持っておられる先生多いと思いますが、実践がむずかしいのが現実なのではと思うと、今の教育に憤りを感じてしまいます。

 

⑪ 一人の子どもを救うことはすべての子どもを救うことにつながる!教師の皆さん、初心を忘れず、がんばってください。そしてそんな心ある先生方を潰していくような管理職がなくなるよう祈っています。

 

⑫ すばらしい映画でした。お誘いいただき、ありがとうございました。子ども一人ひとりに向き合う先生が理想だと思いますが、今の先生方の忙しさをみるとなかなか難しいと思いますが、みえ教育ネットワークの先生方の努力にエールをと思っています。

 

⑬ 子どもの目線に沿って教育の現場に立つと疲労でダウンしてしまう。もうヘトヘトで すよね。35人学級ならぬ25人学級にしてほしい!

 

⑭ 感動しました。今日の学校教育、ゆとりがなくカリキュラムをこなすのに精一杯ではないでしょうか。教師の業務が多すぎ、子ども一人ひとりに目を配ることが大切とわかっていてもなかなかなす術がないのが実情ではないかと懸念しています。

 

f:id:mie_net:20210305151916j:plain


⑮ 一人ひとりが大切にされる社会になるよう、何ができるか考え、とりくんでいきたいと思いました。    

 

⑯ 子どもの気持ちに寄り添う大切さと同時に難しさを感じた。教師が生活保護の仲立ちをする場面があったが、なかなか直接かかわることは難しいと感じた(知識は必要だと思うが)。

 

⑰ 沢口靖子さんの演じるやさしい教師を見ているとつぶれてしまわないかと心配になる。現場では個別で丁寧にかかわってあげないととても学校生活など送れない子がいる。大人の問題なのに子どもをどうにか動かそうとする表面的な対応にはうんざりすることが多々あります。 

 

⑱ 一人ひとりに寄り添うこんな先生だったらなあと思います。今の先生はそうしたい思いはあっても、忙しすぎて時間がなさすぎるのではないでしょうか。子どもの環境を守るには先生の環境も守らないとと思います。家に帰って、放りっぱなしの子どもに優しくしようと思いました。

 

⑲ すばらしい映画を見せていただけたことに感謝します。今の教育、時間や先生方のしめつけの中で、この映画のようなゆとりをもって向き合える教育ができなくされていることに、先生方が悲しさを覚えていられるのではないでしょうか。やはりみんなでよりよい教育をめざして運動ひろげていくことが求められていると痛感しました。ありがとうございました。

        

f:id:mie_net:20210305151936j:plain


映画上映に先立って開会あいさつする大原代表

 

*******************************************************************************

   みえ教育ネットワークの教育研究集会、例年は「文化行事」+「講演」+「分科会」という一日がかりの企画ですが、今年はコロナ感染防止のために2時間の映画上映会のみという初の試みとなりました。チラシの大量配布はせず、SNSや口コミでのお誘いとなりましたが、前評判を聞いて多くの保護者・市民に来ていただいたことは何よりです。無料の上映会でしたが、予想以上のたくさんのカンパを寄せていただきました。「みえ教育ネットワークがんばれ!」との声と受け止め、今後も市民とともに歩むみえ教育ネットとして前進していきたいと思います。新型コロナ感染の一日も早い終息を願います。(よ)