みえ教育ネットワーク

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映画「教育と愛国」2月19日に無料上映会

映画「教育と愛国」2月19日に無料上映会

 前回ブログで紹介した映画「教育と愛国」が2月19日(日)10:00から津市河芸公民館で無料上映されます。

  みえ教育ネットワークが「2023春を呼ぶ!教育研究集会」として実施するものです。添付のチラシをご覧ください。多くの教職員・保護者・市民の参加を期待します。

 

映画「教育と愛国」ぜひ観て下さい!11月27日

 「教育と愛国」というタイトルの映画が作られた。

11月27日には四日市市総合会館8階視聴覚室で上映される。

(①10:00~ ②13:00~ 上映協力券1000円)。

 

 また来年2月にはみえ教育ネットワークも無料上映会を計画している(2月12日=建国記念の日の翌日 河芸公民館またはリージョンプラザを予定)。

 

一体どんな映画なんだろうか。

ひとりの記者が見続けた“教育現場”に迫る危機

教科書で”いま”何が起きているのか?

 

 いま、政治と教育の距離がどんどん近くなっている。

 

 軍国主義へと流れた戦前の反省から、戦後の教育は政治と常に一線を画してきたが、昨今この流れは大きく変わりつつある。2006年に第一次安倍政権下で教育基本法が改変され、「愛国心」条項が戦後初めて盛り込まれた。

 

 2014年。その基準が見直されて以降、「教育改革」「教育再生」の名の下、目に見えない力を増していく教科書検定制度。政治介入ともいえる状況の中で繰り広げられる出版社と執筆者の攻防はいま現在も続く。

 

 本作は、

☆歴史の記述をきっかけに倒産に追い込まれた大手教科書出版社の元編集者や、

保守系の政治家が薦める教科書の執筆者などへのインタビュー、

☆新しく採用が始まった教科書を使う学校や、

慰安婦問題など加害の歴史を教える教師・

☆研究する大学教授へのバッシング、

☆さらには日本学術会議任命拒否問題など、

 大阪毎日放送MBS)で20年以上にわたって教育現場を取材してきた斉加尚代ディレクターが、「教育と政治」の関係を見つめながら最新の教育事情を記録した。

 

 教科書は、教育はいったい誰のものなのか……。

 

 以上は映画「教育と愛国」公式ホームページより引用した。

 

いち早く映画を観てきた教育ネット組合員のK・Sさんは次のように感想を述べている。

 

映画『教育と愛国』を観て感じたこと

 2006年の教育基本法改正の前に教科書出版社が倒産に追い込まれた事実についても、詳しく映像編集で構成されている事に驚きをもって感動しました。教育基本法に愛国の内容を押し込み、その後の教科書検定や採択にも大きく影響していることがよくわかりました。

 昨年文科省の教科書採択替えの通達文書をHPで確認した時に、中学校社会(歴史)教科書を自由社の『新しい歴史教科書』のみ採択変更可能とするこんな恣意的なことが現実として行われていいことなのかと、私は驚きと憤りを覚えた事を思い起こしました。

 また、子どもの事や教育に関してもどんどん内閣府に取り込まれていく方向に、大いに不安です。子ども家庭庁で、就学前の子どもたちが児童福祉法教育基本法から主管が内閣府に移されて、時の政府の意のままにされていく。就学前の小さな子供たちの1日過ごす場が、コンビニを改装した所やビルの空き店舗のみや個人の駐車場だった狭い場所で、園庭すら無い施設を四日市や桑名で最近見られます。設置基準の改悪は酷いものです。

 さらに桑名市では小中一貫義務教育学校の計画がなされ、学校にプールは造らず、水泳授業は民間のプールに委託されるという計画です。子ども人口減少による学校施設適正化と称する統廃合の動きも心配です。

 子どもたちの現場から経費を削減し、心は愛国の方に向かわせられて、防衛予算はどんどん増額!?  何と恐ろしい方向でしょう! しっかり注視していかねばと思います。  (K・S)

 

教育現場を憂える人にぜひ見ていただきたい映画だ。 

11月27日(日)です。

(よ)

熱中症から生徒を守れ!

