みえ教育ネットワーク

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30人学級実現とゆきとどいた教育を

異常な長時間労働の解消は臨時教員の正規採用化で実現できる 

 5月11日(日)四日市勤労者市民交流センターで「30人学級実現とゆきとどいた教育を求める会」の総会がありました。総会に先立つ記念講演では、「私たちの求めるゆきとどいた教育とは〜憲法・戦後教育が育ててきたもの〜」と題して、日本福祉大学教授の山口 正さんがお話をされました。
 
 山口さんは解釈改憲の動き・非正規の拡大などの情勢にふれた後、安倍内閣の「教育改革」の特徴を次のように述べました。

 「安倍内閣は経済再生を掲げているが、その中で最も投資効果が最も高いのは教育だと位置づけている。それだけ聞くとフィンランドと同じじゃないかと思う人もいるかもしれないが、全く違う。

 確かに20年前、フィンランドは経済生き残りをかけて「教育こそ未来への投資」という政策を打ち出した。それは個々の人間が持っているはかりしれない可能性を引き出す工夫であり、わからない子を作らない努力だった。そして学力世界一になった。

 しかし安倍教育改革は、経済再生のためにはグローバル人材の育成が必要との戦略だ。『結果の平等主義から脱却し、トップを伸ばす』といっている。トップレベルの英語教育や理数教育に力を入れるが、すべての子を対象にしているわけではない。タブレットは(できる子できない子にかかわらず)全員に持たすだろう。そうしないと国民(納税者)がナットクしないから。

 しかし、それを使いこなすのは一部のエリートだけでいいという考え方。そのほか、日本人としてのアイデンティティ、日本の歴史や文化に関する教養を身につけさせるなどを重視。こうしたことを全国的に進めるために、教育委員会制度の見直し、上意下達の教育体制を作ろうとしている。」
 

 山口さんは、自身17年間の臨時教員生活を経験しており、「臨時教職員制度の改善を求める全国連絡会」の会長としても有名です。臨時教員問題に話が及ぶと、力が入ります。

 「正規採用数は20年前の4分の1に落ち込んでいる。そのぶんが非正規教員に置き換えられた。任用が短期で身分が不安定では、子どもの学習にマイナスの影響を与える。と同時にそんな状況で働かされる非正規教員の、安心して働く権利を侵害している。二重の人権侵害だ。

 ヨーロッパの教育視察団がやってきた。35人を1クラスで授業しているのを見て『今日の授業はミックスの授業か?』と聞いた。ヨーロッパではそんな規模での授業はありえない。30人を超えたら子どもたちは『群れ』になると彼らは言う。日本の学校も1クラスを20人以下のスモールサイズにし、その中で多様な価値を認め合う教育が必要だ。そのためにも非正規教員を正規採用し、先生の数を増やすことだ。」

「非正規雇用の増大と、正社員の長時間労働、これを同時に解決する糸口がワークシェアリングの考え方だ。年間250時間以上のサービス残業を解消するだけで新たに400万人の雇用が生まれる。」

「学校はサービス残業を強いられている典型的な職場だ。サービス総労働時間をなくすにはあと何人の教員が必要か計算してみた。ちょうど小中高障に勤務する臨時教員の数(約20万人)に匹敵する。臨時教員を全員正規採用化すれば、異常な長時間労働の一端が解消できる。」

 山口さんは最後に三重県の30人学級を求める会の活動にふれ、「年間23回の事務局会議、数回に及ぶ学習会、議会請願署名などの粘り強い活動、そのエネルギーはどこにあるのか、注目している」と述べ、今後の活動へのエールを送りました。(文責 Y)