今年も4月21日に全国一斉に行われた学力テスト。今年は3年に1回の理科のテストもありました。前回はそれほど分量も多くなく、さほど難しい問題はありませんでした。
ところが、今回は、問題量も格段に多く、内容も考えさせる問題がちりばめてありました。その中でも、一番の問題点は、問題文が長いということです。大きな問題が8問ありましたが、すべてに図入りの延々と続く問題文がありました。
Aさんは、こんな実験をしました。その結果、このような結果が得られました。この結果を見てさらにこんな実験をしました。また、Bさんはこんな実験をしてこんな結果が得られました。という文が並んでいます。それに対応する問題は、それぞれ1問ずつです。しかも1つは知識を問う問題、もう1問は、実験結果から考える問題です。すべてがこんな調子で、大問8個、小問24個、総ページ数A4版で24ページです。
朝から数学と国語を2時間ずつやっての5時間目、疲れてきているうえにこの分量です。学力的に課題を抱える子にとっては、これでもか、これでもかと問題が押し寄せてくる感じです。普通の学校の定期テストや県立高校の入試問題は、もちろん問題文の長い思考力を問う問題はありますが、知識を問う簡単な問題も少なからず入っています。
これでは、テスト嫌いになりますし、自分はこんな問題はわからないのだと自己否定にもつながってしまいます。
学力テストは、学力の「ある一部分」を試すテストだと県教育委員会も言っています。しかし、その一部分の力を試すテストの点数に一喜一憂する、教師も子供もそれに振り回されているように思えます。
今、非常勤講師として中学校で1日2時間、週4日の理科の授業を行っています。時間に余裕があるので教材研究や実験準備などしっかり行えます。また、授業後の振り返り用紙も、全員に赤ペンを入れて返せますので、生徒からも、多くの意見や感想が返ってくるようになりました。「今日、そう言う事やったんかってわかった。」とか、「わかってきたら、おもしろくなってきた。」と、涙が出るくらいうれしいコメントが寄せられます。
また、普段の生活に関連させて、授業の感想も寄せてきます。これこそが、子どもたちの学力につながっていくと思っています。時間的に余裕があるのでできますが、フルタイムで働いて、担任も校務分掌もクラブ顧問もこなしていたら、こんな余裕はとてももてません。
先日の佐藤学先生の講演(6月14日津市河芸公民館「三重民教連・初夏の集い」で、学力テストをやっている国は多くあるが、学力の低い学校に対して援助して学力を上げていくためにテストをするのがほとんどだ。
日本のように競争させ低い学校の予算を減らすなどのためにやるのは間違っているといわれました。教育予算を増やし、教師の数を増やし、少人数学級にしていけば、おのずと学力はついてきます。学力テスト反対。そのお金を、少人数学級にまわせ! (四日市・中学校非常勤講師 H)
学力テストの問題は次のウェブサイトから検索できます。
国立教育政策研究所 http://www.nier.go.jp/15chousa/15chousa.htm