みえ教育ネットワーク

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みえ教職員懇話会パネルディスカッション

 8月20日、みえ教職員懇話会の第4回総会&パネルディスカッションが津市内で開かれました。ディスカッションには元小学校校長と3人の現職教員(小学校・高校)が参加し、教育現場のおかれた厳しい状況とともにその展望を語り合いました。

❤Nさん(元小学校長)
 志摩市内の小学校で15年間管理職をつとめ、この3月に退職した。管理職研修では「校長のリーダーシップによって学校は変わる」といわれ続けた。それに呪縛されている校長もいる。民教連に参加して、自分を見失わないようにした。文科省のいうことと反対のことをしていればまちがいはない。期首面談の実施など求められるが、形だけ「法令順守」していればよい。上へ行くほど現場からかけ離れていく。市教委より県教委の指導がきついと感じた。

❤Kさん(小学校)
 四日市市内の小学校に勤めている。「学校ビジョンをつくれ」だの「個人目標をたてよ」だの、子どもとかけ離れたところでの余分な仕事に腹が立つ。4月から新指導要領が本格実施になって、5,6年生の時間割に週1回の英語のコマが入った。これまでは「総合」の中にあったが、独立したので成績も出せという。(註;会場から「英語は今のところ『教科』ではないので、成績は文章表記でいいのでは・・・」との意見あり。)
 いっぽう免許更新制度が導入され、10年に1回、30時間の講習とテストを受けないと免許を失ってしまう。上からの押し付け改革で現場は困っている。

❤Nさん(高校)
 津市内の進学校に勤務して2年目になる。夏休みに補講が5日間×4サイクルある。生徒も先生も、もはや「夏休み」はない。旅行にもいけない。模擬試験が年5回あり、そのつど学校別・教科別平均点の順位が出て、県内の学校や東海3県の進学校と競争させられる。誰かがどこかでブレーキをかけないとと思いながらも、自分もやむをえず放課後、補習をした。現在は1コマ65分×5限で終了は3:50だが来年から1コマ増えるので、65分×6限の日が生まれる。すると終了は5:05で勤務時間を過ぎている。さすがに「おかしい」という声が出て修正されたが、万事がこんな調子だ。

❤Mさん(高校)
 4月から現任校に勤務。生徒指導部に所属し1週目は校門で立ち番、2週目は生徒指導部の部屋で待機、3週目は朝の職員打ち合わせに出る、という変則的な勤務。「主婦」なので5:30には「失礼します」と帰っており、それほど多忙感はない。教育支援システムや自己目標、まあこんなものかなと思っており、あまり負担感はない。若い先生の中には熱心に書いている人もいるが・・・。
 3月まで勤めていたH高校は、すさまじかった。120人の新入生が卒業時には100人を切ることも・・・。120人中60人が「ひとり親」家庭。4月には授業料減免の申し込みに多くの生徒が事務室を訪れる。1回も定期券を買わず無賃乗車をしてつかまった子、その後、家出する。家庭訪問して相談するが、なかなか家庭の協力が得られない。
 リーマンショック後、就職がきびしくなった。唯一募集があるのは「介護」の仕事と「自衛隊」。そんな現実の中で子どもたちは生きている。

❤会場とのやり取りでは「多忙の原因はどこにあるのか、それをどうなくすのか」がひとつのテーマになりました。
○ 私が新採になったとき、自分の受け持ったクラスの『学級経営案』を書くことがうれしかった。学校教育ビジョンをみんなで作り、夢を語り合うことは本来なら楽しいはず。そうなっていないところに不幸がある。
○ 本来の先生の仕事で忙しいのならともかく、上から次々と仕事を押し付けてくることが問題。
○ 学校評価なんて、(集計や考察が)めんどうなだけで、プラスにはならない。まじめにやれば首をしめるだけ。
○ やってなくてもやってます、といえる管理職がかしこい管理職。
○ 教師が(豊かになり)労働者性を放棄している。賃金下がっても、勤務時間長くても、今のままではたたかえない。
などの意見がありました。

❤最後に浦田事務局長が「教師の過重労働、給付制奨学金、30人学級の問題で、秋には県教委交渉をしたい。現役はもちろんだが、これからは退職者も大いにがんばろう」としめくくりました。