みえ教育ネットワーク

「 みえ 教育 ネットワーク 」は 三重県に勤務する、教育に関わる 全ての 職種 (正規・非正規 とも)、誰でも一人から入ることができる労働組合です。無料ブログのため、CMが入りますが、ご了承ください! ホームページは https://menwtuhp.jimdofree.com/ にあります。                 

組合活動 18年 ***つくってよかった!!

 コロナ感染が下火になり、延期されていたみえ教育ネットワーク総会が2021年11月14日に開催されることになりました。総会に寄せる思いを道家さんに寄稿してもらいました。

18年間の組合活動を振り返って  道家 桂

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 「みえ教育ネットワーク(以下「ネット」と省略」)が結成されたのは2003年9月7日です。当時の結成総会議案を見ると、三教組三泗支部で県議選での組織内候補への支持拡大やカンパの押し付けに疑問を感じた教師たちが、自由を求めて立ち上がったことが書かれています。「本当にたたかう、組合らしい組合をつくろう」と考えた教師たち(最初は12名だったそうです)が、2001年から準備会を重ね、結成総会を迎えたことが分かります。

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 最初の運営委員会は15人でスタートしており、週に1回のペースで会議を行っていました。私は何回目かの準備会に招かれたのですが、まっとうな訴えに賛同して参加しているうちに、なぜか書記長に選ばれてしまい、そこから委員長の2年間を除いてずっと書記長のままです。(なぜか断る理由が見つからなかったため)

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    そして最初に取り組んだ大きな運動が、四日市市の「学校選択制」導入反対運動でした。東京・大阪などの一部の都市で導入されたこの制度に、当時の市長が乗り気になって進めようとしました。ネットでは「こんな問題だらけの制度の導入は絶対に許せない」という決意で東京から講師を呼んで学習会を行い、自前のパンフや抗議ハガキを作成して各学校とPTA会長あてに送ったりしました。集めたハガキの束は、当時の委員長の吉田さんが市長室の前に置いてきました。

 

 「だって郵送料がもったいないし・・」と笑っていたのを覚えています。この抗議運動はPTAや校長会、三教組三泗支部にも広がり、その結果、四日市市は導入を諦めました。この成果は私達の大きな自信になりました。

 

 その後は三重県人事委員会に登録する「職員団体」となり、毎年の県教委との交渉を大きな活動の柱としてきました。ただ、大手組合のように数多くの問題を取り上げても、限られた時間での交渉は深まらないと考え、組合員の要求の高い「勤務時間の適正化」「非正規教員の待遇改善」「30人学級の実現」をはじめとする5~6項目に絞り、事前にシミュレーションをして臨みました。

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 それまでに要求した中で実現したものとしては「非正規教員」に関するものばかりですが、「夏の特別休暇」が3日だったのが正規と同様の5日となり、事務補助の忌引きが1日だけだったのが正規と同様になり、3月末の「空白の1日」のために健康保険などの様々な煩雑な手続きが必要だったのが、国会での追及もあってそれがなくなったりと、数は少ないですが、現場では大いに歓迎される成果となっています。

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 交渉の中で学んだことは、言い続けるのと同時に迫り方を工夫するということ。「夏特」問題は3~4年かかりましたが、「全国で講師だけ差別化しているのはもう三重と静岡だけですよ」と指摘したら翌年には改善されていましたし、事務補助の忌引きは「親が死んでも忌引きが1日だけとは、立派な人権教育の教材になりますね」と言ったらすぐに改善されました。

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 現在はみえ労連の運動の一環を担う形で、三重県下の各自治体と「教育懇談」を行っています。隔年で「市」と「町」の教委と懇談しますが、こちらは「交渉」と違い、事前に全市町から取ったアンケート結果の一覧をもとに、それぞれの教委(教育長が参加する場合も)と話し合うのですが、その自治体の優れた点を指摘し、どうやって実現したのかを聞いていくと、相手方はすごく友好的になり、ごく一部の「改善してほしい点」の指摘にも耳を貸してくれます。

 

 また、優れた取り組みを他の自治体との懇談で紹介することも忘れずに行います。普通教室のエアコン設置も、100%実施の自治体を紹介し続けてきたことが現在の普及状況に寄与していると感じます。

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 創立19年目を迎えるネットですが、振り返ってみれば「大変だったけどやはり作ってよかったなあ」と感じます。同時に「初心を忘れたらネットを作った意味はなくなるな」とも感じています。

声を上げれば 政治は変わる 教員免許更新制 ついに廃止へ!

教員免許更新制、ついに廃止へ!

