みえ教育ネットワーク

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きびしい学校の現実が……

           
(写真はイメージです)

  7月のある日、みえ教育ネットワークの仲間たちが、自分の勤める学校の様子などを話し合いました。その中から「今、三重県の教育はどうなっているのか」が、浮かんできました。紹介します。
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(Aさん) ある小学校では6年生の担任(講師)が学級崩壊に直面して突然退職。非常勤講師を常勤講師にして後任の担任としたものの、担任経験は初めてで、苦労の連続。低所得者の多い団地が校区にあり、貧困・格差が子どもたちの荒れを誘発している。

 (Bさん) ウチの学校では学力テスト体制とでも言うべきものが、定着しつつある。「学力をどうやってあげるか」という話が職員室の日常会話に出てくる。平均点をかなり下回る学校だが、それゆえに「せめて平均ぐらいは」という意識が働くのだろう。しかし対策は「まず、寝ている生徒をどうやって起こすか」というレベルなので、お恥ずかしい限りだ。

 (Cさん) 2年前に転勤した小学校で、新鮮な体験をしている。もともと荒れやすい学校だったが、4年前から「学び合い」学習にとりくんでおり、子どもたちが生き生きしている。これまで自分は「教師は教える人」と思ってきたが、ここでは教師は多くを語らない。子どもたちが自分たちの力で学んでいく。子どもの発言にじっと耳を傾けることで、教師も多くの発見がある。実に楽しい。

 (Dさん) うらやましい話だ。ウチは生活の乱れた生徒が多く、遅刻や中途登校、授業妨害、いじめ、いやがらせなど、課題満載だ。「教師の説得に応じない」「すぐキレる」子に手を焼くが、両親に捨てられたとか、母を自殺で失ったとか、彼らはさまざまな背景を抱えている。M中をはじめ、K中、Y中、T中・・・など、あいかわらず大変だ。

 (Eさん) 小学校では「荒れさせない」ために、授業規律や生徒指導のスタイルを全校体制で揃えることが流行っている。「指名されたらハイと返事をして机の右横に立つ」などというものだ。見た目は整然としているが、子どものつぶやきを拾いあつめながら進めていく授業を経験してみると、いかにも不自然で違和感がある。

 (Fさん) 学力テスト体制に関してだが、「学調」という言葉が、現場で定着しつつあるのも不気味だ。もともと教育委員会の言葉だが、校長がしょっちゅう使うし、校内研修会でも、はしばしに出てくる。生徒が教師に暴言を浴びせ、担任一人では帰りの会が成立しないクラスもある学校だ。そんな学校なのに「学調」が大手をふっているのが、奇妙でしかたがない。
 
(Dさん) 生徒の暴言に関してだが、「自分はそんなものにいちいち取り合わない」と平然と受け流しているように見えた先生が、実は内心深く傷つき、病んでいった。ベテランだけに悩む姿をさらけ出すこともできず、一人で苦しんでいたんだろうなあ。

 (Cさん) 同感だ。職員室で愚痴や子どもの悪口をはき出し合うことが大事だね。ベテランが率先して話題にしていくと、みんなもしゃべりやすいと思う。自分も一人で悩んでいたときは、ほんとに苦しかった。

 (Aさん) 担任を孤立化させない取り組みを聞いた。津市内のある小学校では、給食の時間はフリーの先生や養護の先生も教室へ行って、子どもといっしょに食べているという。クラスの様子が共有できて効果的だそうだ。

 (Eさん) 校長や教頭の姿勢も大事だね。ベテランの先生が転勤してきて6年生を担任したが、もともと持ち手がなかった学年だけに、苦労の連続。あわや休職というケースだが、管理職が授業の応援に入るなど親身になってフォロー。ベテラン先生も管理職の援助を受け入れ、何とかピンチを乗り切った。今や、自分一人で何とかなる時代ではない。
 
(Gさん) 校内研修のテーマに国語を掲げて熱心に研究しているが、子どもは国語がきらいという。研修主任(指導教諭)が張り切っているだけに、職場も文句が言えない雰囲気がある。一貫したテーマを掲げてはいるが、教師の思いばかりが先走っている気がする。自主公開の研究発表会を前にして、職員室は遅くまで残っている先生が多い。

 (Hさん) たしかにどの学校も忙しい。職員室を出るとき気軽に「お先に」などと言いにくい時代になったねえ。  
(以上、7月24日  津市内にて)


↑グラフは7月28日付「朝日新聞」より

 さてそんな中、文科省が公立小中学校教員の勤務実態調査の結果を発表しました(7月27日)。

  それによると教諭の1日の平均在校時間は小学校11時間35分、中学校12時間6分。そのうえ自宅に持ち帰る仕事はそれぞれ1時間36分、1時間44分。2006年の実態調査では小学校9時間26分、中学校9時間56分と報告されていたことと比べると2時間も増えています。

  文科省教育委員会が多忙化解消に有効な手を打たない中で、先生たちは自らを犠牲にして働いています。先生たちの体が心配です。 (よ)