みえ教育ネットワーク

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三重県版学力テスト スタディ・チェック ここが問題!

   学力テストで全国3位以内をめざせ!そのためにもまずは全国平均を!と競争をあおる鈴木英敬知事の下、三重県の子どもはスタディ・チェックなるテストで学力テストの練習をさせられています。

   県教委は「スタディ・チェックは学力テストと関係ありません。学習指導要領をふまえ、『活用力』を伸ばすとともに実生活に活かせる力をつけるために行っています」(2015年11月16日、県教委交渉)と説明しますが、問題の形式も内容も学力テストとそっくりです。しかも小5と中2だけは年2回実施し、2回目は学力テストの直前にあたる2月に実施となれば、だれが考えても学力テスト対策でしょう。
 
   今年2月に実施された「第2回スタディ・チェック 中学校2年生国語」でその問題点を見てみましょう。






  ↑形式も内容もそっくりな全国学力テスト(左)とみえスタディ・チェック(右)→
 









  次の問題文をご覧下さい(テストは大きな問題4つから構成されていますが、そのうちの3番目の問題です)。ひねくれた問題の典型がここにあります。画像ファイルで、はっきりしませんが、クリックすると多少大きくなります。



  ご覧のとおり、問題の前に読まなくてはならない資料が4つもあります。これだけでも生徒たちは「うわ〜めんどくさい!」と感じます。

  さて、<資料>と<新聞の投書>をちゃんと読むことができた生徒は一体どのくらいいたことでしょう?また、条件(1)〜(3)を満たして書いた生徒は・・・・? 

  いちおうすべての採点をした私の記憶では、たしか1クラスで3〜4人、無回答は数え切れないほどでした。中には「あいうえおかきくけこ〜」などとすべてのマス目を埋めて書いた子もいて、悲しい笑いが浮かんだことを覚えています。ちなみに県教委のHPによると、この問題の正答率は32.9%、無回答率(白紙で出した子)が14.4%だったそうです。

  また、ここには紹介していませんが、この問題に続く最後の問題は、徒然草の現代語訳を用いた問題で、正答率はさらに低く16.6%、無回答率は36.7%です。(県教委HPより。問題文は県教委HPに出ています。)ここまでくると、「わからない」というより「もう考えるのもいやだ」と、力つきた生徒が多かったのかもしれません。

  10人のうち2、3人しか正答できないような問題をさせて、果たして生徒の学ぶ意欲が高まるとでも言うのでしょうか?「学ぶ意欲の向上こそ大切」などと県教委は言っていますが、言っていることとやっていることが完全に矛盾しています。

  スタディ・チェックを実施した翌日の授業で「昨日のあの問題が君のやる気につながったと思う?」と問いかけてみたところ、「全然〜」「なんであんなもんすんの?」といった否定的な答えばかりが返ってきました。

  「生徒の自尊感情を壊すことを目的とした(としか思えない)スタディ・チェックに時間と労力とカネをかけるのは全くの無駄としか言いようがない」、国語教師30数年の私の実感です。  (D)