 熱中症から生徒を守れ!

 2022年7月29日に三重県教育委員会の定例会が開かれ、その中で教育ネットが提出した熱中症対策に関する請願書」が審議されました。

 

 部活動は教育活動の一環とはいいますが、実際には部活動に熱中する顧問の暴走によって加熱してきた側面があることは否めません。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大によって、生徒が学校に登校して授業を受けるのを停止していた期間中に、部活動のための登校はありとされたほどです。このような「命よりも部活動」と言わんばかりの対応がまかり通る部活動のあり方はやはり問題なのではないでしょうか。

 教育ネットは本請願書の中で、夏場の部活動の実態について示しました。WBGT指数に基づき「運動は『原則』中止」と評せられるときであっても、部活動に燃える顧問は「あくまで『原則』なんだから、守らなくてもいい」と、「原則」という言葉を都合よく解釈することがあります。

 

 ひょっとしたら、こうした運用に「おかしい」と思っている顧問もいるかもしれませんが、顧問間の同調圧力等によって、自分の部だけ、熱中症リスクの高いときに部活動を停止することはなかなか難しいのではないでしょうか?熱中症リスクが高いときは部活動を停止するように、管理職からすべての顧問に指示するようにすることが大切です。本請願書は、それが実現することを願って提出しました。

 

 しかし、三重県教委に我々の思いは届きませんでした。顧問が「部活動をしたい」という個人的な思いで、生徒を熱中症のリスクに晒(さら)してまで部活動をしている実態が問題であるという旨を指摘しているのに、三重県教委は「学校での総合的な判断」のもと部活動を行うという、現状の問題を放置する意向を示しました。

 しかし、これでは生徒たちが熱中症から守られませんし、自分自身のエゴのために部員を利用している顧問を野放しすることになります。これではいけません。

 幸い、教育長定例記者会見の中で、この対応のおかしさについて記者の方たちが追求をしてくださいました。

 WBGT指数に基づくと「運動は原則中止」と判断されるときでも、中止が原則となるように徹底しているとは到底言えない状態であることや、どういう取り扱いになったのか三重県教委が把握していないことが明らかになりましたし、その際に取るべき対応として三重県教委が上げた内容が、1段階下の「厳重警戒(激しい運動は中止)」と同じであることが指摘されました。

 

 請願自体は不採択となりましたが、このときの会見の記録を読むと、三重県教委がかなり慌てていたことがよくわかります。こうしたことの積み重ねが当局のおかしな対応を是正させることにきっと繋がることだと思います。当局の悪質な振る舞いをやめさせ、暮らしやすい世の中を作るのは、いつ現れるかわからないどこかの誰かではなく、私たち自身だと改めて感じます。  (は)

大阪の教育改革とは

大阪の教育改革とは

 大阪の教育改革について、月刊誌『世界』3月号に特集記事がありましたので、紹介します。三重県も似たり寄ったりの感じがしますが、『世界』の記事を簡単にまとめてみます。

 

 大阪市を敬遠する教師

 昨年(2021年5月17日)大阪市立木川南小学校の校長が松井市長あてに教育に関する提言書を送ったことがマスコミで話題になりました。直接の発端は、唐突なオンライン授業導入がきっかけだったようです。

 最近の教員採用試験の倍率は、京都市、神戸市、大阪市の中で大阪市が最低で、また、大阪市を去って他府県や私立の学校へ移る人も出ているそうです。

 

 教育行政の実態は?……すべて数値化して

                                               競争を持ち込む

 大阪府の統一実力テスト「チャレンジテスト」

  平均点を上げたいため、みんなのために欠席する子もいるそうです。(4割休んでいる学校もあると記事に書かれています。)

   テストで比べられることによって、本来、ちゃんと学力をつけられるはずの子が自尊感情を低くして、学びに向かって行けません。

 

 ②学校選択制の導入

  かつて、四日市市でも取り入れる気配がありましたが………

 学校間競争、地域間競争が起き、家の近くの学校を選択しないで、公表される学力テ  ストの点数で選択する家庭も。持ち込まれた分断により、地域のつながりが奪われていきます。 

 1校当たりの適正クラスは、12クラスから14クラスと決めた「大阪市学校活性化条例」によれば、選択される数が少ない学校は、統廃合の対象になっていきます。行政の目的もここにあるのかもしれません。

 

 ③「ステップアップ」研修って何?