 

 第1次安倍晋三政権で制度化され2009年から始まった教員免許更新制は、10年に1度、30時間程度の「更新講習」を受講しないと免許が失効する制度です。

 

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 みえ教育ネットワークは当初から「国の言うことをきく教員を作るのがねらい」と反対し、毎年の運動方針には「凍結または廃止」を掲げてきました。

 

 実施から10年あまりがたち、問題点が誰の目にも明らになってきました。何より、この制度が教員不足を深刻化させたことです。例えば産休・育休や病休の教員に替わる時教員が見つからなくなりました。

 

 普段は教職についていない人たちが、免許更新していないため雇えない例が相次ぎ、授業に穴が開く学校も出ています。50歳代で免許更新を迎え、そのまま退職する教員も少なくありません。

 

 教員の負担も深刻です。異常な長時間労働がいっこうに改善されないもとで、土日や夏休みを利用して受講し、3万円の受講料に加え、交通費、場合によっては宿泊費まで自己負担するのが「更新講習」です。

 

 必要性を感じられないまま、免許が失効しないように仕方なく受講しているのが実情です。別項の現場教員の手記が、その負担の大きさを物語っています。

 

 各方面からの批判が高まり、ついに文科省が教員免許更新制度の廃止に言及したことを歓迎します。来年の通常国会に免許法改正案の提案を目指すとしています。来年4月からの適用を求めます。 (よ)

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教員免許更新講習の実態     道家 桂

 私は今、まさに教員免許更新講習の真最中だ。

 

 コロナ禍のため、昨年から「オンデマンド講習」というものになった。大学からパソコンに送られた資料を印刷し、動画を何本も見、出された課題についてレポートを書いて提出、というものだ。

 

 5つの講座で動画はそれぞれ3本のものから8本のものまであるが、結局は1講座につき6時間になっている。

 

 内容は現代の教育の諸事情から書写指導など(私は国語なので)いろいろ。まだ2講座しか終了していないが、どれも教員向けの大学の講義とみれば、おかしなものではないし、「へえーそうだったのか(「秘密のケンミンショー」風に)」なんて感心する内容もある。ただ、最後に書くレポートにホントにこんな細かいことが必要なの?という内容がぎっしり。

 

 例えば「書写」では、教科書の画像そのものが出てきて道具の名称や配置、筆の持ち方や姿勢など(そんなもの、もう何べん生徒に教えたことか!)から始まり、いかにも大学の講座らしく「篆書」「隷書」などの昔の文字の解説まで(そんなもの、中学生に教える先生がどこにいるか!)長々と続いた。よく考えれば当たり前のことなのだが、彼らは「6時間」と決められた講義をしなければならないし、勝手に短くできないのだ。

 

 しかし受ける側からすれば単なる時間の無駄。また資料にしても、最初の講座でよくわからないまま印刷したら何と36枚!みんな動画の中で出てくるものばかりだった。「インクとコピー用紙を無駄遣いした!」という後悔も後の祭り。それ以降は中身を見て本当に必要なものだけ印刷している。

 

 ただ、動画は早送りができない(勝手に飛ばすのはできる)ため、やはり見るのに6時間近くはかかってしまうし、それ以上にレポート作成が大変。

 

 私はかなり文章を書くのは早い方だと自覚しているが、2講座で3本のレポート(1講座を2人で分けているものもあるため)を書くのに、別の日の10時間程度を費やした。講義の後は頭痛が起こり、バフアリンを飲むほどになったため書くのは無理だったし、レポートを書く時も「万が一内容に間違いがあったら・・・」という不安もあって、動画を見直したりして何度も書き直したため、そうなってしまった。

 

 たった2講座で「勘弁してほしい」と痛切に感じた。講座内容は大学によってちがうし、多分これはましな方だと思う。しかし、こんな講習を先のある若い教師が受けなければならないと考えると、亡くなった横井久美子の「ノーモアスモンの歌」のサビが思い浮かんだ。

 

 「こんな苦しみは二度と、この世に起こしてはいけない。こんな苦しみはもう、私達だけでいい」ほんとに、こんなことは今年で終わりにしないと、教師はみんな辞めていくんじゃないか?

