みえ教育ネットワーク

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「教育は技術ではない」

 百マス作文で作文嫌いに
 2月9日(土)10:00から四日市勤労者市民交流センターで行われる「2013春を呼ぶ!みえ教育ネットワーク教育研究集会」。記念講演は土佐いく子先生。先生は、「教育は技術ではない」と熱く語ります。

◎百マス作文で作文嫌いに
 百マス計算がブームになったと思ったら、今度は「百マス作文」がやられている。
 なになに、5分間に百マスの作文を書く訓練をすることで、書く力をつけるというのだ。これを週に3回やると、子どもは何を書いていいかわからないと言うので、先生が課題を与えるのだ。「野菜と魚の違いは?」「時計になったつもりで教室を見たら…」等々、先生も次は何を書かそうかと悩むそうだ。

 作文に対する先生の返事もだんだんマンネリ化して「百字ぴったりでうまい」「次は時間内で書けるようにがんばりましょう」等と、何のために書かせるのか、どんな力をつけたいのか見えなくなってしまっている。
 書くことを嫌がらない子を育てようと始めたのに、書くことが嫌いという子が増えている。

◎優しさを刻む学び
 教師が手に取る本屋のコーナーには「明日から役立つ○○の本」が所狭しと並んでいる。それをすべて否定しているのではないが、私は、明日役立つ技術は、明日しか役立たないと思っている。いや、子どもの実態が違えば、役立ったつもりが実は役立っていないこともある。使った本人は、それすら見えないこともある。

 その技術の背景に、どんな子ども観があるのか、どんな教育の論理や原則があるのか、もっと言えば、どんな子どもに育てたいのか等々、教育という仕事の未来につながる展望も何も見えていないなかで、とりあえず目の前のことを形だけでも整えて、その日暮らしをする。これでは、教育という仕事の深い喜びも悩みも感じることはできないだろう。

 ある学習会で、実践報告をさせていただいた。3年目だという若い先生が、最後に立ち上がって「今日初めて、こんな話を聞かせていただいて、私…涙が出そうなんです。今まで、明日から役立つ…という勉強会ばかり行ってたんですが、今日みたいに、クラスの子のことが次々浮かんできて、なんかかわいくなってきて、月曜日会いたいなあなんて思ったことありません。月曜日からすぐに何をするとかわかりませんが、教師の仕事ってすごい仕事なんや、深い仕事なんや、私もがんばってるんやって思えて、エステに行ったような気分で自分でも驚いています。先生がさっき『学ぶって自分の中に優しさを刻むことだ』と言ってくださったことわかるような気がします。来てよかったです」とまた泣かれたのだ。私まで涙が出てきた。

<この記事は、HP「まいど、日本機関紙出版です」に掲載された土佐いく子先生の連載「またあしたね〜土佐いく子の教育つれづれ」(2012年11月09日)より引用しました。>