 すてきな名前のこの研修、実は、「指導が不適切」と校長が決めた教員を教育委員会が判定し、指導改善研修を受講させるというもの。2004年から今までに、55人が対象になり、復帰が10人、免職6人、休職1人、自主退職38人

 

 37歳までに「主務教諭」に登用されなければ、以降の昇級が全くなくなる、また、新しい人事評価を導入し、最低ランクの教員を「免職」にする制度ができました。

 

 3年連続の定員割れの府立高校は廃校にする。

 

「競争」でなく「協働」の社会を 

    冒頭に書きました松井市長あての提言書は、すばらしい内容ですが、最後の方で下記のようにまとめています。

 

 人の能力を数字で表すのであれば、2万項目くらい必要になるのではないでしょうか。あらゆるものを数値化して評価することで、人と人との信頼や信用をズタズタにし、温かいつながりを奪うだけです。

 

 間違いなく教職員、学校は疲弊していますし、教育の質は、低下しています。だれもが一生懸命働き、人の役に立って、幸せな人生を送りたいと願っています。その当たり前の願いを育み、自己実現できるよう支援していくのが学校でなければなりません。

 「競争」でなく「協働」の社会でなければ、持続可能な社会になりません。

 

 根本的な教育の在り方、いや政治、社会の在り方を見直し、子どもたちの未来に明るい光を見出したいと切に願います。

終わりに

  大阪の教育行政を仕切っているのはご承知のように松井市長(日本維新の会代表)であり、吉村知事(同会副代表)です。

 大阪の教育は維新の会が目指す教育の見本と言っていいでしょう。維新の会は大阪に持ち込んだ「教育改革」(実は見てきたように教育破壊!)を全国展開しようとしています。

 この原稿が皆さんの目に触れるころには参院選挙は終わっているかもしれませんが、日本の教育がこれ以上間違った方向に行かないことを筆者は願うものです。

                           ( 四日市 Y&A )

部活動への入部強制はしないと県教委明言

  昨年12月末にみえ教育ネットワーク教職員ユニオンとして行った請願が今年3月11日に開かれた三重県教育委員会定例会にて審議され、一部採択されました。

 

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  その結果、県立高校における生徒の部活動強制入部を撤廃させることに成功することができました。教育委員会によると、県立高校13校で部活動の強制入部をしていたとのことです(3校で生徒全員に、10校で1年生に限って入部を強制)。これは部活動が「教育課程外の学校教育活動」であり、「生徒の自主的、自発的参加により行われる」ものであるとする学習指導要領の規定に違反した問題のある運用だといえます。本請願を受けて、三重県教育委員会から当該の県立高校に対して部活動の任意加入を徹底するように指導が行われたとのことです。

 

 3月9日に一般社団法人「日本若者協議会」が部活動の強制加入撤廃を求める要望書と署名をスポーツ庁に提出したことが報道され、注目を集めました。その直後に今回の三重県教育委員会の発表があり、三重県は全国に先駆けて部活動問題の解消を一歩前進させることができたといえます。このたびの教育ネットの働きかけは県内市町教育委員会はもちろんのこと、全国にも影響を与えていくことが期待されます。

 

 部活動への強制入部は高校よりも中学校で広く行われているのが現状です。また、3月9日には公益財団法人日本中学校体育連盟から全国中学校体育大会(全中)の参加資格緩和について発表があり、地域スポーツ団体等の中学生の全中への参加を可能とすること等が決定されました。こうした動きもあり、中学校における部活動強制入部はますます問題になってくることが予想されます。中学校での強制入部撤廃に向けても教育ネットとして運動を行ってまいります。

 

 また、本請願と併せて、教職員に対する部活動指導業務の強要をなくすことを求めた請願も行いましたが、こちらは不採択となりました。教職員に対する部活動指導強要は違法労働の強要であり、本来あってはならないことであるため、是正に向けて引き続き取りくみを進めてまいります。

 

中体連に物申す! 部活問題の解決を目指して

 

中体連に物申す! ―部活問題の解決を目指してー

昨年末、中体連と現場教員との懇談の機会がありました。以下は懇談に参加した組合員による報告です。

部活は本当に正義か?