                             (中学校 非常勤)

 

みえ教職員懇話会(現役教員と退職教員がつくる団体)三重県教育委員会と懇談

 みえ教職員懇話会(現役教員と退職教員がつくる団体)が去る7月5日、三重県教育委員会と懇談をしましたので、その模様をお知らせします。

安倍首相の一斉休校要請に無批判で追随した三重県教委、

あれは間違いだったとしっかりと反省してもらいたい。

 
  ~みえ教職員懇話会が三重県教育委員会との懇談で訴える~

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 コロナ禍で2回延期となり、やっとのことで7月5日、みえ教職員懇話会と三重県教育委員会の懇談が行われました。県教委側は教職員課、教育総務課から7名が、懇話会側は会員4名が参加しました。

 

 あらかじめ13項目の要望が出してあり、それに対する回答も受け取っていましたので、懇談には内容をしぼって臨みました。従来の大規模な参加ではなくお互い少人数だったため、おちついた雰囲気の意見交換ができました。

 

1 コロナ禍の教育(一斉休校の総括) 

 懇話会;2020年2月27日に安倍首相が全国一斉休校を要請したとき、私は息が止まった。体が震えた。これは戦前か、日本はどうなっているんだ。日本中の学校がその要請に従った。その結果、子どもたちは3か月間、学校に行けなかった。三重県教委はどういう判断で「休校」にしたのか?その判断は大きな間違いだったと反省しているか?

 

県教委;私たちにとって経験したことのないことだった。当時の判断としては従うしかなかった。休校中も学習の遅れが出ないよう、オンラインなどさまざまな工夫をした。

 

懇話会;卒業式、入学式を控えた、子どもたちにとって一番大事な時期に休校する、首相の一言で学校が止まる、これは異常だと思わないか?

 

県教委;あの時はわからなかった。今後休校するときは短期間にし、学習の保障をしっかりとする。

 

懇話会;終わってしまったことだから仕方がないが、間違ったときは、きちんと総括しなければいけない。安倍の思い付きで日本中の学校が振り回された。今後は言いなりにならないということを教訓にすべきだ。

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 ベテランMさん(91歳)、Oさん(86歳)の言葉には重みがあります。教委のみなさんは真摯な表情で耳を傾けていました。最後に、「三重県の教育に責任の持つのは教育委員会だ。今後、首相からどんな要請があっても、決めるのは県教委だという理解でいいですね?」との念押しに、こもごも頷いていたのは印象的でした。

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2 少人数学級の実現(国が35人学級へかじを切ったことを踏まえ、三重県としてはどう取り組むか)

 

懇話会;少人数学級は大事だ。ある高校では募集定数を減らして35人学級にした。ところが生徒数が減ったという理由で、先生が3人減らされた。学級数は変わらないのに先生が減れば負担は大きくなる。現場からは悲鳴が上がっている。小中学校でも少人数学級を作るためにフリーの先生を担任に回すから、現場に余裕がなくなる。(国の加配に頼るのではなく)県独自の学級編成基準を作り、先生を増やすべきだ。大きな予算を伴うことではあるが、思い切って英断を求める。

 

県教委;おっしゃるように国の加配定数の中で学級増をしていることに無理があることは承知している。国への要望は上げ続けている。なお、三重県の課題は少人数学級だけでないことも理解してほしい。特別支援学級増設のニーズは年々増え続けている。外国籍児童の問題もある。限られた予算をどう使うか四苦八苦しているのが実情だ。

 

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「国の加配定数の中で学級増をしていることに無理がある」との認識が共有できたことは一歩前進。あとは「思い切って英断」し、県独自の予算で先生を増やすことだ。

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 7月11日(日)にはみえ教職員懇話会・みえ教育ネットワーク・30人学級実現と行きとどいた教育を求める会の3団体が協力して「30人学級実現!三重県縦断キャラバン」にとりくみました。津→鈴鹿四日市へと宣伝カーを移動させて、署名・宣伝行動にとりくみました。のべ20人が参加し104筆の署名が集まりました。集まった署名は、各団体が集める署名と合わせて9月に三重県教育委員会に提出します(昨年は約5000筆)。

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3 1年単位での変形労働時間制を導入しないこと

 

懇話会;変形労働時間制導入のための条例の準備は、今どこまで来ているのか。

 

県教委;条例化するかも含めて検討中です。

 

懇話会;変形労働時間制は、時間外労働が1か月45時間未満であることが前提。そのような前提がない以上、導入はあり得ない。

 

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 前回(2019年12月24日)の懇談では「私は担当者として粛々と進めるだけです」と答えていた。あれから1年半以上が経つが、未だに「条例化するかも含めて検討中」とのこと。北海道のように現場の反対を押し切って条例化を進めたところと比べて、ある意味三重県教委の姿勢は評価できます。「繁忙期の勤務時間を6時、7時まで延ばし、そのぶん夏休みにゆっくりする」なんてことはあり得ない。現場の反対が目に見えているから県教委も条例化に慎重にならざるをえないのでしょう。

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4 日本学術会議任命拒否問題

 

