みえ教育ネットワーク

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教職員も時間外労働時間の上限規制を行うべき!

 地方公務員の勤務時間は一日7時間45分、週38時間45分。それを超える時間外勤務をした場合は、労働基準法第37条に則り、時間外勤務手当、休日勤務手当を支払うことになっています。

 ところが同じ地方公務員である教員は、どれだけ働いても「残業代」は0円。その代わりに給料の4%にあたる給料(残業手当に換算すると7〜8時間分)が支給されます(給特法=公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法1971年)。教員はどうせみんな残業するだろうから、あらかじめ4%分を多く払っておく。だから時間外勤務手当は払わないよ、ということです。

 1971年と言えば、46年も前の話。今では時間外勤務は当時の10倍。過労死ラインと言われる月80時間以上の残業をした教員は小学校33.5%、中学校57.6%(2016年文科省調査)。

  過酷な教育現場を変えるためにこれまでの給特法体制を見直し、教職員も時間外労働時間の上限規制を行うべきというキャンペーン(署名活動)が始まっています。

 以下呼びかけ人からのメッセージ。署名の方法など詳しくは教職員の働き方改革推進プロジェクトのHPをご覧ください。→ https://www.change.org/u/715442171


呼びかけ人からのメッセージ
「パパを返して!」

 昨年夏、Aさん(当時40代前半)は、生まれてくるわが子の顔を見ることもなく、脳出血で亡くなりました。当時、長子は2歳、妻のお腹の子は6ケ月でした。Aさんは、土日の部活動指導も含め、長時間労働があたり前となっていました。 現在、仲間が公務災害申請にむけて勤務の実態を調べていますが、とても時間がかかっています。なぜなら、この学校には、タイムカードも、ICカードもなく、教職員が何時間働いたか、その記録が存在していないからです。

 現在政府がすすめている「働き方改革」では、民間労働者には、時間外労働の上限規制(罰則付き)が設けられます。しかし、教職員は時間外労働の上限規制の「例外」としました。すでにマスメディアで報道されたように、国際調査(14年TALIS)では、日本の教員の労働時間は、調査に参加した国・地域で最長でした。

 また、文科省勤務実態調査でも、この10年間で時間外労働が急増していることがわかりました。過労死基準である月100時間以上働く教員は、小学校55.1%、中学校79.8%、高校46.4%(15年連合総研)でした。民間労働者のうち過労死基準以上働く人の割合がもっとも高い情報関連29.6%(16年過労死白書)と比較すると、ずばぬけて高くなっています。

 なぜ国は、教職員の時間外労働を上限規制の「例外」にするのでしょうか?教員は、どれだけ働いても「残業代」は0円。その代わりに給料の4%にあたる給料(残業手当に換算すると7〜8時間分)が支給されます。

 この制度がはじまった1971年頃と比べ、時間外労働は5倍に増えています。教員に残業代を支払う必要がないため、いくらでも仕事を増やすことができます。学校現場では勤務時間が適切に把握されず、過労死基準に当たる100時間以上働くのが「常識」となっているのです。

 亡くなったAさんの学校がそうであるように、労働時間をタイムカードなどで記録している学校は1割に過ぎません。また、実質的な休憩時間は10分と、学校は労働時間の「無法地帯」となっています。

 「忙しくて授業準備ができない」、「休憩もなく心のゆとりをもって子どもと接することがなかなかできない」といった嘆きが、現場からたくさん聞こえてきます。

 しかし、教職員はそんなことを社会に向かって言いません。黙って、耐えています。 医学研究では、教職員は慢性的な疲労におちいり、イライラし、集中力が低下した状態であることがわかっています。

 そんな状態で子どもの前に立っても、よい授業や丁寧な言葉かけはできません。教職員の長時間労働を解消し、心身ともに健康な状態で子どもたちと接することは、教育の質を高めることにつながります。

 これから、国は、教員の働き方や業務のあり方について検討するとしています。そのなかで、まずは、過労死基準を上回る長時間労働が横行する学校の「常識」を変えるため、直ちに時間外労働の上限規制を設けるべきです。

 最後に、冒頭で紹介したAさんのご遺族の手記です。

 ピピピッ。夜7:00になると主人が使っていた腕時計のアラームが鳴ります。仕事の目処をつけて帰宅する目標のためにセットしていました。 「ただいま〜」とどんなに仕事が大変でも、何があっても当時2歳の娘には、とびっきりの笑顔で話していました。「今日はママと何してたの? 今度試験休みがあるからどこに行こうか? ○○ちゃんはどんな大人になるのかな?
  いつまでパパとお風呂に入ってくれるかな? ママのお腹にいるのは妹かな?弟かな?どっちかな?楽しみだね〜」 

 私たちの大事なパパは昨年の夏に倒れ、意識が戻らないまま亡くなりました。当時長女は2歳、お腹の子は6ケ月でした。あれから8ケ月たちますが、私達家族は立ち直れません。 休日もほぼ部活動で家族の時間がほとんどありませんでした。一生懸命仕事をしていた主人は生徒さんや保護者の方々からも信頼していただいていました。すごくありがたい事です。

 でも子どもの記憶には残らない。長男は父親に会えずに産まれました。 主人は教員という仕事に誇りをもっていました。やりがいも感じていました。でも、すごく疲れていました。自分の命を縮めて、家族に寂しい思いをさせて、子どもにとって「ひとり親」にして・・・。そこまでしないとできない仕事は辛すぎます。

 ピピピッ。今日も腕時計のアラームが鳴ります。でも、パパは帰ってきません。永遠に・・・。
「教職員にも時間外労働時間の上限規制を行うべき!」という、声を政府に届けましょう。

呼びかけ人
主宰団体「教職員の働き方改革推進プロジェクト〜学校にも働き方改革の風を〜」

青木 純一(日本女子体育大学教授)
安藤 哲也(特定非営利活動法人ファザーリング・ジャパン代表理事
内田 良(名古屋大学准教授)
大内 裕和(中京大学教授)
尾木 直樹(教育評論家・法政大学特任教授)
工藤 祥子(全国過労死を考える家族の会 公務災害担当)
小室 淑恵(株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役
白河 桃子(少子化ジャーナリスト 相模女子大学客員教授
高須 裕彦(一橋大学フェアレイバー研究教育センター)
竹信 三恵子 (和光大学教授)
長沼 豊(学習院大学教授)
樋口 修資(明星大学教授)
広瀬 義徳(関西大学教授)
広田 照幸(日本大学教授)
本田 由紀(東京大学教授)
むかい ゆか(元教員、教育心理研究家)
山口 俊哉(過労死遺族)
油布 佐和子(早稲田大学教授)