 

 高校勤務のとき、部活こそが正義であるかのように幾度となく聞かされてきました。

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「授業なんてどうでもいい。授業時間50分のうち40分を雑談に費やせばいい」という言葉が教員の口から次々と発せられ、「そうだ!そうだ!」と大笑いする教員で職員室は溢れていました。

「学校を何をするところと思っているのか」という怒りから、勇気を出して「部活ばかりでおかしい!」と言ったこともありますが、返ってきたのは「は?お前、何言ってんの?」と言わんばかりの反応ばかりでした。

  病に倒れた教員が「土日の部活はできません」と申し出た際も、「あの先生、土日の部活はできないって言ったらしいよ。あり得ないでしょ」と話してきた方もいました。部活顧問業務は各教員に強要されていますが、これはあくまで違法労働であり、「やりません」は当然の権利です。

 しかし、教員にありがちな「みんなで苦しみを分け合って乗り越えるべき」という考えのもと、断った者は悪者のようにされがちです。違法労働でも受け入れるべきであるというのはその人自身が納得している考え方であって、他教員も違法労働に耐えるのが当然というのはおかしな考え方なのです。部活問題に苦しむ教員は少なくありませんし、そのような方々が救われるようでなければいけません。

いざ、中体連へ!

 2021年12月27日、部活問題をなんとかしたいと考える、全国から集まった同志たちで中体連等を訪れ、部活の過熱化の原因となっている全中の廃止について申し入れを行いました。中学部活のあり方は確実に高校部活にも影響を与えることから、中高双方にとって意味のあることだと思っています。

 中体連との懇談によってわかったことがいろいろとありました。まず、全国大会の参加資格についてです。スポーツ庁・中体連ともに、現在は学校単位とされている参加資格を学校以外に広げることには前向きな姿勢を示しています。

 ただ、どこまで広げるべきかという点については両者に温度差があるようで、学校との連携が取りやすいとの理由から、中体連は総合型地域スポーツクラブを中心に考えているのに対し、スポーツ庁は、民間のスポーツクラブも視野に入れて検討しているようです。

 次に全中廃止は到底受け入れられない考えと思っていましたが、意外にも廃止を含めたあらゆる可能性が中体連で検討されているとのことでした。

 全国大会開催地の負担については、大会規模が大きくなるほど開催地で賄いきれない負担が増えることから、教員が地元企業等から協賛金を募る事態になっているそうです。滅多に開催地になることがないからと、立派な大会にしようとするほど負担が大きくなるのです。

 最後に教員が審判講習を受けさせられている問題については、中体連は関与していないとのことです。昔は相互審判の精神で教員同士で審判をしていましたが、部活の過熱化や少子化に伴い、保護者までもが熱狂するようになった結果、審判の仕方にクレームがつくようになり、変化が生じてきたということです。そもそも大会運営全般について、中体連本部が細かく指示をすることはないとのことです。

部活春闘

 同日、参加者たちによって「全国部活動問題エンパワメント」が結成され、部活問題を解決するための取り組みについても意見交換がされました。その1つが各教育委員会への請願です。

 教育ネットでも部活顧問等の委嘱や強制入部についてあり方の見直しを求める請願を県教委に行いましたが、そのように部活関連の請願を教育委員たちに審議してもらうのです。

そしてもう1つが「部活春闘」です。春闘の時期になれば、部活があろうとも「定時出退勤」「休憩完全取得」を貫き、法に則った働き方をします。「今は部活春闘中」ということがわかりやすいように「部活春闘グッズ」を作って職員室の自席に置くようにしてみたり、それをSNS等で拡散してみたりすると、改革の機運の高まりに繋がるのではないでしょうか。

「1年単位の変形労働時間制」やめて!