懇話会;私は北勢高教組の支部長を8年間務めた。そのころ私たちは中曽根内閣の悪政とたたかったが、当時の大臣には矜持があった。今の安倍、菅内閣にはそれがない。内閣人事局で官僚の人事を握り、思いつきで、やりたい放題。政府にとって気に入らないからと任命を拒否したのはそのあらわれ。許しがたい介入であり、学問の自由に対する挑戦だ。

 

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 回答書で「この問題は内閣が決めることであり、県教委は関与する立場にありません」と回答していたので、議論は難しいとは思ったが、せめて「不当な介入だと思うか、思わないか」について個人の意見でいいので聞かせてほしかった。しかし教委の皆さんは「勘弁してください」とばかりに、顔の前で手をふるばかりだった。

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  以上、報告 吉田

 

コロナ禍で学校現場はどう変わったのか?

 岩波書店発行の『図書』7月号に公立学校の中学校教師の文章が載りました。要点だけ、紹介します。筆者は、中学校の英語教師で、コロナ禍で変わった子どもや教師の様子を紹介しています。

 

 コミュニケーションと感染対策の両立の難しさ

 「話し合う際は、向かい合わない」という条件は、どうも落ち着きません。英語の発音の指導では、マスクでは、口の動きが分からず、お互いの表情もつかみにくいのです。教師の透明のフェイスシールドでは、もどかしい。授業やホームルームでの反応を見ながらの対応のやりにくさも大きなストレスです。本来ならもっとできることがあるのに……という思いが募ります。

 

 クラスの様子は

 おしゃべりしながら楽しんで味わう給食は、同じ方向を向いて黙々と食べるだけの時間になってしまいました。子どもたちの様子は、筆者の学校では、幸いにも極端に暗い雰囲気になったり、荒れたりすることはなかったそうです。隔離期間が明けて登校してきた生徒に、みんなごく普通に接していましたし、明るく声をかける姿もあり、ホットしました。「クラスメイトが検査で陽性になっても、それでいじめになることは絶対に許さない」と伝えてあり、保護者からも言われてきたようです。

 

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 授業や行事も生徒たちには、窮屈な思いさせている歯がゆさもありますが、生徒たちが立派に振る舞い、成長しているのは、本当にすばらしく、そんな姿を実感できたのは、教師として大きな喜びでした。

 

 ますます大変になる教師の仕事

 公立学校の教師は、「教特法」という法律で、時間外労働がほとんどタダ働きになっていることや、「聖職者」として長時間働き続けざるを得ない現状があります。

 問題は、多忙な仕事に加え、感染対策という新たな仕事が増えました。例えば、自宅での検温チェックの保護者のサインチェックや消毒作業など……。

 

 指摘したいのは、そもそも教師の仕事量は、コロナ以前から、パンク寸前だったということです。深夜まで働くことが珍しくない教師への負担がさらに増えたわけですから、学校の働き方は、本当に限界に来ていると思います。

 

 変わるべき時代に変われない学校

  指示通り・従来通りなど、最低限のことをしている教師が多い中、「今、子どもたちのためにやるべきことはなにか」と考えて取り組む教師でありたいと筆者は語っています。 筆者は、休校期間中にYou Tubeでクラス向けに英語の授業を公開したそうです。

 

 子どもたちには、「どんな状況でも学べる」と思って欲しいですし、そのために教師はできることを摸索しないといけません。もちろん、主導する教育行政には、そうした姿勢と対応が強く求められるでしょう。

 

 悪いことばかりではない

 つらい状況が続きますが、よかったことがないわけではありません。

 学校は、前例踏襲主義の職場ですが、「不要なことをやめる」きっかけになりました。毎週の会議をオンラインチャットに切りかえる、生徒の密集を避けるため、清掃の頻度を下げる……コロナ禍をきっかけに、過密なスケジュールを緩和していきたいところです。

 

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 もう一つが、「学びの選択肢」を提供できるようになったことです。学校や教室に行けない子どもにとっても役立ちます。自宅や保健室からzoomで授業に参加できたら、学びの選択肢になるはずです。そういった面で、学校に多様性を生むきっかけになったではないかと思います。

 

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そして、最後に筆者は、今の学校現場について、このように結んでいます。

 

 まだまだ、出口は見えませんが、子どもたちの大事な一時期の成長や学びを促すという学校の重要性がかすむことはありません。そのために、教師の役割が期待されていますし、いかなる状況下でも、それを担いうる学校のあり方が問われていると言えるでしょう。

