みえ教育ネットワーク

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学テ結果を公表せよ……伊勢新聞の報道から

  2015年11月21日付けの伊勢新聞の報道です。
以下引用。

  「山口千代己県教育長は20日の定例記者会見で、市町の教育委員会に発表の裁量が委ねられている全国学力学習状況調査の各市町の平均正答率について「公表していくべきだと思う」と述べた。山口教育長は会見で「市町の平均正答率が分からなければ、児童や生徒が点数を知らされてもどの位置にいるのか分からない」と指摘。「親御さんにとっても公表されることが願いだと思う」と述べた。 (以上引用終わり)
 
  三重県の教育行政を預かる教育長がこのような認識でいいのでしょうか?この発言にはいくつかの重大な問題があります。

(1)「どの位置にいるか分からない」といいますが、全国学力学習状況調査の目的は「位置」を知ることではなく、学力の強み・弱みを把握することのはず。ウチの子は市の平均点に比べて上だ下だというところに保護者の意識を持たせるのは調査の目的ではありません。

(2)市町ごとの平均点を並べることで教育長は何を期待しているのでしょう?すでに全国の平均点が発表されていますが、その結果生じているのは「ウチの県は下から○○番目」「近隣県に負けるな」「せめて平均点を・・・」「ベスト○位をめざせ」などという順位競争です。これを市町ごとの競争にエスカレートさせようというのでしょうか?

(3)みえ教育ネットワークが29市町の教育委員会と懇談して分かったことは、市町教育委員会のほとんどは市町ごとの平均点公表には否定的です。「県からは公表をと言う話はあるが、うちはしない。ほぼ全国並みとか、全国平均をやや上回る(下回る)、といった表現で十分だ」(I市、T市、S市ほか)というところが多かったです。県教育長の発言はこのような市町教委に対して圧力をかけるものです。

(4)山口教育長は記者会見で各学校の平均正答率を発表することについては「順位が一覧となることによって競争をあおる可能性がある」と指摘しています。であるならば、市町平均点の発表が市町間の「競争をあおる可能性がある」ことをどう説明するのでしょうか。

(5)鈴木英敬知事は「全国3位以内をめざし、まずは全国平均を」と、ことあるごとに発言しています。しかし、教育委員会は県行政とは独立した機関のはずです。何もかも知事の発言に右へならえする必要はありません。山口教育長には教育者としての矜持(きょうじ)を持ってもらいたいと思います。     (よ)