三重県議会 1年単位の変形労働時間制 可決

 2021年12月23日(木)三重県議会において教職員に対して「1年単位の変形労働時間制」を導入するための条例改正案が可決されました。

 

 みえ教育ネットは、県教委交渉などで「教員にいっそうの長時間労働をもたらすだけであり、そのような制度の導入を現場は求めていない」として、くりかえし反対を表明してきました。

11月に行った14市教委との懇談でも

「採用するかどうか検討中。学校現場が希望しているとは言えない。平日1時間延びることが適切かどうか。メリットがあるかないかわからない。今やるべきことは閉庁日をもうけて、年休を取りやすくすることだ。」    (A市)

 

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「県が条例改正した後、市町が条例改正になると思うが、6:00まで拘束されるこのやり方はバラ色には見えない。現場からそうしてくれとの希望はない。8月10日~16日まで学校閉庁なので休みはとれる。」  (B市)

 

「『6時まで勤務時間』とすれば時間外勤務は数字の上では減る しかし実態は変わらない。実態こそ変えなければならない。」  (C市)

 

「変形労働制は、働き方改革につながるのか疑問だ。超過勤務にお墨付きを与えるようなものだ。体を壊したらどうするのかと思う。」  (D市)

 

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「変形労働時間制は、慎重に対応していきたいと考えている。学校現場では、効果や期待などない。時間外労働は、数字のマジックで減るかもしれないが、実質的に過重労働が減るわけではないと考える。県や他地域の状況を見ながら、慎重に対応していく。」                                

                             (E市)

などと、慎重な意見が聞かれました。

 

 毎日新聞は全国的にはこの制度の導入には慎重な都道府県が多いと報じています。

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教員働き方改革 休暇まとめ取り「変形労働制」進まず 文科省調査  12/24(金) 11:59配信

 長時間労働が常態化している公立校教員の「働き方改革」を進めるため2021年度から導入できるようになった1年単位の「変形労働時間制」について、導入に必要な条例を20年度に整備したのは、47都道府県のうち9道県、20政令市では浜松市だけだった

 

 文部科学省が24日に発表した。条例の整備を予定している自治体まで含めても、21都道府県にとどまった。政令市では浜松市以外に整備予定の自治体はなかった。

 

 20年度の調査では、25都道府県と2市が前向きな姿勢を示していたが、この1年で導入の機運は後退した。変形労働時間制は、公立小中学校・高校の教員を対象に、年度当初などの忙しい時期の勤務時間を延ばす代わりに、夏休み期間などに休暇をまとめ取りするのを認める制度。

 

 文科省自治体が導入に慎重なのは、新型コロナウイルスの感染状況が見通せず、コロナ対応の業務がいつ急増するかも予測しにくいため、1年単位での労働時間の管理が難しい状況が続いているのが一因とみている。【大久保昂】

 

みえ教育ネットは23日の県議会を傍聴しましたが、残念ながら反対した議員さんはたった1名で、条例案は可決されてしまいました。

 三重県議会条例案が可決されたことを受けて、みえ教育ネットはさっそく各市町教委に対して導入しないよう求める請願書【下記】を提出しました。

 

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                           令和3年12月24日

各市町教育委員会教育長様

公立学校における「1年単位の変形労働時間制」の導入を行わないことを求める請願書

                    みえ教育ネットワーク教職員ユニオン

1 請願の要旨

 公立学校における「1年単位の変形労働時間制」の導入を行わないことを求めます。日本国憲法第16 条および請願法に基づき、請願いたします。

 

2 請願の理由

 令和3年12月23日に三重県議会において、「公立学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部 を改正する条例案」が採択されました。このことにより、三重県立学校においては教職員に対して「1年 単位の変形労働時間制」を適用することができるようになりました。このことを受けて、貴教育委員会におかれましても管内公立学校教職員に対して同制度が適用できるように条例整備を進めていくお考えがあるのかもしれません。