「校庭に東風吹いて」上映会に80名


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校庭に東風吹いて」上映会に80名  参加者の皆様の感想

   2月21日(日)、河芸公民館で「2021春を呼ぶ!みえ教育ネットワーク教育研究集会」がおこなわれました。コロナ禍のもと映画会のみの開催でしたが、約80名の参加があり盛況でした。 ただ組合員の参加は必ずしも多いとは言えず、少し残念でした。「いい映画だとは分かっているが、日曜日ぐらいはゆっくりしないと体がもたない」・・・・長時間過密労働の現場の悲鳴が聞こえてきそうです。

 

 映画は期待通りすばらしい内容でした。「涙が出て止まりませんでした」など多くの感想が寄せられました。

 

校庭に東風吹いて」を見て~現実はなかなかうまく いかないんだよな~

 小学校 Nさん

 場面緘黙症の心の悲しみを抱えたミチルと母子家庭で貧しい生活を送っている純平に、教師の知世は愛情をもって寄り添い、奇跡を起こす感動の物語でした。映画を見て、子ども達に愛情をもって寄り添うことの大切さを改めて感じ、「自分もがんばらなくてはいけないな。」と思いました。しかし、限実はなかなかうまくいかないなと思った事を二つ書きたいと思います。

 

 一つ目は、現場では教師にあのような時間的余裕がないということです。時間にゆとりがないということは、心にもゆとりが無くなります。映画では、問題を抱える児童は二人にしぼって描かれていましたが、実際はもっと多いし問題ももっと複雑です。傷ついた児童に本気で寄り添うと、教師自身も傷つきぼろぼろになります。そして、倒れます。自分の職場で、去年二人、今年も二人教師が病休や退職になりました。しかし、代わりの先生が来ず担任二人が不在のままです。こんなことありえません。児童も保護者も困っているし、他の職員の負担も増します。どうして、ちゃんと教員を配置してくれないのでしょうか。

 

 二つ目は、現実の親御さんの状態はもっと厳しいということです。ミチルが、思いあふれて部屋をぐちゃぐちゃにした時、母親は驚きながらもこの子に何か変化が起こっていると捉えたと思います。しかし、実際には「何やってるの!」と怒ってしまう方が多いのではないでしょうか。それは、心に余裕がないからです。また純平の母親は、厳しい生活を送りながらも、純平に愛情を注ぎ、学校にも誠実な態度で接しています。すばらしいですが、現実は違います。生活の厳しさや子どもの問題行動から子どもにつらく当たってしまうこともあるでしょう。そのように育てられた子は、学校で大変な状態になります。コロナ禍で、状況はますます大変になるでしょう。

 

 悪い方にばかり考えてしまいましたが、どうしていったらよいのでしょうか。教師である自分ができる事はやはり、困っている人が救われる世の中を作っていく子を育てる、目の前の子どもたちに愛情を注いで寄り添うということでしょうか。

 

みんなと過ごせるのはあと23日、私も優しい先生になります  

小学校 Oさん

 映画を見た次の日は月曜日でした。週明けは落ち着きのない子が増えます。「今日は月曜日だから、また大変な1日になりそうだ」と思いながら、クラスに向かいました。

 朝の会に「先生からのスピーチはありませんか?」と日直がいうコーナーを作っています。最近は私が「ありません」と言ってなくしてしまっている事が多かったです。朝の会の前の揉め事での話し合い、落ち着いて座っていられない子への声掛けなど、朝の始まりの大事な時間が教師にとっても子どもたちにとってもゆとりのないものになっています。

 

 でも今日は、昨日の映画を見たあと優しい気持ちになれたことを子どもたちに語ってみたくなりました。子どもたちはどこまで話を聴き続けてくれるか自信はなかったのですが、私が語り始めると、静かに集中して聴いてくれました。

 場面緘黙の女の子と母を支えながら懸命に生きている男の子のことを中心に、教室に突然入ってきたインコのピーちゃんとの関わりを入れながら話しました。そして最後に「この映画に出てきた先生のように私も優しい先生になろうと思いました。みんなと過ごせるのはあと23日ですが、努力します」と宣言しました。最後まで静かに聴いてくれました。月曜日にこんな時間を持つことができたのは、何ヶ月ぶりだろうと思いました。

 

 子どもたちの反応をその場で聞けばよかったのですが、そのときは聞けていません。

 学校の勉強とは少し離れた話を子どもたちは待っているのでしょう。随分前になりますが、朝のスピーチで「トランプ大統領の選挙で見えるうそとごまかし」について、選挙って何か、バイデンさんとのちがい、などを話したときもしっかり聴いてくれました。子どもたちが興味を持って聴くに値するような話を教師は用意すべきと思っています。それは毎時間の授業の課題提示でも工夫できると思っています。

 

 しかし、現場にいると教師には時間がないのです。私は朝7時半に学校について、帰り7時半まで12時間、子どもがいる間は休み時間無しで働いています。それでも仕事は終わりません。こんな生活にゆとりなどありません。本来あるべき空き時間は、自分のクラスで他の先生がする授業に入って個別に子どもについて補助をしています。放課後は家庭訪問、会議、採点、丸付け等、仕事は山積みです。明日の授業の準備にかかるけれど、毎日5時間分の授業をこなすとなると時間が足りません。

 

 子どもの前で「優しい先生になる努力をする」と宣言したので、この日は、穏やかに過ごせるよう努力をしました。この映画は自分自身を見直すきっかけを与えてくれたと思います。


 子どもたちは正直です。興味があること、楽しいことには力が発揮できます。その力を信じて、残り僅かですが、一人ひとりの子どもと向き合っていきたいです。

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会場で頂いた感想文より

① 涙がたくさん出ました。すべての子どもたちがすばらしい大切な一人なのだとあらためて感じました。

 

② すばらしい映画でした。無料で良かったでしょうか?心づくしですがカンパします。もう泣けてきて泣けてきて・・・。

うまく書けませんが、ありがとうございました。

 

③ ありがとうございました。いろんな思いがあり、「すばらしい映画」とかでまとめない方がいいかなと思いました。「がんばってと言わない」、心に残りました。みんながんばってますもんね。

 

④ 子どもたちに対して一人ひとりに丁寧に向き合う姿、学ぶことがたくさんありました。ありがとうございました。

 

⑤ いい映画でした!あたたかい教育環境でしたね。こういう教育環境が増えるとうれしいです。

 

⑥ すべての指導者、親御さんに観てほしいです。コロナでなければもっと宣伝して、たくさんの人に見てもらえたかと思うと残念でしたが、観ることができたことに感謝します。日本中の子どもたちに温かい学びがあってほしい。子どもたちにも見せてあげたいと思いました。コロナで大変な時にこのようなすばらしい企画をしてくださって本当にありがとうございました。

 

⑦ がんばりすぎて何かおこしてしまう、とても心当たりが・・・。緘黙の子も、不登校の子も出会ったことがありますが、一人ひとりちがいました。その子に寄り添う時間、とても取りたいのに取れない中、何を大切にしていけばいいのか、また考える時間でした。ありがとうございました。

 

⑧ 心に寄り添うってどういうことか、考えさせられる映画でした。個人情報を何かと問われ、家庭・学校・地域の連帯が消えかかる今の時代、心で向き合う、向き合える関係をどう紡いでいくかだと思いました。いい映画、ありがとうございました。

 

⑨ ミチルが家の中で暴れる場面に泣きました。ミチルはしゃべりたいのにしゃべれない。思うようにならないことって誰にでもあります。その苦しみがあふれた場面でした。人の心を理解できる人間になりたいと思いました。

 

⑩ 一人一人が大切にされる理想的な教師像、すてきでした。こんな気持ちを持っておられる先生多いと思いますが、実践がむずかしいのが現実なのではと思うと、今の教育に憤りを感じてしまいます。

 

⑪ 一人の子どもを救うことはすべての子どもを救うことにつながる!教師の皆さん、初心を忘れず、がんばってください。そしてそんな心ある先生方を潰していくような管理職がなくなるよう祈っています。

 

⑫ すばらしい映画でした。お誘いいただき、ありがとうございました。子ども一人ひとりに向き合う先生が理想だと思いますが、今の先生方の忙しさをみるとなかなか難しいと思いますが、みえ教育ネットワークの先生方の努力にエールをと思っています。

 

⑬ 子どもの目線に沿って教育の現場に立つと疲労でダウンしてしまう。もうヘトヘトで すよね。35人学級ならぬ25人学級にしてほしい!

 

⑭ 感動しました。今日の学校教育、ゆとりがなくカリキュラムをこなすのに精一杯ではないでしょうか。教師の業務が多すぎ、子ども一人ひとりに目を配ることが大切とわかっていてもなかなかなす術がないのが実情ではないかと懸念しています。

 

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⑮ 一人ひとりが大切にされる社会になるよう、何ができるか考え、とりくんでいきたいと思いました。    

 

⑯ 子どもの気持ちに寄り添う大切さと同時に難しさを感じた。教師が生活保護の仲立ちをする場面があったが、なかなか直接かかわることは難しいと感じた(知識は必要だと思うが)。

 