 しかし、「1年単位の変形労働時間制」の導入は以下に示すように、教職員への 負担のさらなる増大のみならず、学校運営上支障があるものであることから、導入を避けるべきであると考えます。

 

(1) 教職員の負担のさらなる増大

 文部科学省は「1年単位の変形労働時間制」の導入の前提条件として「対象となる教育職員の在校等時間が1か月で42時間、1年で320時間までであること」「服務監督教育委員会及び校長は指針に定める全ての措置を講じること」等を示しています。

 しかし、三重県内の公立学校においては教職員の在校等時間が統計上は減少しているようであっても、実際のところは持ち帰り仕事が増えているだけであるとか、在校等時間の記録内容が実際とは異なるものになっているとかいった声を聞くことが珍しくありま せん。また、当組合の調査では、長期休暇以外の期間における在校等時間が少なくないことがわかっています。  

 このように、本制度を導入するための前提が整っていないのが現状であると考えます。

 本制度は休日のまとめ取りを目的とした制度であり、長時間労働の是正を目的としたものではないことは承知していますが、教職員の長時間労働が見かけ上は少なく計上されることになります。

 これでは深刻な問題となっている教職員の長時間労働に拍車がかかり、心身に不調をきたす教職員のさらなる増加に繋がることが危惧されます。「休日のまとめ取り」であれば、そのような制度を導入しなくても、年次有給休暇を多く取得することで同じ目的を達成することが可能であり、本制度を導入する必要性はないと考えます。

 

(2) 学校運営上の支障

 この制度は「一度決めた勤務時間は変更することができない」という性質を有しています。したがって、後から週休日変更や勤務時間の割振り変更を行うことはできません。

 そのため、たとえば

土曜日に開催予定の屋外開催の学校行事は雨天であっても(勤務日とはされていない)日曜日に順延するということができない

緊急性のある児童生徒指導案件は規定勤務終了時刻後も行う必要があるが、超過勤務時間分の割振り変更を行うことができない

といった重大な問題点があり、この制度がそもそも学校現 場には馴染まないということを示しています。

 また、勤務時間は1日あたり最大10時間までに設定することが原則ですが、修学旅行の引率等、この限度時間を超えなければ運用できない業務が存在します。

 民間企業であれば、限度時間を超えた分については割増賃金の支払いによって超過勤務をさせることが 可能ですが、原則的に超過勤務をさせることができないとされている公立学校教員については規定時間を超えて業務をさせることができません。

 こうしたことから、「1年単位の変形労働時間制」の導入は学 校運営上、かなりの問題があると考えます。

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 現行制度下でも本来であれば、あらゆる業務について日常的に勤務時間の割振り変更が行われる必要 がありますが、まるで「規定勤務時間外はすべて自発的勤務である」というような法令に反した運用が行 われていることが珍しくありません。

 

 労働基準法第109条に基づき、勤務時間の記録・保存の義務があると考えますが、勤務時間記録の一部である勤務時間の割振り変更については「勤務時間の割振り変更簿」等を用いての記録・保存がされていないのではないでしょうか。

 このように現行制度下であっても勤務時間管理が不適切であると感じます。法の定めを守らないことが常態化している学校現場において、 「1年単位の変形労働時間制」という問題点の多い制度を導入されたら、さらに不適切な運用が行われるのではないかと危惧します。

 「1年単位の変形労働時間制」にはこれまで述べたように、教職員の負担のさらなる増大や学校運営上 の支障に繋がるという重大な問題を含んでいることからも、学校現場への導入は行わないようにしていただきたく思います

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最後に、ある現場教員の率直な声を紹介します。

 

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まったく的はずれな制度すぎて、現場の評判が悪いだけ。もともと有給休暇なんてほぼ夏休みに
しか使えないのにそれが潰され、しかも長時間労働に堂々とお墨付きを与える。現場の状況を知ってたら絶対にこんな制度考えないよ。

                              (以上 吉田)