⑰ 沢口靖子さんの演じるやさしい教師を見ているとつぶれてしまわないかと心配になる。現場では個別で丁寧にかかわってあげないととても学校生活など送れない子がいる。大人の問題なのに子どもをどうにか動かそうとする表面的な対応にはうんざりすることが多々あります。 

 

⑱ 一人ひとりに寄り添うこんな先生だったらなあと思います。今の先生はそうしたい思いはあっても、忙しすぎて時間がなさすぎるのではないでしょうか。子どもの環境を守るには先生の環境も守らないとと思います。家に帰って、放りっぱなしの子どもに優しくしようと思いました。

 

⑲ すばらしい映画を見せていただけたことに感謝します。今の教育、時間や先生方のしめつけの中で、この映画のようなゆとりをもって向き合える教育ができなくされていることに、先生方が悲しさを覚えていられるのではないでしょうか。やはりみんなでよりよい教育をめざして運動ひろげていくことが求められていると痛感しました。ありがとうございました。

        

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映画上映に先立って開会あいさつする大原代表

 

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   みえ教育ネットワークの教育研究集会、例年は「文化行事」+「講演」+「分科会」という一日がかりの企画ですが、今年はコロナ感染防止のために2時間の映画上映会のみという初の試みとなりました。チラシの大量配布はせず、SNSや口コミでのお誘いとなりましたが、前評判を聞いて多くの保護者・市民に来ていただいたことは何よりです。無料の上映会でしたが、予想以上のたくさんのカンパを寄せていただきました。「みえ教育ネットワークがんばれ!」との声と受け止め、今後も市民とともに歩むみえ教育ネットとして前進していきたいと思います。新型コロナ感染の一日も早い終息を願います。(よ)

  

2021年度春を呼ぶ!みえ教育ネットワーク教育研究集会

映画「校庭に東風吹いて」無料上映会

 みえ教育ネットワークは例年この時期に「春を呼ぶ!みえ教育ネットワーク教育研究集会」を開いてきました。

目的は

〇組合員の教育実践および教育運動の成果と課題について交流と学習の場とする

〇さまざまな教育問題について広く教職員、保護者、県民とともに考える場とする

〇組合の教育研究活動を県内の教職員に知らせ組織拡大の一環とする

の3点を掲げてきましたが、新型コロナ感染拡大のもとで、例年通りの開催は難しいと判断しました。

 そこで今年は「コロナに負けず、集結し学ぼう」 をテーマに、映画会を行うことにしました。感染防止のため、河芸公民館ホール(定員300人)で参加上限を75人に制限して開催します。組合員とその友人・知人・家族の参加を期待しています。

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沢口靖子が小学校教師を熱演 感動のドラマ 

 映画「校庭に東風吹いて」は、場面緘黙症の心の悲しみを抱えた少女、貧困から様々な問題を引き起こす少年の絶望と苦しみなど子どもたちの困難に寄り添い、子どもと共に生き、子どもへの愛情を貫いた教師の感動の物語。

 教師を演じるのは、TVドラマ「科捜研の女」シリーズで活躍中の沢口靖子沢口靖子9年ぶりの映画出演で渾身の演技を披露しています。また、厳しい生活の中で子育てに苦しむ母親を演じた遠藤久美子、二人の好演が光ります。そして、星由里子をはじめ、村田雄浩、ひし美ゆり子嶋尾康史、仁科貴、大塚まさじの実力派が脇を固め、祷キララ、本間淳志の若手を配した豪華キャストが見ものです。

 この作品は、2016年春に大阪や京都府下の南山城村を舞台に撮影は敢行され、同時に、映画「校庭に東風吹いて」の製作支援運動が全国で展開されて、大きな話題を呼びました。

 

原作者、柴垣文子さんは

 「学校で話せない場面緘黙症の子どもの悲しみ、貧しさにあえぐ子どもの苦しみ。渦巻いている子どもたちの声なき声を聴き、『いつか、きっと』という心の奥の希望を掘り起こしたい。

 そんな待望の映画の完成が嬉しい。 多くの方にみていただき、未来へのまなざしをともにしたいと願っています。」と語っています。

 

沢口靖子さんは

「場面緘黙の症状をもった子どもたちがいるということを私自身も初めて知りました。家では話せるのに幼稚園や学校では話したくても話せない。なんと辛いことでしょう。 作品を通して、多くの方々に知っていただく機会になることを願います。」とメッセージを寄せています。

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映画「校庭に東風(こち)吹いて」上映会

 2021年2月21日(日)河芸公民館ホール参加無料

 9:15~受付 9:30~あいさつ 9:40~上映(112分)

定員300席のところ75人に制限

マスク・検温・消毒・換気にご協力下さい

 

感染拡大で会場が貸し出し中止になるなどの場合も考えられます。念のためみえ教育ネットワークブログでご確認ください。

「人数把握のため、参加希望の方はメールでお知らせください。➝ kazuo015@mecha.ne.jp  電話でも受け付けます ➝ 090-1821-4997(ショートメール、留守電 OK)

 

 

臨時教職員の待遇改善で大きな前進 

待遇改善で大きな前進!

  11月13日(金)午後2時から、みえ教育ネットワーク教職員ユニオンと三重県教育委員会との地公法55条にもとづく団体交渉が行われました。交渉は「2020年度要求書」に沿って行われ、ユニオンは現場の実態を具体的に語り、臨時教員の待遇改善や、教職員の労働条件改善などを、心をこめて訴えました。

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 中でも、要求項目1に掲げた臨時教職員の待遇改善に関してはいくつかの前進が見られました。

 

 地公法が改正され正規と非正規の不合理な格差を解消することが求められています。県教委は昨年の交渉で約束したとおり、今年度(令和2年度)より、これまであった3月31日の空白日を無くしました。これにより健康保険が継続し、年休も繰り越されます。

 

 臨時教員の願いが、ついに実現しました。また期限付講師と臨時的任用講師の賃金格差をなくし一本化されました。「同じ仕事をしているのに臨時的任用講師になると給料が下がるのはおかしい」と、何度も繰り返し訴えてきましたが、これが改善されました。さらに県教委は令和3年度から臨時教員の給与の上位制限を撤廃すると明言しました。「臨時教員の給与は25万円で頭打ち。そのあとは正規教員との差がどんどん開いていく。こんな働かせ方はおかしい。」と訴え続けてきたことが、いよいよ改善されるのです。臨時教員運動が長年かけて要求してきたことがこのように改善されたことは実に喜ばしいことです。

 

 いっぽう、講師と正規の格差については相変わらず「職務が違うから同一にできない」との回答。「何が違うのか」と迫ると「講師は主任ができないから」。どうやらこれが唯一の理由。しかし実際には実質上の主任をしているベテランの臨時教員も多く、仕事上の違いはありません。「地公法改正に伴い教諭格付けしている県もあるが、知っているか」との問いに県教委は「臨時的任用の教諭があることは知っている」と述べるものの、「講師は1年間の任用で2年目はない。継続して雇用される教諭とは違う」とあくまで職務の違いをくりかえしました。近隣府県では講師と教諭の格差をなくすところまで改善しています。引き続き実現めざして要求していかなければなりません。

 

 その他、臨時教職員に関する回答で主なものは以下の通り。

◎正規教員の比率を高めよ→新採を一定数確保し正規率を高めていきたい

◎臨時の事務補助員、学校栄養補助員などの昇給や病休を認めよ→令和2年度より会計年度職員に移行し、昇給が実現。病休も7日まで付与。

×講師経験を採用基準に反映せよ→地公法との関係で講師だけを優遇は難しい

×講師の健康診断→現行のまま

×再任用を定数外に→年金開始年齢までは正規で雇用することになっている

×非常勤講師を特別選考Ⅱに含めよ→難しい

×非常勤講師の月給制→地方自治法で「勤務量に応じて支給」となっており、時間数が月により変動するので難しい

 

 非常勤講師をめぐっては「教材研究やテスト作成、採点など授業以外の業務に関し相応の報酬を支給すること」を要求しました。三重県内の市町採用の非常勤講師の中には、テスト作成・採点など授業以外の業務に関して一定の賃金が支払われているところもあります。ところが県教委は「認められない」との姿勢。

 

 非常勤講師はテスト作成や採点を時間外や家に持ち帰って行っているのが実態です。いわばサービス残業。それに対して「非常勤講師の時給(2910円)にはそれも含んでいるんだ」という議論もありますが、それをきっぱり否定するニュースが11月14日の中日新聞で報じられました。名古屋市で非常勤講師が時間外労働分の賃金を求めて労基署へ申告し、労基署の指導に基づいて市教委が支払いを決定したのです。

 「非常勤講師の勤務について労基法に基づく労働時間と認め、対価を支払うと決めた点が大きな成果」と埼玉大学の高橋准教授が述べています。私たちの運動を後押ししてくれる決定です。以下、11月14日付の新聞記事をご覧ください。

 

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県教委との交渉では、以下の項目について要求しました。詳しい報告は、今回は割愛します。

1 臨時教職員の待遇改善

2 勤務時間・サービス残業・賃金   

3 「人事評価制度」について

4 30人学級の実現

5 全国学力・学習状況調査への対応およびスタディ・チェックについて

                    (以上、報告;吉田)